第二十四話 僕は現地で観戦したい
ちょっと短めです。
「ふぃーー……疲れたなぁ!」
僕は自室のソファにどっかりと座り込んだ。
ケバケバしい衣装に身を包んだ四肢をだらりと伸ばし、リラックスする。
全く気が張るったらないよ。
魔導四妃……威厳ありすぎじゃね?
創造主の僕でさえ緊張するんだけど!
まぁ、キャラ的にロールプレイに失敗するってこともないから、別にいいんだけどさ。
これは完全に気分の問題だね、うん。
今の僕は、道化師の格好をしている。
なんでかって?
僕が道化師という登場人物の正体だからだよ。
道化師というのは、黒幕である僕=魔神様が、下界で自由に動き回るための仮の姿である。
僕が膨大な魔素を宿しているのは事実なので、勝手に動き回ると周囲に影響が出過ぎてしまう。
だから、僕という存在が直接表舞台に立つわけにはいかない。
それに、僕は黒幕だよ? そもそも、気軽にうろついてていい存在じゃないのさ。
だからこそ、道化師という遠隔操作できる端末を作る必要があったというわけ。
最初は魔神様として、上からあれこれ指示を出そうと思ったんだけど、それだと退屈だ。
だって、物語はすぐ側で見るのが一番面白いんだから。
遠くから見ているだけじゃ、どこか味気ない。やっぱり臨場感を大事にしたいしさ。
権威付けのためには、ちょくちょく顔を見せるようなフレンドリーな存在ではいけない。
でも引っ込んだままだと、存在自体が疑われる。
だからこそ、魔皇という巫女を代役に立てて、【神託】という形であれこれ指示するっていう形に落ち着いた。
これなら、別にどこかに定住しておく必要もないし、好き勝手に色々な場面を直接観戦できる。
だから、魔皇役の少女……あれは極論、別に誰でもよかった。
彼女は【神託】なんて能力を持っちゃいないし、別に強いわけでもない。
寿命を引き延ばしつつ、成長を阻害しているという改造を施しているだけの、ただの女の子だ。
権威付のためにユピテル・ダークティリオスと名付けたけど、もちろん本名は別にある。
何のためにこんなことさせているかというと……まぁ、それは今は置いとくとして。
最前線で物語に参加したい、っていう手前勝手な理由だけじゃないよ?
道化師は、物語の調整役でもあるのさ。
【魔導四妃】の存在は、魔導皇国の運営に欠かせないわけだけど……なんせコイツら優秀すぎるんだよな。
放っておくと、すぐに世界征服を企てて、しかも滞りなく成功させてしまうだろう。
一人ひとりが実力者であり、管理運営能力にも優れている。
しかも諸事情により、4人とも地球侵略へのモチベーションが非常に高い。
コイツらが直接侵攻するだけで、普通に人類サイドは詰みになってしまうと思う。
最初は四天王的な存在を作ろうと思って生み出したわけだけど、試しに戦闘能力重視で組んでみたら酷いことになったので、実力だけでなく、能力も伴う人材を発掘してきたらこうなったのだ。
まぁ無能よりはいいか。ちゃんと言うことは聞いてくれるし。
だから、リ・ヴァース勢力には、縛りプレイをさせておくぐらいでちょうどいいんだよね。
さっき魔皇に言わせた「魔導十姫は出撃禁止。その部下をひとりずつ、弱い順に出撃させろ」なんて指示も、本来なら無能もいいところだ。ニチアサなんかでは定番の作戦だけど、本来なら物量作戦で押した方が強いに決まってる。怪人だってひとりずつ出すんじゃなくて、1年分の敵をまとめて出撃させれば普通は勝てる。
例えば……物量作戦で、魔獣兵と魔導戦士を一気に雪崩れ込ませたら?
そんで、もし苦戦しているところがあれば、そこに魔導十姫を複数名送り込む。
これだけで、かなり余裕を持って侵略は完了すると思う。
こんなことをされたら、和花ちゃん陣営だって手も脚もでないだろう。
どんなに彼女が強くても、和花ちゃんは一人しかいない。
それに、沖縄とか北海道とかに怪人を出現させても、機動力の問題で対応できない。
でも、そんなのって萎えるよね?
ガチすぎて面白くないよね。
だってこれ、僕の始めた物語だよ? だから、面白くなかったら無意味なんだよね。
現段階では、物量だけでなく、戦士の質でもこちらが上回っている。
だからこそ、送り込める戦力と場所を制限する必要があった。
ルーナちゃんに転移装置をぶっ壊してもらったのも、それが主な理由だ。
あれがあればまとめて数万の戦力を一気に送り込むことができたし、魔導十姫を全員出撃させることもできた。
魔神様の無能な指示も、これによって多少は説得力を増している。
既に地球に駐在しているリ・ヴァースの現地戦力を削っておくという意味合いもあるし。
そういうわけで、道化師としてのアンダーカバーは、そこそこ重要なのさ。
それに、おちゃらけた様子の正体不明の謎の人物が、実は黒幕だった……ってのも、なかなか燃える展開だと思わないかい?
ちなみにクラウンって名前には、道化師と王冠、ふたつの意味が込められている。
つまり、実は裏ボスですよ、という伏線になっているわけだ。
これはライト・ヴァース勢力はもちろん、リ・ヴァース勢力も知らないことだ。
まぁ、エルフューザには、僕の正体は気づかれているんだけど。
色々な意味で、彼女だけは特別だからね。
さーて、もうちょっと寛ぎたいけど、そろそろ次の仕込みに移行しなきゃ。
何の準備かって?
和花ちゃん……つまり、マギア・ローズの公式デビュー戦さ!




