第7話 子供会。
車は駐車場に到着し、僕たちは車から下りる。
謎の空気の車内から解放された僕は、外の空気を大きく吸って呼吸を整えていた。
まだ正午くらいで、日の光は眩しい。
「朝比奈くん。こっちだよ」
なぜか少し照れている香月さん案内され、着いた場所は木造建築の公民館。公民館の周りは木に囲まれていて、子供が昆虫を捕まえて遊んでいた。
春だから、カブトムシやクワガタはあまりいなそうに見えた。
僕はスライド式のドアをガラガラと開け、靴を脱いで公民館の中にお邪魔する。
公民館の中は想像以上にきれいで、掃除が行き届いていた。公民館床は全て畳で、少し慣れない。
香月さんのお父さんはどこかへ行ってしまい、香月さんは手を洗いに行った。
僕だけ公民館の畳がひかれた広間に行き、香月さんのお婆ちゃんに説明を受ける。
「じゃあ30分後に子供たちをここに来させますんで、それまでに準備をお願いします」
香月さんのお婆ちゃんに言われ、僕は紙芝居のセリフを何度も読み返しては、イントネーションなどを直していた。
香月さんが戻ってきたので、二人で紙芝居を読み合う。
そして30分が経つと、少しずつ子供たちが集まりだした。
「わーい。紙芝居だぁ」
子供たちは紙芝居を見るのが初めてらしく、皆とてもワクワクしていた。
だがあまりにも子供がはしゃぐものだから、僕は喜んでもらえるか不安になり、緊張していた。きっと香月さん緊張しているだろう。と思ったが、緊張で体が動かない。
すると畳で待っていた子供たちは、急に騒ぎ始めた。
「お兄ちゃんたち。まだ?」
「もう始めようよ」
「速く紙芝居見たい」
子供たちに圧され、僕と香月さんは紙芝居を始める。