目覚め
1943年、第二次世界大戦の真っ最中だった。神々は本来、亡者に対して判決を言い渡すのだが、戦争の為か判決などやらずに転生する世界をランダムに決めることにしたのだ。
空の上、銃声が鳴り響く中、さっそうに戦闘機に乗っている。下を見下ろせば死んでいく敵兵や仲間も見える。そして俺は今、ドックファイトの最中だった。酔いそうなほど機体を旋回したり急降下して、敵の後ろを取ろうと必死だった。
『助けてくれー!!誰か!!』
無線から、友人の声が聞こえる。助けに行きたいがこっちも手一杯だった。そして束の間、爆発音が聞こえた
遅れて、無線から友人の断末魔が聞こえる。俺は必死に怒りをこらえた。ここで冷静さを失ったら必ず死んでしまうと分かっていたからだ。やはり、友人が死んだことに対しては、こんなにも気持ちを、取り乱してしまうとは。俺は機体を急旋回して友人を殺した敵に、向かったはずだった。速度をかなり出した機体は急旋回したため、遠心力が加わり真っ二つに折れた。そして、容赦なく敵の弾丸の雨を浴びることになった。
目が覚めると、いつの間にか列に並んでいた。そこは空気が澄んでて、辺り一面芝生に覆われていた。そこにポツンと列ができている。前の方を見ると死んだはずの友人が居た。俺は死んだのか、そう実感させられた。
しかし、異様に列が長い、それも、列が進むのも早い。俺は3分も待たないうちに目の前に老人がいた。
老人は疲れている顔で。
「お主は現世に悔いはあるか?」
老人は干からびた、声で聴いてきた。今でも死にそうだ。
「ないですね。少し休んだ方がいいと思いますが。」
「そうか、わしも休みたいのも山々何だが、仕事でなあ」
老人は笑いながら、答えてきた。
「しかし、あなたは誰ですかね?」
「わしは....いや、やめとこう」
「そうですか」
老人は悲しい顔していた。何があったのかは聞かないで置こう。
「一体ここは何処ですか?」
「.....」
老人は俺が質問したのにも関わらず、無視をしたひどいやつだ、そう思った。しかし、なぜ答えないのだろう答えてはいけないものなのか?まあ、考えるのも疲れるだけだ。深く考えないでおこう。
(最後に母が作ってくれた、スープを飲みたかったな)
そう、不意にも思ってしまった。
「お主、そんなに悲しい顔をするな。現世に悔いはないのだろう?」
老人が心配そうな顔で言ってきた。老人の上目遣いほど気持ち悪いものはない。まあ、今思ってもしょうがない。俺の身長は老人より高いからな。
「そうですね、私は、この後どうなるんでしょうかね?」
「そうじゃな...多分お主は生まれ変わる。ただそれだけじゃ」
「そろそろ時間じゃな。それでは行ってこい。」
老人は後ろにある、扉を開けた。しかし、さっきまで扉はなかったのに。この世界は本当にどこなんだ?
そう思いながらも、俺は扉に向かって歩いた。
「それじゃあ、さらばじゃ。今度会うときは、しわしわになってからくるんだぞ」
老人はそう言って、俺が入ったのを確認をして扉を閉めた。