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あまりもの じゅなな
麦の花が咲きました。
晴れた日は遠く、我が身を焦がす土の中に芽吹いています。
私の胎の中で蛆が騒いで、身を捩れば解ける肉体の意図をそっと考えるのです。
ゆうやけこやけの音色は微かに耳奥に残っているので、何一つ問題は無いのだと言い聞かせて首を傾げたのです。
どこに囚われたのでしょうか。
紫色の蜘蛛は目を輝かせて私を狙っておいでなのでしょう。
何処に行かれるのですか。
何処に行けると思うのですか。
この身を捨てた山奥の雑木林を抜けて、キャベツ畑にでもおいでなされば。
嗚呼、きっと土が私の種を撒くでしょう。
鳥が私の身を撒くでしょう。
遠く、遠くへ。
揺籃を抜けて、彼方へとお前を追いなさすれば。
おんぎゃぁ、