表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

忘れない約束

作者: 風家

※初投稿作品なので誤字脱字が多いと思います。あらかじめご了承ください。

ある日、幼い頃の夢を見た。僕と野良猫が一緒に季節外れの桜を見た...時の...。

 「そろそろ起きなよ。遅刻したらまたゴリ先にしばかれるよ(笑)。」

「聞き馴染みな声がする」と思い、重たい目を開けると、そこには近所に住むクラスメイトの桜冬おとがいた。

「また勝手に部屋に入ってきて...。ほんと、人の気も知らないで。」

「いいじゃん!減るもんじゃないんだし(笑)。」

桜冬は、ここ最近よく家に来る。知り合ったのが1年前なのに今や幼なじみの様。桜冬は高一の秋に転校してきて、最初の席で隣になったのが僕だった。最初の頃クラスの人に囲まれて学校で僕と話す事は少なかった。けど家が近所だったこともあり、行き帰りの道中で会うことはよくあった。会えば、

「おはよう!あ、そうそう昨日のアニメ見た?」と桜冬が言うと

「おはよ~。まだ見れてないよ。」と言った何気ない会話している。

そんな日常を送っている中で一つだけ疑問に思っていることがある。それは、

「僕と桜冬が昔に会っていたのではないか」

と言うものだ。早く聞きたいのだがなんて聞けばいいかがわからない...。直感で話したら

「桜冬がいなくなる」

そんな気がしたからだ。転校してきた時から少し好きだったこともあり、結局聞けぬまま高二の秋が来てしまった。だがこの疑問は、桜冬が季節外れの花見をすることによって動き始めたのだ。

 季節が秋から冬になり、町外れで見れる桜の話題でクラスは賑わっていた。

「ねぇねぇ、例の桜の噂知ってる?(笑)」

「あれでしょ!満開の桜の木の下で出来たカップルは永遠に結ばれるってやつでしょ?(笑)」とクラスの女子が話していたのを聞いた。

「そんな呪いみたいな話、嘘に決まっているのに。」心の中で僕はそう思っていた。

だが、その日の放課後珍しく桜冬が昇降口で誰かを待っている雰囲気でそこにいた。僕が声を発するより先に桜冬が話しかけてきた。

「あ、やっと来た!待ってたんだよ!」その言葉に僕は思わず首をかしげた。

「どしたの?急に。」

「友達が用事で先に帰っちゃってさ。1人で帰るの嫌だったから(笑)」

「帰りぐらい1人で帰れば良いのに(笑)」

「まぁまぁ良いじゃん(笑)」そう言って結局一緒に帰ることになった。

最初は世間話をして、少し経ってから桜冬が空気を変えた。

「ねぇねぇ例の桜、誰かと見に行くの?」

「特に約束してないよ。桜冬は?」

「私も予定ないんだよね。でも見に行きたい!チラッ」

「い、一緒に行く?」

「うん!行く!!」

「まじ!?じゃあ、再来週の土曜に宇治市植物公園の蝶々の前に14時集合でどう?」

「おけ!ちょ~楽しみ!」

この時、女子と出かけることのない僕は、内心嬉し過ぎて頭がパンクしてここから先のことを覚えてなかった...。

その日から特に進展はなく約束の日になった。

僕は、約束の時間より早く着いてしまった。しかし桜冬が先に待っていたのだ。

「よ!早いね(笑)」

「よう!楽しみで早く着いちゃった(笑)」

普段会うときは制服が多かったからか、可愛いけどどこか大人っぽい私服の桜冬にドキッとした。

少しうつ向きながら、

「俺も少し楽しみ…だったから桜冬より早く着くつもりだったのに…。(笑)」

「考えてた事一緒だね!(笑)」

と僕の方に振り返って笑顔で言ってきた。

そんな事を話ながら歩いていると例の桜にたどり着いた。

見通しが甘かったようで、桜はまだ満開ではなかった。そのため人はそれほど多くなかった。

近付くたびに、冬の澄んだ空に咲いた桜の迫力が増していく。

桜の木の下にいる人は僕達だけだった。

「満開じゃないから人全然いないね(笑)」

と桜冬が座りなかがら言う。

「そうだね(笑)でも静かでいいんじゃない?(笑)」

「なんか二人だけって感じだね(笑)」

桜冬がそういうと僕は意識しすぎたせいか頷く事しかできなかった。

そんな僕に構わず桜冬が続けて話してきた。

「なんか懐かしいなぁ(笑)」

僕は思わず、「え?」とすっとんきょうな声がでた。それもそうだ、桜冬と知り合ったのは2年前のはずだからだ。

「なんで懐かしいの?」

思わず聞いてしまった。

「う~ん…。子どもの時に誰かと見た気がしたから…かな?(笑)」

「そうなんだ。(笑)僕は子どもの時に猫と一緒に見た以来この桜見てなかったから僕も懐かしいかな?(笑)」

ふと桜冬を見ると固まっていた。

「どうしたの?大丈夫?具合悪い?」

桜冬は首を横に振るだけだった。

僕は少し焦ってワナワナしてると桜冬が小さく、

「覚えてたの…?」

「覚えてた?」

そう聞き返すと桜冬は首を縦に振った。

僕はポカンとしてたが子どもの頃の記憶を思い返して思い出したことが一つはあった。

「桜冬ってなん時の猫に付けた名前と一緒だ…。」

「やっと気が付いた?」

少し照れくさそうに桜冬が笑ってた。

「え?どうして…。」

もう僕の頭はパニックだった。

「どうしてって。(笑)私、……だもん。」

僕は上手く聞き取るとこが出来なかった。

「でももう会うことはないよ。」

「会うことはないってなんで!?」

「もう長くないから。」

「死んじゃうの!?」

「なんだろ?(笑)死ぬってよりは消えるかな?(笑)」

「なんで嫌だよ。」

もうなにがなんだか僕には理解出来なくて涙目になってた。

「泣かないで。大丈夫だから…。」

「大丈夫じゃないでしょ!もう僕わかんないよ…。好きな人が消えるなんて…。」

「え!?好きな人…!?」

桜冬が頬を赤らめながら聞いてきた。

「そうだよ!転校してきてどこか親近感があってそっから話していくうちに好きなってた。」「私たち今でも両思いだったんだね(笑)。」

桜冬が嬉しそうに言った。

「今でも…?」

考えるより先に声に出していた。

「昔に猫だった私に好きって言ってくれたじゃん。そんときからずっと私は好きだったよ。でもお別れだね。」

「そんな…もっと話してたいよ…。昔の事とかこれから先も話していたい…。消えてほしくない…よ…。」

そっと桜冬の手を握ったが桜冬の手は消えかかっていた。

「昔の事少し忘れてた君だから不安だけど、忘れないでね。私の事…。」

そう言うと桜冬は消えてしまった。

そっからの記憶は覚えていない。

次に目を覚ました時は、教室の自分の机だった。あれからクラス名簿に桜冬の名前はなくクラスメイトに聞いても覚えてる人はいなかった。桜冬という存在が現実ではなく幻だったとしても僕は忘れないだろう。なぜなら…

「桜冬とした最後の約束なのだから。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ