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かにの歌
230516
6匹。
かにの、死体だろうか。
古びたアパートの階段に群がっている。
赤、紺、白。
1匹頭の抉れたかにがいた。それを呆然と眺めていた。
中央広場には大きな木が生えている。石垣の中で私を見ている。
私を。
かにが降ってきた。
食い殺されるのだと目を閉じた。何も起こらなかった。
頭片が赤い真っ白な女がいた。
頭片は赤く脈動し血の対を成していた。
女はかにだ。
その頭にかにの身を詰めて生きていくのだろう。
廃校舎の門の向こう側へ。
紺色のかにはそれを見詰めていた。
かにの歌。




