表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過労死デバッカーの異世界デバック学院無双 〜魔力0だけどバグさえ使えばなんとかなります!〜  作者: 甘い肉うどん
第一章 第一クール 伝説のデバッカー、転生する

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/34

第八話 魔剣

魔剣は男子の憧れ

初日の騒動から数日。アレンは放課後の訓練場に呼び出されていた。

 待っていたのは、シルヴィア・フォン・ベルシュタイン。彼女の傍らには、いかにも「高価なオブジェクト」といったオーラを放つ、一振りの剣が置かれていた。


「……アレン。私は、どうしても納得できないわ。あなたが魔法を使わず、理屈の通じない力で学園をかき乱していることが」

「理屈なら通ってるだろ。ただ、君たちの持ってるマニュアルが古いだけだ」

「いいえ! 魔法とは研鑽、剣とは魂! それを見せてあげる。これは、ベルシュタイン公爵家に代々伝わる国宝級の魔剣『レヴァナント』よ。あらゆる防御魔法を無効化し、持ち主の魔力を百倍に増幅する。これこそが、完成された『仕様』よ!」


シルヴィアが剣を抜いた。その瞬間、訓練場の空気が凍りついた。

 剣身から溢れ出す青い光が、空間を物理的に歪めている。アレンの視界には、その剣のパラメータが浮かび上がった。


Item: Magic_Sword_Revenant

 Atk: 9999

 Special: Ignore_Defense, Mana_Boost_x100

 Durability: 2500 / 2500


「へぇ、いいステータスだ。さすがは国宝。パラメータの数値設定が、他の一般装備とは桁が違うな」

「分かったなら、その不遜な態度を改めなさい! この剣の前では、あなたの奇策も――」

「でもさ、これ。耐久度の参照先、弄りやすい場所に置いてあるね」


アレンはシルヴィアが突っ込んでくるよりも早く、指先で空間をシュッとスワイプした。

 [Item.Durability = 1 / 2500]


「えい」

「受けてみなさ――えっ?」


シルヴィアが剣を振り下ろした瞬間。

 アレンが突き出した人差し指に、魔剣の刃が触れた。

 その刹那、パリンッ! という、ガラス細工が粉々に砕け散るような、乾いた音が響いた。


国宝級の魔剣「レヴァナント」は、アレンの指に触れただけで、数千の破片となって四散した。青い光は霧散し、シルヴィアの手元には柄だけが残された。


「……あ。……え? えええええええ!?」

「耐久度の最小化。どんな名剣も、一回使えば壊れる仕様(不具合)に変更した。ごめん、指に力を入れすぎたかな」

「わ、私の家の……代々の宝が……お父様が……死ぬ、私はお父様に殺されるわぁぁ!!」


シルヴィアはその場に崩れ落ち、砕け散った破片をかき集めて泣き叫んだ。

 アレンは耳を塞ぎ、困ったように眉を下げた。


「おいおい、泣くなよ。公爵令嬢だろ。……仕様がねぇな。これだから、物理破壊系のバグは後味が悪いんだ。ほら、どいて。直してやるから」

「直す……? 何を言ってるの、粉々よ!? 元に戻るはずが――」

「壊れたなら、壊れる前のデータを読み直せばいいだけだ。時間は巻き戻せないけど、オブジェクトの状態は『ロールバック』できる」


アレンは散らばった破片に手をかざした。

 彼の脳内で、数秒前のメモリデータが検索される。

 [Target: Item_ID_001. State_Restore: Timestamp_T-10s]


シュゥゥゥン……という逆再生のような音と共に、四散していた破片が空中に舞い上がり、吸い込まれるようにシルヴィアの持つ柄へと結合していった。

 数秒後、そこには傷一つない、完璧な状態の魔剣「レヴァナント」が握られていた。


「……なおった。……うそ。完全に、元通りに……」

「データの復元完了。これでもう泣くなよ。あと、次はもっと耐久度の高い剣を持ってきな。あ、そもそも俺に物理攻撃は当たらないんだけどね」


シルヴィアは、自分の手の中の剣と、欠伸をしながら去っていくアレンの背中を、交互に何度も見つめた。

 彼女の中で、アレンへの敵対心は、底知れぬ恐怖と、それを上回るほどの「理解不能な存在への好奇心」に塗り替えられていった。

「……あなた、なんなの。神なの? それとも、この世界そのものを書き換えるバグ(不具合)なの……?」

評価してね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ