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過労死デバッカーの異世界デバック学院無双 〜魔力0だけどバグさえ使えばなんとかなります!〜  作者: 甘い肉うどん
第二章 第二クール 伝説のデバッカー、冒険者となる

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第二十七話 もう一人のデバッカー③

いやあいいですねええ

アレンたちは森の奥へ進んでいた。魔法異常の痕跡を追ううちに、空気が明らかに変わっていく。普通の人にはただの“魔力の濃い場所”に感じられるが、アレンには裏側の構造が歪み、ねじれ、破損しているのがはっきり見えていた。

「……この先だな。魔力の線が完全に乱れてる」

「線って言うなってば……」

シルヴィアは呆れながらも、アレンの後ろをしっかりついていく。リーゼロッテは静かに周囲を警戒していた。

「アレン様。先ほどから魔力の残滓が増えています。誰かが“意図的に”魔法を使った痕跡です」

「だよな。自然じゃない」

アレンは木々の間を抜け、開けた場所に出た。

そこには、地面に焼き付いた巨大な魔法陣の残骸があった。

「……これは」

「また魔法暴走の跡?」

「いや、違う。これは“実験”だ」

アレンはしゃがみ込み、魔法陣の破片に触れた。

その瞬間、視界に裏側の構造式が一気に展開される。

「……やっぱりだ。誰かが魔法の根本構造をいじってる」

シルヴィアが息を呑む。

「そんなことできるの、あんた以外にいないでしょ!?」

「だから言ってんだろ。いるんだよ、もう一人」

リーゼロッテが静かに問う。

「アレン様。その者は敵でしょうか?」

「さぁな。けど――」

アレンは立ち上がり、周囲を見渡した。

その瞬間、空気が震えた。

「……っ!」

「な、なに!? 今の魔力の揺れ……!」

アレンだけが、その揺れの“意味”を理解していた。

魔法の裏側に、誰かがアクセスしている。

しかも――すぐ近くで。

「……いるな。見てる」

「見てる!? どこよ!?」

アレンはゆっくりと顔を上げ、森の奥を指差した。

「そこだ。隠れても無駄だぞ。裏側の揺れでわかる」

風が吹き、木々が揺れた。

そして――

「……へぇ。やっぱり気づくんだ」

木陰から、一人の少年が姿を現した。

年齢はアレンと同じくらい。

だがその瞳は、明らかに“普通の魔法使い”のものではなかった。

シルヴィアが警戒して叫ぶ。

「誰よ、あんた!」

少年はアレンだけを見て、薄く笑った。

「君、面白いね。魔法の裏側が見えるんだろ?」

アレンは目を細める。

「……お前も、だろ?」

「もちろん。じゃなきゃ、こんな壊れた魔法陣、作れないよ」

リーゼロッテが一歩前に出る。

「あなたが魔法異常の原因ですか?」

少年は肩をすくめた。

「原因ってほどじゃないよ。ただ、試してただけさ。

この世界の魔法がどこまで耐えられるか」

アレンの表情がわずかに険しくなる。

「……お前、魔法を“実験材料”にしてるのか」

「だって面白いじゃないか。

この世界の魔法は脆い。裏側を少し触るだけで壊れる。

君もそう思うだろ?」

アレンはゆっくりと歩み寄り、少年と向き合った。

「……名前は?」

「カイ。君と同じ“デバッガー”だよ」

シルヴィアが叫ぶ。

「デバッガーって何よ!!」

アレンは小さく息を吐いた。

「……カイ。お前、何が目的だ?」

カイは笑った。

その笑みは、どこか危うく、そして楽しげだった。

「決まってるだろ。

この世界の魔法を“作り直す”ことだよ」

アレンの目が鋭く光る。

「……それ、世界が壊れるぞ」

「壊れたら直せばいい。

君もそう思うだろ? デバッガーなんだから」

アレンは拳を握りしめた。

「……ふざけんな。

俺は“壊すため”にデバッグしてるんじゃねぇ」

カイは楽しそうに笑った。

「じゃあ――止めてみせてよ、アレン」

風が吹き、二人の間に緊張が走る。

世界の裏側を見える者同士の、初めての対峙だった。

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