エルゲンフランツって何
230507
同窓会には飽きてしまったから、その辺を歩き回っていようか
やはり人と過ごすのは苦痛なのだ
屋根の上を、木の上を飛び、身を預け、気を楽にする
彼女達も追いついたみたい
仕方がないから近くに座ってやった
一番後ろの列
それも段々飽きてきたからその辺の金網の傍に逃げたんだ
彼女達はほっといてくれたみたい
「パールガチャ……?」
彼女達がひとりの男の演説を聞きながらそれを回した
100円
カラフルなカプセル
中には穴の開いたカラーの、石
「そちらには1000万円の価値を示す書類が入っておりまして」
「それが本物であれば一億、偽物であれば1000万を払って頂くようになっているんですよ」
「簡単でしょう?引き当てればいいだけなのですから」
彼女達は動揺していた
だってそんなこと、言われてもいない
思ってもいない
貼り付けたような男の笑みに脅えて、自身のカプセルをただじっと見ていた
………………………………。
仕方がないなぁ。
立ち上がり、私は全てを回して、全てを出した。
がらんがらんと、カプセルは私の足元に散らばっていく。
さぁ、始めようか。
発見機の中にひとつひとつ押し込んでいく。
途中から開封するのも面倒になったから、カプセルのまま放り込んだ。
ひとつ、また、ひとつ。
全てを入れ終えた後に、私は笑う。
「矢張り嘘か」
「君を詐欺師として訴えれば失った金は戻るだろう」
「安心して」
彼女達は安堵していた。
それはそうだ。ほんの20なんぼの少女に、何が出来ようか。
男は激昂する。
その髪を掴み、地に叩きつけた。
起き上がる所をネクタイを掴んで踏み付けた。
「詐欺師を騙すのには、まだ経験が足りないようで」
男は崩れ落ち、まだ諦めぬ恨みを込めて小さく呟いていた。
「エルゲンフランツにさえ頼れば、あれを本物にだってできる」
「今に見ていろ」
彼を警察に渡し終えた後に、エルゲンフランツとは何だったのかを考えていた。
それと同時に、扉の向こうで声が聞こえた。
「エルゲンフランツは、そんなことでは動かない」
人嫌いの詐欺師の話




