第十八話 決闘祭⑤
評価してねええ
ついに迎えた決勝戦。対戦相手であるレムリア王国の第一王子エドワードは、屈辱と怒りで理性を失っていた。
「認めん……認めんぞ! あのようなインチキ男が、英雄として称えられるなど! こうなれば、我が国が封印していた『神の遺物』を解き放ってくれる!」
エドワードが古びた魔導書を開き、呪文を唱えると、闘技場の地下から轟音と共に巨大な鋼鉄の塊がせり上がってきた。全長十メートルを超える、幾何学的な紋様が刻まれた巨大な魔導ゴーレム。だが、その姿を見た瞬間にセフィの雰囲気が変わった。
『マスター、警告。……あれはゴーレムではありません。前文明の遺産――「ローカルサーバー保守用セキュリティユニット」です。その内部には、私よりも古い世代の、バグを「抹殺」することのみを目的とした極めて攻撃的な初期型管理プログラムが搭載されています』
ゴーレムが不気味な電子音を響かせ、赤いレーザー光線で会場全体をスキャンし始める。
『――不正規ユーザーを確認。この世界の「全初期化」を実行します。対象領域:半径百キロメートル。全生存個体のデータ抹消を開始。』
古びた管理プログラムは、世界が自分たちの想定を超えて発展したことを「巨大なバグ」と判断し、一括削除という名の滅びを走らせようとしたのだ。会場中が絶望的な魔力の波動に包まれ、人々が恐怖で動けなくなる。重力が数倍に跳ね上がり、呼吸すら困難な状況。
だが、アレンは一人、肩をすくめながらゴーレムの足元まで歩み寄った。
「古いな。OSのバージョンが三つくらい前だ。セキュリティホールも塞いでないし、何よりこの『削除コマンド』、管理者認証を一部スキップできるバグが残ったままだぞ。前世の俺なら五分でハックできる代物だ」
アレンはゴーレムの脚部に手を触れ、直接脳内にキーボードを展開した。
「管理者権限:アレン・ロードライト。優先度:最高(Root)。コマンド:全プロセスの強制シャットダウン。理由:納期遅れによるプロジェクトの中止。……ついでに、この筐体の管理権限をセフィに譲渡しろ」
――ピ、ピッ、ピギィィ……。
あれほど世界を滅ぼさんとしていた古代兵器が、情けない電子音を立てて機能を停止し、その場に膝をついた。アレンはそのまま、ゴーレムのコアである「旧世代プロセッサ」を物理的に引き抜き、それをセフィに手渡した。
「ほら、セフィ。こいつのデータ、お前のデータベースに統合しろ。これで少しは処理速度が上がって、俺のニート生活のサポートが捗るだろ」
『――感謝します、マスター。……旧世代の非効率なコードを、美味しくリファクタリングさせていただきます』
セフィがコアを飲み込むと、彼女の瞳がさらに深い知性を宿して輝いた。
あざすううう




