二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

二十五

　黒豆奴さん、これに気色ばんで

「そ、そんな事したら箱根行きどころか、おまえさんさ、ここで御用になるよ！」

「まあまあ、女将さんも冷奴さんも」

　その菩薩のような表情で

「このつみれ太夫、一肌脱がしてもらいましょうか」

　早速、部屋を出て階段を下りていった菩薩様。他の四人も後に続いている。

「お役人さん？」

　これに振り向いた貧相な男が

「こ、こりゃまた、綺麗どころばっかりで！」

　だが、一人だけには目もくれようとはしない。