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美味しい話
240107
肉の焼ける音、肉の焼ける音。
腐乱死体腐乱死体。
ボコボコと茹だった鍋が呼んでいる。
振り下ろして、叩き落として。
「なんで僕がこんなこと」
血袋の中の彼の顔。
「君はいい料理人になるな!」
「俺か?俺はダンサーになるんだ!」
「見ろ!この美しい肉体!これならお父様も喜んでくれる!」
「ああなんで、なんで」
「お父様、」
絶望し切った鍋の色。
ダン、ダン。
叩き潰して。
肉の焼ける音。
あまりの腐敗臭に思わず顔を顰めた。
山の麓にあるコテージの地下室には日も入らない。
薄暗い調理場には何人もの死体が転がっていて、その全てが腸を返され。
「……おい」
その奥の扉を開いて、あいつに声をかける。
あいつは絶望の涙を流しながら、腐敗臭ばかりのこの部屋で食事をしている。
そんなに美味いのかよ。笑みを浮かべて。
青髪のダンサーはハンバーグに丁度いい。




