第三十話 決着
第二章完結です!
世界の裏側での激闘から数日。
王都は何事もなかったかのように平穏を取り戻していた。魔法異常はすべて収まり、街の人々はアレンの活躍を知らぬまま日常へ戻っていく。アレンはギルドの屋上で、街を見下ろしていた。風が心地よく、どこか“新しい世界”の匂いがする。シルヴィアが隣に腰を下ろす。
「……終わったわね。世界が壊れなくてよかった」
「まぁな。バグ直しただけだし」
「その“だけ”が普通じゃないのよ」
リーゼロッテも静かに微笑む。
「アレン様。今回の件で、ギルドから正式に感謝状が届いています。
……ただし、内容は“魔法異常の沈静化に貢献”とだけ。
裏側のことは誰にも理解されていません」
「理解されなくていいさ。
裏側の話なんて、誰にも説明できねぇしな」
アレンは空を見上げた。
あの戦いの最後、カイはこう言って消えた。
『また会おう、アレン』
あれは脅しでも挑発でもない。
純粋な“宣言”だった。
「……カイはまた動く。
あいつ、絶対に諦めねぇよ」
シルヴィアが眉をひそめる。
「また世界壊す気?」
「壊すっていうか……作り直す気だろうな。
あいつの頭の中じゃ、それが正義なんだろ」
リーゼロッテが静かに問う。
「アレン様は、どうするおつもりですか?」
アレンは立ち上がり、軽く伸びをした。
「決まってんだろ。
あいつがバグ撒き散らすなら――」
アレンは笑った。
「俺が全部デバッグしてやるよ」
シルヴィアが呆れながらも笑う。
「ほんと、あんたって……」
「変人です」とリーゼロッテが続ける。
「おい」
三人の笑い声が、屋上に静かに響いた。アレンは歩き出す。世界の裏側を見える者として、そして“デバッガー”として。まだ見ぬバグが世界のどこかに潜んでいる。カイの影も、確実に動いている。だがアレンは迷わない。
「……さて。
次はどんなバグが待ってるかね」
風が吹き、アレンの外套が揺れた。デバッガーの旅は、まだ始まったばかりだ。
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