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編光炉  作者: Nox
122/152

あまりもの じゅはち

ワインの染みは落ちにくい


お前はずっと勇者のままで、英雄気取りの顔をして。


焼け落ちた薄衣を剥いだ。

誰も弔いはしないから。

魔王となった俺と燃えたお前は、誰にも弔われることの無いまま、この地で朽ちていく。

どうしてこんなことになったのだろう。

どうしてこんなことにしかならなかったのだろう。


俺はお前のことを誰よりも理解していたはずなのに。

その明るい性格も、自己犠牲も、はなから全てわかってここに来たことも。

君は生贄だ。お前はそう言ったな。

そうだ。俺もかつてはそうだった。

お前と同じ、英雄気取りの生贄だった。

でも俺はお前と違い、この土地に馴染んでしまったんだよ。


だから、俺はお前のようにはなれなかった。


なあ、答えてくれ。

どうして絶望せずにいられたんだ。

なあ、教えてくれ。

どうしてお前は勇者になれた。

なあ、なあ。

どうして、全てを理解したまま、俺の元へとやってきたんだ。


どうして。


「それで君を救えるのなら」


朽ちるはずだった死体は、金色を纏い立ち上がる。


「君を救いたかったんだ」


鈍い銀の輝きの手を取り、金と銀の王者は統べる。

誰も見た事のない楽園を、偽りのない結末を。


ワインの染みは落ちにくい。

ずっと心の中にいたから。

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