2話.ジジイ現る
瞼に光が差し込み目を覚ます。
「ここは…」立ち上がると、めまいに襲われ、目を閉じる。
ふらつく足元の中、足に何かが触れる感触を感じた。
ゆっくり目を開け、足にある感触の正体を確認すると、そこには、見事な土下座を披露してるジジイがいた。
どういう状況なのこれ…わけがわからないよ。
周囲にあるのは、大理石でできた椅子のみで、あたり一面霧のようになっており先が見えなくなっていた。
とりあえず土下座しているジジイに話を聞いてみる。
「あのぉ~ここってどこですか?記憶が曖昧でして、さっきまでコンビニにいたはずなんですが。」
数秒の沈黙の後、じじいは口を開いた。もちろん土下座したまま。
「申し訳ございませんでした。」
内心なんだこいつと思いながらも、「よくわかりませんが説明してもらえます?」
そのあとのジジイの話はほんとに長かった。自己紹介から始まり、状況の説明、言い訳etc.
体感で2時間ほどジジイの謝罪会見が行われた。
短くまとめると、
目の前のジジイは神様らしい。複数の世界を管理している。
人それぞれに決まった寿命があり、死から逃れようとした違反者には強制的に手を加えることができるそうで、身近なのだと台風、津波、地震、落雷などの、自然災害や車、電車、飛行機の事故など起こすことができるらしいのだ。
今回の違反者はコンビニで働いてたおばちゃん。
本来であればコンビニに強盗がはいりその場で殺害されていたらしいのだ。
だがそうはならなかった。少し前に俺が入店したため、時刻どうりに殺害されず、ジジイはトラックを飛ばしておばちゃんを殺害。
なぜ、俺にトラックが突っ込んできたのかって?おばちゃんと俺の位置がちょうど直線上に重なっていたからだそうだ。
結局俺自身は巻き込まれて死んだのだ。悲しいね
ジジイはとうとう顔をあげ話を始めた。
「それでぇ…私のミスで死んでしまったあなたの残りの寿命があと50年ほど残ってまして…」
「生き返らせてください。もとに戻れるんでしょ?」
「いやぁ…それがトラックの衝撃で肉体がぐちゃぐちゃになってて…別の世界があるのでそっちで第二の人生を歩んでくれればいいなぁと…」
「元の世界に戻れないなら生き返らなくていいですよ」
「そういうわけにもいかなくて、寿命は使い切ってくれないといけなので」
「いや、そういうのいいんで、勘弁してください」
「「…………」」お互い顔を合わせながら沈黙する。
先に動いたのはジジイ
「もう、どこでもいいからとばしちゃえ」そう言い放つと、トラックで轢かれたときと同じように視界がブラックアウトした。