生気
今日の空もエーリュシオンの野では相変わらず綺麗な青い空が広がっている。
俺は昔。この真っ青な空が嫌いだった。こんな天気を『いい天気』なんて言うのは分からない、ただ鬱陶しいだけだと思っていた。
でも今は違う。この綺麗な空を何の曇りのない瞳で見つめる。この天気はやっぱり『いい天気』だ。
あのメンテーとの騒動の後、すぐに警察が駆けつけてくれて無事にメンテー逮捕ということで幕を下ろした。
肩の傷もすぐに治って今ではもう跡すらない。
確かに肩を切り付けられたときは痛かったが、牛頭の言う通りメンテーと話して良かったと思う。
あれが無かったら多分今でもペルセポネとの間に変な空気が流れているだろう。
牛頭に改めてお礼を言わなきゃな。
そんなことをハデスは考えながら窓の外の景色を眺めている。
肩を勢いよく叩かれて初めて自分が呼ばれていたことに気付く。
「ハデス! 儂がせっかく作った飯は食わないのか?」
「食べるよ!」
ふん! なんて言いながらペルセポネは先に食卓へ向かう。
ハデスもその後を追いかける。
ここ冥界では別に食事をしなくても、餓死するなんてことはない。
それでもハデスとペルセポネはたまに一緒にご飯を食べるようになっていた。
その方が温かい気持ちになれるのを知ったからだ。
ハデスもペルセポネも現世のときからずっと生気のない目をしていたが、今では二人とも生気が戻り温かさで溢れる生活を送っている。
「おいしいね!」
二人はそう言って笑いあいながらご飯を食べる。
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次回作は書いている途中なのででき次第載せていきたいと思います。
本当にありがとうございました。 一条まみれ




