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あまりもの じゅよん
襲い掛かる雨粒の中で、苔生した私はカミキリムシになりたがっていた。
指が解けた真ん中の世界に、真ん丸のお月様が目を見開いてこちらを見ていて。
私がそうやって夢で逢えたら、憂鬱の窓辺に時の甲羅を重ね合わせていたんです。
罪を創って罰を描いたとして、それが形になるのは何百年後の世界でしょうか。
私にはわかりません。私には理解できません。
次に歌うのはこの世の終わりでしょうか。月に歌ったのは我が身の心で御座いましょうか。
未だ見ぬカササギの茹だる製鉄を描いて、正辰は既に正されておりました。
継がなければ、継がなければと、風上にも置けぬ有限を遂に無と化して。
私の心はどこにあるのでしょうか。
胸元の火傷は酷く傷んで私を焦がしておりましたので。
貴方、貴方は。
貴方はどうしてここに来てしまったのですか。
三途の川は寒かったでしょう。
おいで、おいで。
手を握りましょう。
木に掛けられた布の重さなど気にしなくて良いのです。
それは見る必要のないものです。
見なくていい。
見るな。
其れは、
それ以上は、いけない。




