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World of Different  作者: ROA
第1章 [転移編]
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9話[リリーの過去]

第九話 [リリーの過去]


リリー「まず、私と蓮華は、この地方ではない、


別の・・・・海の向こう側にある地方・・・・西洋に住んでいたの、


私たちは幼い頃から共に仲が良くて、親友と言える存在だったわ。


そしてある時・・・私は不思議な力を使えるようになった・・・


そう、魔法よ。


私は魔女の一族の血を引いていた、だから、他の人と違って、魔力が強かったの。


私の友達は、魔法の使える私を「すごい」と言ってくれた。


だけど、私が成長していくにつれて、魔力は高まっていき、


周りの人々は、私を恐れていった。


そして私が、12歳になった時、もうすでに私に話しかける・・・・


いや、近寄ってくる人は居なくなっていた・・・・


だけど、蓮華は違った。


蓮華は、毎日のように私を訪ねてきて、魔法の修行の手伝いをしてくれた。


私の親も蓮華の親も、とても仲が良かった。


確かに、他の人よりは裕福ではなかった、だけど、私は毎日が幸せだった。


でも・・・・・・幸せは、ある日を境に奪われてしまった。


ある日、私の家族と蓮華の家族で、観光に言ったの。


そこで、事件が起きた・・・・・・私達からしたら忘れられない出来事・・・・


私達は、教会の大聖堂を見ていたの・・・・・


そうしたら、外で、何かが爆発する音がしたの・・・・・


それと同時に、人々は叫び、慌てて逃げ出した。


私達は何が起きたのか訳が分からなかった。


そして、ある人が叫んだの、「聖堂が崩壊するぞ!」・・・・と、


私達も事の重大さに気付いて、逃げようとした。


だけれど、聖堂には何百人の観光客が居て、それぞれが、四方八方に逃げて居て、


非難は遅れていた。


そして最悪の事態が起きた。


中に大量の人間を残して、聖堂は崩れだしたの。


私は、その時、とっさに蓮華をかばったの。


周りからは、人々の悲痛な叫び声、と聖堂が崩れ落ちる音がしていた。


長い時間、私達は目を固く閉じていた。


しばらくすると、だんだん、人々の話し声が近づいてきて来た。


私達が目を開けると、私達の周りには、沢山の瓦礫と、それに敷かれた死体、


そして遠くから私達を取り囲んでいた人々。


だけど、私達の目には、その人々は入って来なかった。


私達は、ただ、二人の家族は何処に行ったのかを探した。


だけどいくら探しても家族は居なかった。


そこで、蓮華が、ある物を見つけた、蓮華は、それを見ると同時に、


涙を流してその場に座り込んだ。


私が慌てて、何が有ったのかを聞くと、瓦礫の下を指差した。


そこには、青い指輪を着けた、手が見えた。


私はそれを見て絶句した。


そう、この指輪には見覚えがあったから。


それは、蓮華が母親へあげたプレゼントの指輪だった。


蓮華の手作りの、一つしかない指輪だったので、見間違えるはずは無い。


だけど、もしそれが本物だったら・・・・・蓮華の母親は・・・・・


私の頭の中は混乱した。初めて、自分の周りの大切な者が死ぬ、という体験をして・・・・


・・・・・結局、私達の両親は死んだ。


そして、その事件は、西洋中に広まった・・・・・もちろん私達だけが生き残ったのも・・・・


だけど、私達が生き残ったのは、悪いように広まった。


私達は周りの人々から、『悪魔』と呼ばれ人々から恐れられるようになった。


街を歩けば暴言の嵐、家に居れば窓を割られ・・・・


その被害は私だけでなく蓮華にも降りかかっていた。


これ以上蓮華に辛い思いをして欲しくない・・・・親友が傷付くのを見たくなかった。


だから、私は蓮華に気付かないように、家から立ち去った・・・・・


私は、入ったら最後、生きては出られないと言われていた森の奥で、


一人静かに暮らすことにした。


私が森の中で暮らし始めてから、四年が経った日・・・・・


私が丁度、16歳になった日、私の前にある人物が現れた・・・・・


その人物を見たとき、私は目を疑った・・・・・


私の目の前に現れた人物・・・・それは紛れも無い私の親友、蓮華だった。


最後に会った時よりも、蓮華は背が高くなっていて、少し大人びた雰囲気があった。


だけど私が一番驚いたことは、蓮華がメイドの姿をしていたことだった。


そして、私に会うなり蓮華は言った。


蓮華「リリー様!! お久しぶりです! こんな所に居たのですか、


ずっと探していました!!」


リリー「蓮華! 貴女・・・・どうして此処に・・・・・それに、その格好・・・・・」


蓮華「そうでした! 聞いてください、私、リリー様が居なくなってから、


次に会った時に少しでも力になれるようにと、メイドになる道を進んだのです!


そして、ついにメイドとなって、こうして、リリー様に会うことが出来ました。


だから・・・・・お願いします! 私を、メイドとして雇って下さい!」


そう言って、蓮華は私に頭を下げて頼んだの・・・・・」


俺「それで、その時リリーはどうしたんだ?」


リリー「その時は、雇うなんて事は考えていなかったわ・・・・・


だけど、どう言っても蓮華は、引き下がってくれなかった、


だから私は、仕方なく蓮華をメイドとして雇うことにしたの


そして、蓮華は、私にある提案をしてきた、


それは、西洋から出て、東の国、東洋へ行かないか? という物だった。


もう、行く宛も無かった私は、蓮華の提案に乗って東洋に行くことにしたの。


そうと決まった私達は、すぐに準備を整え夜の内に、西洋を後にした。


そして、私達は海を渡り、この地に下り立った・・・・・」


俺「ちょっと待ってくれ」


リリー「何かしら?」


俺「リリーと蓮華は、どうやって、海を渡ったんだ?


船も使わずに・・・・・」


リリー「それならさっき、貴方も見ていたはずよ?


私が、空を飛んだところを」


俺「そう言えばそうだったな」


リリー「話を続けるわよ、


東洋に着いた私達はまず、人の集まる所を目指した、


そして、あの里に辿り着いた。


私達は、その里に住むものと接触を図った、


しかし、私達は異国から来た存在として、歓迎されなかった。


私の心は傷付いた、私の居場所は何処へ行っても無いのだと・・・・・


結局、私は西洋に居たときと同じく人の居ない所で、ひっそりと暮らすことにしたの・・・・・


私達が、その生活を始め、人々の事など忘れ去ったある日、奴は現れた・・・・・」


俺「あの悪魔か・・・・・」


リリー「ええ・・・・・そういえば、あいつは何処へ行ったの?


姿を見ていないのだけど・・・・・」


俺「ああ、あいつは逃げたよ・・・・・俺のこの剣を恐れて・・・・・」


リリー「そうだったの・・・・・・」


俺「あいつは言っていた、あの女共を利用して世界を手に入れるつもりだった・・・・と」


リリー「・・・・・なるほどね・・・・つまり、私達はあの悪魔の口車にまんまと乗せられていた・・・・と言うことね


・・・・・滑稽よね、悪魔に騙される魔女なんて」


俺「いや、俺はそうは思わない・・・・・・」


リリー「何故・・・・?」


俺「人は、心に隙間があると、そこを何かで埋めようと必死になる、


君は、そこを運悪く、悪魔に目を付けられてしまっただけさ。


それにそうなってしまったのは、俺達人間のせいだ・・・・・」


リリー「別に貴方が悪いわけでは無いのに、何故謝るの?」


俺「なんとなくさ・・・・・・」


リリー「・・・・・貴方は、今まで会った人間とは違う・・・・・・


貴方からは、蓮華と似た雰囲気を感じるわ・・・・・」


俺「そうか・・・・・ありがとう・・・・


それで、話の続きをお願いできるか?」


リリー「ええ、もちろんよ・・・・・


悪魔は、私達に会うとこう言った、


悪魔「お前達には、深い憎しみを感じる・・・・・


どうだい? 私が手を貸してあげよう。


その憎しみを晴らす時だ」


そう悪魔に言われた私達は、忘れていた人間への恨み、憎しみを思い出した。


そうして私達は、悪魔の言う通りに準備を進めた・・・・・


そして最後の仕上げに私達は『魔女の契約』を実行した」


俺「魔女の契約?」


リリー「魔女の契約は、契りを交わしたものの肉体年齢を固定し、


寿命を無くすと言う最上級の魔法・・・・しかし、契約をする者の力が足りなければ、


その力に耐えられず、命尽きてしまうという危険を孕んでおり、


禁忌の魔法とされて封じられていた・・・・・・


だけど私は、その魔法を使うことを決意した・・・・・


今、振り返ってみると、私は本当に間違った選択をしたと後悔しているわ・・・・


この選択のせいで、私達は周囲から言われていた、『悪魔』になってしまったのだから・・・・・


でも、本当に後悔しているのは・・・・・蓮華を普通の人間ではなくしてしまった事・・・・・・それだけ」


俺「? 蓮華を普通の人間ではなくした? そういえば蓮華が、


「私は普通の人間とは違う」みたいな事を言っていたが・・・・・何か関係あるのか?」


リリー「ええ・・・・・多分ね・・・・・蓮華も私と同じく、魔女の契約を実行したの・・・・・」


俺「!? それってつまり・・・・・」


リリー「そう、彼女は不老の人間・・・・・彼女はそれを誇りに思っている・・・・・


だけど実際、不老なんて手に入れるべき物ではなかった。


これのせいで私は・・・・・・彼女の人間として生きる道を奪ってしまったのだから・・・・・」


リリーは俯いて黙っていた。


だが、その目からは、少しずつ涙が溢れていた・・・・・


俺「・・・・・過ぎてしまった物は取り返せない、


今は、彼女が否定されるのを恐れるのではなく、きちんと向き合い、


認めて貰う方が先決だ・・・・・俺も出来る限りの協力をする。


だから・・・・もう一度、人間と向き合ってくれないか?」


リリー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


リリー「何故・・・・・・」


少しの間を空けて、リリーは口を開いた。


リリー「何故、私達をそこまで肯定してくれるの!?


貴方を殺そうとまでしたのに・・・・・・どうして!?」


リリーの涙声の叫びが、響き渡った・・・・・


俺「理由は無い・・・・・強いて言うなら、リリー、君の話を聞いて、


助けてあげたくなってね・・・・・・」


リリー「貴方は・・・・・本当に良い人間ね・・・・・・ありがとう・・・・・・」


リリー「それじゃあ、お願い・・・・・・」


俺「ああ、じゃあ、行こう、まずは蓮華を連れて、俺の仲間達の元へ・・・・・」


リリー「ええ・・・・・・」


俺とリリーは、激戦を繰り広げたその部屋を出て、蓮華の元へと向った・・・・・


続く

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