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雨が降る
220406
子供の声が遠くに聞こえ、それはそれは懐かしい仄暗さを彩るのだ
……私は何を間違っていたのだろうか
古い日に買ったオルゴールの音色は錆びている
机に置かれた時計の弓は動かない
錆折れた月の音色が、苛む
私は何を間違っていたのだろうか
ごぷん、水が満ちるような
窓を叩く
仄暗さが増す
私は何を間違っていたのだろうか
打つ雨は優しげに全てを包み込む
私は何を
雨が降る
私は
どぷん、
ひとりの男が風呂場で亡くなっていたという
男に家庭はなく、添い遂げるものもいない
猫が、
猫が鳴いた
胸に抱いていたのは、月の降る夜だった




