表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/58

第56話 パーティ結成

 俺とリディとマデリンの3人で、冒険者としての生活が新しく始まった。


 それは俺とリディだけの秘密を、マデリンとも共有するって事だ。

 マデリンは改まって話す俺たちに構えながらも、ちゃんと受け止めてくれた。


「じゃあ、じゃあエイダン様は勇者であり、賢者でもあり、スーパースターでもあるって事?」


 スーパースターは違うけど、おおむね合っている。これが俺の秘密だよ。


「守護騎士にも料理人にもアイドルにもなれるなんて、私いらないじゃないか」


 それは違うぞ。俺は何でもなれるけど、1人でできることはたかが知れてる。

 だからこそ信頼できる仲間が欲しいんだ。そしてそれがマデリン君なんだよ。


 あと、アイドルは言ってないよ。


「エイダン様、格好良すぎだよ。それにさ、もっと早く言ってほしかったよ」


 でもほら、マデリンの村では送魂師と賢者だったのに、今はちがうだろ?


「言われてみればそうだね。でも今まで気づかなかったんだろ?

 はっ! もしかしてエイダン様は神様? これは失礼いたしました、ははーっ!」


 バ、バカ、道の真ん中で土下座なんかかするな。周りが見ているし早く起きなよ。


「こんな私に気を遣っていただき恐縮ですますです、神様ー」


 もう手遅れだ。なんだなんだと、野次馬が集まってきて晒し者だよ。


 ハタから見たら、少女に土下座をさせて、神様ごっこの変態プレイヤーにしか見えないよ。

 これで明日の朝刊トップ決定だよ。


「マデリンちゃん立って。エイダンは頼りがいはあるけども、少し抜けているし可愛いところもあるのよ。

 そんなに畏まらなくてもいいわよ」


 なにやら少し離れたところで、2人でウフフ、アハハと楽しそうに話し出した。

 騒ぎは収まり野次馬も散っていった。リディのお陰で助かったよ。


 とはいっても、俺たち2人とマデリンとの差は大きい。


 その差を埋めるにはレベルアップや、装備の充実などで補っていくしかない。


 レベルアップは追々していくとして、即効性のあるものでは、俺の力でジョブを付け加えることもできる。


 でもマデリンは、まず自分の足で立ちリディを守りたいと言ってきた。

 俺たち2人はとても感心し、機会が来たらその時改めて取得してもらうことにした。


「そうなると装備で補強ってコトね」


 幸いにも資金は十分あるし、いつも使っている防具屋を訪ねようぜ。

 初心者でも使いこなせる、高性能装備があったはずさ。




「ふわぁ~、スゴいのばかりだー。こ、これなんか守護騎士にピッタリだよ」


 体力のないのに、金属のフルプレートは無理だろ。守るどころか移動もできないぞ。


「だったら、この金ピカの盾はどう? 絶対に強そうだよ」


 だからー、さっきからそんなのばかりだな。こういったのは店長に任せるのが一番だよ。


「ははは、それでしたら、ギガントボワの皮鎧はどうですか?

 お客様が扱える中では、一番防御力が高いですよ」


 おお、硬い毛が刃物を弾くタイプか。この地方にない素材だし、ヤッパこの店にして正解だぜ。


 探してみると他にも色々と、掘り出し物がいっぱいあった。


 超レアなミノタウルスヘルムがあるじゃん。

 盾と足の部分はロックタートルで、ガッチガチに固めておくか。


 値段は張るけど、これ以上にない最高装備だし、見た目もすっごく強そうだぞ。マデリン、着心地はどうだ?


「うん、少し重たいけどなんとかいけるかな」


 レベルが2つ3つ上がれば、それも気にならなくなるさ。そうだよなっ、リディ。


 …………あれ、どうしたリディ。なんか機嫌悪くない? 


「エイダン、まさかこれに決めないわよね?」


 いや、まだまだこれからさ。値段度外視で能力アップの付与も付けるつもりだよ。


「違うわよ。こんな見た目は可哀想よ。全然可愛くなれないじゃない」


 ん? かわいさ必要?


「マデリンちゃんは女の子よ、しかも12歳。

 こんな毛むくじゃらの鎧に角だなんて、意味がわからないわ。山賊少女にしか見えないわ」


 でも、戦いの日々だぞ、マデリンの安全を考えるならこうなるよ。


「ダメよ、色も茶色と灰色だし、石の足元って私だったら泣いちゃうわ」


 そりゃリディみたいな後衛なら、ベストやローブとかの軽装備があるよ。でも、マデリンは守り手だ。見ためより安全重視だよ。


 それにリディの言うカワイイ色にしても、色とかハゲてすぐ台無しになる。

 革製にしても金属製の装備でも、着色しているからどうしようもないぞ。


「だったら、元々ピンクやパステルカラーの革を使えばいいじゃない」


 ニッコリと笑うリディには悪いけど、そんな都合のいいモンスターなんていないよ。


「お客さん、それなら〝マダラ〞がいいんじゃないですか? 上手くいったら魔法効果もつきますよ」


 あ、バカ余計な事を言うな。あー、食い付いちゃったよ。


「何で隠そうとするの、ちゃんと教えてよね」


 分かったよ、ちゃんと話をするけど、期待はするなよ。


 店長は上手くいったらって言っていたけど、上手くいった試しがないモノなんだ。

 リディだって〝マダラ〞を使った製品って聞いた事ないだろ?


「うん、初めて聞くわ、何がそんなに問題なの?」


 マダラってのは、神聖樹の森にいる非常に硬い芋虫型モンスターなんだ。

 そして節ごとに違った色の体を持ち、その色に合った属性の攻撃や防御してくるのが特徴だ。


 例えばピンクならチャームだし、モスグリーンなら煽り耐性、ライトブルーなら冷気だな。


「なんて素敵なの、その素材を取りにいきましょう」


 まぁ待って、それが上手くいかないんだよ。


 さっき言ったように、硬い体を持っているうえ生命力が強いんだ。

 切断できたとしても、それぞれの身体が独立して動き出すタフさだよ。


 だから活動を止めるには、弱点である神経脳を破壊しなくちゃいけないんだ。


「でも、剣王の力でイケるでしょ?」


 いや、厄介なのはそこだよ。脳にあたる部分を神経内で自由に移動させるんだ。

 だから脳がどこにあるのかがわからない。


 闇雲に切っちゃうと、相手の手数が増えるだけで、こちらには何のメリットもないんだ。


 だから手順としては、相手の特性である属性細胞を全て破壊し、無防備になった所で解体する。

 そして神経を引きずり出し、完全破壊をしなくちゃいけないんだ。


「そんな事したら素材が取れないじゃない」


 うん、マダラを狩る目的は素材じゃなくて、森を守ることなんだ。

 マダラは植物を食いつぶす害虫でしかなくて、森の管理人たちは、殺すことだけを目的にしているんだ。


 だから今まで、マダラの素材が出回ったことはないし、それを使った製品もない。


「でもでも~、いろんな色が取れる素材なら、すごく勿体ないじゃない。

 エイダンなら、何かいい方法を思いつくでしょ?」


 肩を揉んできても何もでないぞ。それで思いつくなら昔の人が始めているよ。


 それに討伐自体簡単じゃないんだ。向こうは容赦なく、バンバン攻撃してくるし。


 1つ1つの属性細胞を潰すだけでも、危険な作業なのに、属性細胞を生かしたまま、神経を引っこ抜くなんてムリだよ。


 それよりもマデリン自身はどうなんだ?

 この装備なら中堅になっても使えるし、他の冒険者が(うらや)むぐらいのものなんだぞ。


「う、うん。えっと、あの、贅沢だよ。……でも、やっぱりー。ううん、これでいいよ、ホントだよ」


 ギガントボアの毛を摘まみながら、悲しそうな顔をしている。

 剛毛が嫌なんだな、でもなーどうしようもないんだよなぁ。


「ほらほらー、エイダン固くならないで。こんなに凝っていたら、いい案も浮かばないよ」


 リディ上手だな。そ、そう、うっ、うっ、うーーーーー、これだーーーーーーー!!


「ビックリしたわ、何がこれなのよ?」


 マダラを無傷で捕らえる方法を思いついたんだ。

 上手くいったら、マデリンの新しい装備に使えるぞ!

新作よかったら、読んで下さい。


https://ncode.syosetu.com/n6479hm/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ