第二十三話 決意
新展開!
学院の緊急会議で「アレンを外に出すべき」という結論が出てから数時間後。アレンは隠れ家のソファから立ち上がっていた。いつものように寝転んでコードを弄るのではなく、珍しく“外に出る準備”をしている。シルヴィアが驚いた顔で言う。
「ちょっとアレン、本当に行くの? 学院じゃなくて……外に?」
「当たり前だろ。学院の魔法はもう見飽きた。外の魔法――つまり外のバグを見に行く」
リーゼロッテが静かに微笑む。
「アレン様が外に出るのは久しぶりですね。……いえ、初めてと言ってもいいでしょう」
「まぁな。ずっと裏側ばっか見てたし」
セフィが淡々と告げる。
『マスター。冒険者ギルドには、未解析の魔法現象が多数報告されています。デバッグ対象としては最適です』
アレンの目が輝いた。
「未解析……つまり未知のバグか」
『はい。しかも野外の魔法は学院より複雑で、予測不能です』
「最高じゃねぇか」
シルヴィアが呆れながらも、どこか嬉しそうに言う。
「……あんた、本当にバグが好きね」
「好きじゃなきゃやってられんだろ」
アレンは隠れ家の扉に手をかけた。
外の光が差し込む。
「さて――」
アレンは軽く笑い、いつもの調子で言い放つ。
「いっちょデバッグしますか!」
その瞬間、シルヴィアが思わず吹き出した。
「……あんたの決め台詞、それでいいの?」
「いいんだよ。俺らしいだろ」
リーゼロッテが恭しく頭を下げる。
「ではアレン様。冒険者ギルドへ向かいましょう」
アレンは頷き、ついに隠れ家を出た。
魔法の風が吹き、世界の“裏側”が微かに揺れる。
アレンだけが、その揺れの中に“バグの気配”を感じ取っていた。
「……外の世界、思ったよりバグだらけだな」
シルヴィアが苦笑する。
「普通の人はそんなこと感じないのよ」
「普通じゃないから楽しいんだろ」
こうしてアレンは、ついに“冒険者ギルド”へ向かう。
ニート生活とは訣別し、
世界の魔法をデバッグする冒険者として歩き出した。
この一歩が、学院全体、ましてや世界中の魔法体系を揺るがす大事件の始まりになることを、まだ誰も知らない。
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