二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

二十七

　皆が立ち去った後、なおも蕾の顔の汗を懸命に拭っている叔母さんだったが

「あーお芝居するのも疲れましたあ！」

と言いながらご本人、いきなり起き上がって大きく伸びなんぞをしている。

「えええ？」

「あ、御免なさいですう」

　呆気に取られていた叔母さん、やがて相手を睨みつつ

「んもう！　ビックリしたじゃないか！」

　これに頭を下げてくるにわか役者

「重ねて申し訳ないですう……まあ、騙すなら身内からって言うからあ。あ、でもお」