35/165
対の船 女
220102
あの船は何処へ行くのだろうか
氷の翼を持つ船は
異国の女に無口な少年
ぶっきらぼうな船の長
世話焼き男は由来を話す
「この海はあまりに冷たいが故、オールが凍る跳ねた水」
「それが益々増えるが故に、終いにゃ翼に見えるのさ」
それを笑って聞く子供
氷の上にいた子供
世話焼き男に手を貸され
氷の船に乗る子供
気付けば彼は何処にもいない
気付けば彼はそこにいる
あの船は何処へ行くのだろうか
あの子は何処へ向かうのだろう
それを私は知るのだろうか
それを私は知らぬのだろう
女が笑う
褐色の肌
妖精の銀がよく映える




