3話.転生
目覚めると、若い金髪の女性に抱かれていた。しかもかなりの美人さん。
不思議と悪い気はしない、なんというか懐かしくも感じた。
女性の隣には、これも同じく金髪の男性が立っていた。
筋肉が程よくあり、かなりの男前だった。
「・-・・・ -・・・ -- ・・- 」
2人で何かを話しているが俺には聞き取れなかった。
「あうぅ…あ…」
とりあえず話をしようと声を出してみたのだが、言葉にできなかった。
目の前の男女はより一層微笑みを浮かべる。
女性は、俺を抱いたまま別室へ移動すると、突然シャツをはだけさせて右乳を出した。
さらされた胸はDカップほどの大きさで可もなく不可もなく。
胸を唇に押し付けられ、俺も拒むことなくそれを受け入れた。
しばらくして気づいた、これって授乳じゃね?俺赤ん坊になってんじゃん。
どうりで声も出せないわけである。そして目の前の女性が俺の母親なのか。
あれこれ考えていると、授乳が終わる。少し名残惜しいが仕方がない。
元の部屋に戻ると金髪の男性がいた。
となるとこいつが父親なのか。
父親に抱きかかえられ、そのままベッドに運ばれる。
毛布をかけられると、睡魔に襲われそのまま身をゆだねるようにして眠った。
~~3年後~~
今では、この世界の言葉を理解し話すことができるようになった。
発音がまだ完ぺきではないが、そこは大人たちが勝手に解釈してくれる。
この3年でわかったことといえば、開拓地の領主の家に次男として産まれ、シュウと名付けられた。
父の名前はアラン、母はローズ、兄はオスカー、執事のウィルフレッドの5人で暮らしている。
3歳にもなると歩くこともできるようになり、自由に屋敷を動き回ったりもした。
途中何度か足をくじいて階段から落ちて膝を擦りむいたこともあったが、
母がすぐ飛んできて『リカバリー』と唱えると、手から暖かい光を感じ、次の瞬間には傷はふさがっていた。
当然怒られたが、上目遣いで「ごめんなさぃ…」と謝れば許してくれる。ちょろい
後から、母に暖かい光について聞いてみると
「あれは回復魔法よ、こう見えて母さん、回復魔法は超が付くほど得意なんだから」
へーあれが魔法ってやつなのか、俺でもできるのかな?
「お母さま、私にも回復魔法はつかえますか?」
「今は無理ね、今のシュウだと魔力量が少なすぎてすぐ倒れちゃうもの」
魔力を使いすぎると、倒れるのか、それは嫌だな
「いつになれば魔法を使えますか?」
「そうね、4歳になったときシュウに初級魔法を教えてあげるわ」
「ありがとうございます」心の中でガッツポーズした。
「そのかわり、いい子にしてるのよ 約束ね」
「はい!約束です」
その後は約束通りいい子にしていた。少しは屋敷を歩き回ったりもしたがばれてないのでセーフ。
父と兄に遊んでもらったり、母に絵本を読んでもらったりと平凡な一年が過ぎ、
早くも4歳の誕生日を迎えた。
「「「シュウ誕生日おめでとう!」」」
嬉しすぎて思わず涙腺が緩み泣きそうになる。
最後に祝われたのは元の世界で小学生だった時、ほんとに久しぶりである。懐かしい
2歳と3歳の時は屋敷内を動き回っていたずらばっかしていたので、母が怒って罰として誕生日は祝われなかった。あの時の母は怖かったなぁ、いうなら鬼バァ…
思い出しただけでちびりそうだ
話を戻そう
「どうした?どこか痛いのか」
泣きそうになっていると父が心配そうに話しかけてきた。
「違うんです、嬉しすぎてつい、ごめんなさい」
「謝ることはないぞ、さあ、母さんがせっかく作ってくれたんだ冷める前に食べよう」
「はい!」
涙を拭き、母の手作り料理を口いっぱいにほおばる
率直においしい 何かの肉かはわからないステーキ、
やわらかい肉質でよく味が染みている。
見た目はシンプルだが、元の世界で食べた料理よりおいしく感じた。
味の感想を心の中で述べた後は、マナーなど気にせず色々な食材に手を出しては、ほおばりを繰り返した。
誕生日だしこれぐらいは許してくれるだろう。
食事を終えた後、父からは魔導書 母からは杖、執事のウィルフレッドさんからは木刀をプレゼントとしていただいた。
3人にお礼をいい今夜はお開きになった。