第二十六話 もう一人のデバッカー②
急展開!
魔法異常地点の調査を終えたアレンたちは、森の奥へさらに足を踏み入れていた。異常地点そのものはアレンが軽く触れただけで安定したが、問題はその“原因”だ。アレンは魔力の流れを追いながら、まるで見えない線を辿るように歩いていく。
「……この魔力の乱れ方、自然じゃないな」
「またそれ? 普通の人には何も見えないのよ?」
「だから言ってんだろ。普通じゃない奴が触ったんだよ」
シルヴィアは眉をひそめ、リーゼロッテは静かに頷いた。
「アレン様。先ほどの異常地点の魔法陣……構造式が“意図的に”書き換えられていました」
「だよな。あれは事故じゃない」
アレンは立ち止まり、木々の間に漂う魔力の残滓を指先でなぞった。
その瞬間、魔力が微かに反応し、空間に“線”が浮かび上がる。
アレンにしか見えない、魔法の裏側の痕跡だ。
「……やっぱりだ。誰かが魔法の裏側を触ってる」
「そんなことできる人、他にいるの?」
「知らん。でも俺と同じ“視界”を持ってる奴がいる」
シルヴィアは息を呑んだ。
「それって……アレンと同じ能力ってこと?」
「そうだ。魔法の裏側――コードを見て、触れる奴だ」
リーゼロッテが表情を引き締める。
「アレン様。それは非常に危険です。魔法の根本構造に干渉できる者が、もし悪意を持っていたら……」
「世界がクラッシュするな」
アレンは軽く言ったが、その声にはわずかな緊張があった。
彼は世界の裏側を知っているからこそ、危険性も理解している。
「……で、その“誰か”はどこに行ったの?」
「痕跡はまだ新しい。近くにいるはずだ」
アレンは魔力の線を追い、森の奥へ進む。
すると、木々の間に奇妙な“焦げ跡”が現れた。
「……魔法暴走の跡?」
「いや、違う。これは……」
アレンはしゃがみ込み、焦げ跡に触れた。
その瞬間、彼の視界に“断片的な構造式”が浮かび上がる。
「……誰かが魔法を強制終了させたな」
「強制終了って……魔法を?」
「そう。暴走しかけた魔法を、裏側から無理やり止めた痕跡だ」
シルヴィアが驚きの声を上げる。
「そんなことできるの、あんた以外にいないでしょ!?」
「だから言ってんだろ。いるんだよ、もう一人」
アレンは立ち上がり、森の奥を見つめた。
その目は、獲物を追うハンターのように鋭い。
「……この世界の魔法をいじってる奴。
そいつが何者か、確かめる必要があるな」
リーゼロッテが静かに問う。
「アレン様。追跡しますか?」
アレンは軽く笑った。
「当たり前だろ。
バグを残して逃げるとか、デバッガーとして許せねぇ」
シルヴィアが呆れながらも笑う。
「……ほんと、あんたって変なところで真面目よね」
アレンは森の奥へと歩き出した。
その先にいるのは、彼と同じ“裏側を見る者”。
敵か味方かもわからない存在だ。
だがアレンは迷わない。
「よし――
いっちょ追跡デバッグといくか」
こうしてアレンは、初依頼で“もう一人のデバッガー”の存在を確信し、その痕跡を追い始めた。
ラブコメも描きたいな!




