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第十八話 下手人が多すぎる 一
ここはいつもの橋の上。
相も愛も変わらぬしつこい輩が、やはり喋くりまくっている。
「姐さん、早くも霜月でんな。今年も残りふた月とは、ホンマに早いもんやわ」
これに笑顔で答える冷奴さん。まあ、これが罪なのだが。
「確かにねえ、旦那。これ以上歳を重ねるのは懲り懲りですよ」
「そやけんど、益々綺麗になっているからええんちゃいまっか?」
「ま、お上手ですこと!」
頬を染める相手。これに思わず助平、小声で
「あと一歩や!」
*西村京太郎「名探偵が多過ぎる」への、ほんの1%のオマージュ