第二十一話 リモート出席
何が起こるのか?
『リモート出席したら学院の魔法が暴走した件』**
翌朝の王立学院。教室はざわついていた。生徒たちは「今日アレン・ロードライトが出席するらしい」「でも顔を覚えてないんだよな……」「英雄が戻るのか……?」と落ち着かない。記憶改竄パッチの影響で容姿は忘れても、“英雄がいた”という印象だけは残っている。担任が出席簿を開いた瞬間、教室の空気が“ピッ”と震え、中央にアレンのホログラムが出現した。もちろん、生徒たちにはホログラムではなく“謎の魔法投影”に見えている。
「……よっ。リモート出席だ」
「な、何この魔法!?」「影があるぞ!?」「魔力の流れが歪んでる……!」
アレンの周囲には世界のソースコードが流れていたが、生徒たちには“魔力の線が乱れている”ようにしか見えない。担任は震えながら言う。
「ア、アレンくん……どういう魔法を……?」
「魔法じゃない。リモート。外に出る気ないから」
「いや、そういう問題では……!」
シルヴィアが額を押さえる。
「本当に来たのね……その姿で……」
アレンは肩をすくめた。
「学院の強制召喚処理がうるさかったからな。仕方なく“データ的に”来た」
リーゼロッテが静かに補足する。
「アレン様は隠れ家から魔力を転送して姿を投影しています。物理干渉はできませんが、視覚・聴覚・魔力反応は完全同期しています」
生徒たちはさらに混乱した。「英雄が魔力投影で来た……?」「こんな高度な魔法、聞いたことない……?」教師は震える手で出席簿を閉じた。
「と、とりあえず授業を始めよう……」
アレンはホログラムのまま教室後方に“座る”。椅子はない。空中に座っているように見える。シルヴィアが小声で囁く。
「ねぇアレン。あなたのせいで教室の魔力が乱れてるわよ。時計の魔法陣が逆回転してるし、黒板の文字が勝手に動いてるし」
「気にすんな。俺のホログラム維持のために、学院ネットワークに“軽くパッチ”当てただけだ」
「軽くでこれなの!?」
セフィが背後で淡々と告げる。
『学院の魔導ネットワークは旧式です。マスターの存在同期だけで魔力負荷が限界です』
「だろうな。じゃあ負荷軽減のために――」
アレンが指を弾くと、天井に巨大な“魔法陣”が展開された。実際はコードだが、生徒たちには魔法陣に見える。
「うわあああああ!!」「魔法陣が空に浮いてる!!」「魔法理論の構造式ってこうなってたの!?」「先生の魔法陣、バグってるぞ!!」
教師が絶叫する。
「アレンくん!! やめなさい!! 授業が壊れる!!」
アレンは冷静だった。
「いや、壊れてるのは元からだろ。この魔法陣、構成式がガバガバだぞ。“魔力理論_基礎”の値が未定義のまま使われてる」
「やめてぇぇぇぇ!!」
シルヴィアは頭を抱える。
「……アレン。あなた、学院に戻ってきて一分で授業を破壊したわよ」
アレンは満足げに笑った。
「いいだろ? 久しぶりのバグ遊びだ」
こうしてアレンの“リモート学院生活”は、初日から学院の魔法体系を半壊させるという最悪のスタートを切った。だが、この混乱はまだ序章にすぎない。学院全体を巻き込む“巨大魔法暴走事件”が、すでに水面下で動き始めていた。
次回からは恋愛要素も組み込みます!




