天翔る星の子よ
240901
様々な怪異が集まる混沌とした国に、母と姉妹に罪を被せられて国を転々としてる吸血姫が帰ってきた
夕暮れの化け物、宵闇の罪人、レンガの色彩、パペットの幼子
吸血姫は土の中に眠る巨人、アスクレピオスと仲が良く、彼の作る癒しの泉を求めてやってきた
アスクレピオスに半身はなく、巨大な上身を土で作られたした身で支えている
大きさは自由に変えられるので、彼女の頼み通り竹のような大きさにまで縮んでやった
共に泉に入れば彼は言う
「おんしは何時までこうしとるのか」
「わしと泉に入るのはええが、いつまでも利用されるばかりじゃぞ」
彼女が泉に入る理由は、母の為であったから
「早く帰りぃ」
彼は彼女を抱えて泉を出、国の入口へと向かう
しかしそこには数多のネットがかけられ、彼女を出すまいと足を止めていた
「運がいいのぅ。おんし、わしがおらんかったら帰れんかったわ」
アスクレピオスはその怪力で、次々とネットを引きちぎる
進む事に強度を増すそれに、怒りを蓄えながら
「…………」
国前の路地に出ても、まだ追い続ける幼子のパペットや、レンガの色彩は土の壁に阻まれている
彼女を探しにやってきた前の国の王子が情けなく泣いていたので、それも摘んで帰路に着く
ウチハネの花畑に王子は置いておいた
暫くすれば農民が気付くだろう
彼女は今の国に返してやろう
第二王子の妻になったのだから
夕焼けはまだ背を追い続けている