とある星のロボットの話
230129
荒廃した土地にピタゴラスと言う車椅子の男が居た
その土地の地下では数多の人間が別の星を目指す宇宙機関を生み出すために働く研究所があり工場があった
彼はそこに潜入したスパイだった
本体は古めかしい人間の膝位置より少し大きいくらいの掃除ロボットで、攻撃性能など何も無かった
彼にあるのは口だけだった
そこで生み出されたものが時を行き来するマシン
ピタゴラスは研究者を操りそれに乗り込むことに成功したのだ
冷酷なロボットピタゴラス、彼は過去に乗り込み人間を支配する
予定だった
不時着したピタゴラス、とある女に拾われた
金髪碧眼の男と、冴えないふくよかな黒髪の女
元の姿に戻りピタゴラスの姿を維持出来ないロボットを誰が支配者と思おうか
彼らは優しかった
「掃除してくれるの?ありがとうね」
「ゴラス、見ておくれ。君のイラストを描いたんだ」
少し歪なその絵がなんでか愛おしかった
数年達、仲間が接触してきた
「任務を忘れるな」
そうだ この土地は何れ荒廃してしまう
私にはやるべきことがあるのだ
ピタゴラスは船に乗る
彼らに申し訳ないことをした
ピタゴラスは未来に飛んだ
幼い少年少女が、ピタゴラスを眺めている
ああ、また失敗したのだろう
自身の姿が情けない小さなものに戻っていることを実感する
小さな姉と弟、それから少し年の離れた少女
彼らもまた、優しかった
「ねーちゃんこいつ大丈夫かなぁ」
「わかんない……」
「とりあえずここ直したら動くんじゃないかな」
彼らはわからないなりにピタゴラスを直してくれた
その行為がなんでか愛おしかった
彼らの為に水場と排泄所を整備した
とは言っても、突貫の情けないものだが
水場には彼らと過ごす魚と亀を置いておいた
この世界でも、人は
「任務を忘れるな」
ああ、今理解した
この星は彼らの為にあるのだ
私がやらねばなるまいね
ピタゴラスは船に乗る
目指すは現在
星崩しの支配者を今、
過ごした日々がその中に
あることだけを信じて
過ごした日々が僕の中に
あること、それが真実
歌の中で、左のこめかみに歪な絵をタトゥーにした男が映る
お母さん!と呼ぶ声がし、ふくよかな女はそれを撫でている
水場ではしゃぐ子供の声がする
方や排泄所が壊れたと慌てて直す少年もいる
どこかで幸せそうな星のロボットが眠っている
どこかで、彼らにまた会えますように




