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World of Different  作者: ROA
第二章 [地底編]
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13話[妖怪の都]

第十三話[妖怪の都]


-大空洞内部-


俺「・・・・・・・・」


零「・・・・・・・・」


静葉「・・・・・・・・」


リリー「・・・・・・・・」


蓮華「・・・・・・・・」


俺「・・・・・なあ・・・・」


静葉「何・・・・・・?」


俺「一体、何時になったら底まで付くんだ? もう地上から相当離れてきたぞ・・・・」


俺達の居るところは、もう、日の光が殆どあたらず、辺りはとても薄暗い。


静葉「そんなの私が聞きたいわよ」


零「とりあえず今は、先に進もうよ」


静葉「・・・・・そうね」




-数分後-


俺「!! 見てみろ! 底が見えてきた!」


俺は穴の下を覗き、そう叫んだ。


零「本当だ!」


蓮華「ようやくですね、お嬢様」


リリー「ええ」


静葉「さあ、早いとこ降りましょ、もう階段は懲り懲り(こりごり)よ・・・・」


俺達は、階段を駆け下り、地面に足を降ろした・・・・・


俺「この先が、地底なのか・・・・・・」


静葉「そのようね・・・・・・」


零「じゃあ、早く行こう!」


俺達は、穴の先へと進んで行った・・・・・


しばらく歩いてみると、だんだんと、穴の先に明かりが見えてきた。


俺「あそこじゃないか?」


リリー「そうかもしれないわ」


零「もう一頑張りだね!」


静葉「ええ」




-妖怪の都-


俺「此処が・・・・・・」


零「妖怪の都・・・・・・」


静葉「なんと言うか・・・・・・妖怪と聞いたからどんなおぞましい場所かと思ったけど、


案外地上と同じような場所なのね・・・・・」


リリー「でも、都の中では、人間であることは


隠した方が良いかもしれないわ・・・・・・」


俺「そうだな・・・・・仮にも、人間と争っていた種族だ、


何をしてくるか判らないしな・・・・・」


静葉「じゃあ、覚悟ができたら行きましょう」


零「私はいいよ!」


俺「俺もだ」


リリー「勿論、大丈夫よ」


蓮華「もとより・・・・・・」


静葉「じゃあ、行くわよ!」


そうして俺達は、妖怪の都に入っていった・・・・・


(そういえば、何で静葉が仕切っているんだ・・・・・?


・・・・・・まあ、いいか・・・・・・


妖怪って言ってはいたが、外見は人間と全く同じだな、


これだったら人間って言わなきゃばれる事は無いだろうな。


しかし、本当に賑わっているな・・・・・まるで祭り会場だ、地上とは大違いだな・・・・・


妖怪ってのは、祭りとかが好きなのかもな・・・・・)


俺「はぐれない様にしろよ・・・・・」


零「うん」


静葉「貴方に心配されるほど、落ちてはいないわ」


静葉は俺に冷たく言い放った


(・・・・・・・・なんだよ)


リリー「まあ、確かにはぐれる可能性もあるわ、


そうならない様、注意してくれているのだし、少しは・・・・」


蓮華「私もそう思いますね・・・・貴女は少し、人に鋭すぎますよ」


静葉「・・・・・・・・何よ」


静葉は二人を睨み付けた。


零「まあ、まあ、皆落ち着いて・・・・こんなとこで、争ってる場合じゃないでしょ」


静葉「・・・・・・そうね、ごめん、少し熱くなりすぎたわ」


リリー「こちらの方こそ、ごめんなさい。


でも・・・・確かに暑いわね・・・・・・此処」


俺「そうだな・・・・・・早いところこの人混み・・・・・って言っていいのか?」


静葉「どっちでも良いわよそんなこと」


俺「ま、まあ、とりあえず早いとこ行こうぜ、このままじゃ参っちまう」


リリー「そうしましょ」


静葉「ええ」


俺達は、妖怪集団の中を掻き分け、進んでいった。


が、しかし、俺達はいつの間にか、道を外れて、路地裏の方へと


入って行ってしまった。


俺「・・・・・こっちで本当にいいのか?」


静葉「分からないわ、だけど、本通りよりは暑くなくて良いじゃない。


このまま路地裏を通って行きましょ」


リリー「そうね、そうしましょう」


零「・・・・大丈夫かなぁ・・・・・」


俺「・・・・・とりあえず、二人に付いて行こう」


零「分かった」


俺達は路地裏を歩き始めた。




-路地裏-


俺「しっかし、通りはあんなに賑わっていたのに、路地裏は


全くと言っていいほど人気が無いな」


静葉「ええ、なんだか不気味ね」


零「怖いの? 静葉」


静葉「馬鹿! こんな時におちょくらないで」


零「ごめん、ごめん」


零は少し苦笑いしながら謝った。


蓮華「・・・・・・誰か来ます・・・・!」


俺「なに!?」


路地の先を見ると、一つの人影がこちらに向かって来るのが見えた。


零「だ、誰・・・・・?」


リリー「分からないわ、とりあえず、様子を見ましょう」


蓮華「分かりました」


人影はどんどんと、こちらに近づいてくる。


やがてその人影は、俺達の目の前に来て、その外見を現した。


そこに立っていたのは、地上でも見るような、普通の人間の姿をした妖怪だった。


静葉「・・・・・私達に何か用?」


静葉は妖怪に問いかけた。


妖怪「ああ」


妖怪は、俯いたままそう言った。


静葉「・・・・・一体何の用かしら?」


妖怪「・・・・・・・・・・」


妖怪は俯いたまま、沈黙している。


静葉「ちょっと、貴方が用があるって言ったんじゃない、


俯いてないで、何か言ったらどうなの?」


静葉はそう言い、妖怪に近づいた。


俺「おい! 静葉! あまり近づくな! 何をして来るか分からな・・・・・」


俺がそう言っていると同時に、妖怪は顔を上げ、静葉に襲い掛かった!


(なッ! ヤバイ!)


静葉「!!」


静葉は何が起きたのか分からず、その場に立ち竦んでいた。


俺「逃げろ! 静葉!!」


静葉「あ・・・・・」


(駄目だ! 間に合わない! このままでは静葉が・・・・・!)


もう駄目かと思ったその時、妖怪の攻撃が静葉の寸前で弾かれた。


妖怪「なッ・・・・・!!」


静葉「え・・・・・・?」


静葉は驚いた表情で座り込んだ。


その正面には、蓮華が立っていた。


(は、速い・・・・・目で追えなかった・・・・・)


蓮華「・・・・・・」


蓮華は表情一つ変えずに、妖怪を下から上へ、眺めるように見た。


蓮華「・・・・・見た目は本当に人間ですね・・・・・


でも、基本的能力は、普通の人間のそれよりは


マシみたいのようですね・・・・


まあ、その程度の力の差、私にとっては、


違いは無いに等しいですけど・・・・・」


妖怪「な、何だとテメェ! 調子に乗ってんじゃねえ!


女だからって容赦しねえぞ!」


蓮華「逆に、貴方は私を女だと思って、甘く見ない方がいいですよ・・・・」


妖怪「キ・・・・・・ッ!」


蓮華「真さん!」


俺「な、何だ?」


蓮華「ここは、私一人に戦わせて下さい、丁度試してみたい技が有ったので・・・・・」


俺「・・・・・しかし・・・・・」


リリー「真、蓮華にやらせてあげて。


大丈夫、蓮華はあの程度にやられるほど、ヤワではないわ。


だから・・・・・」


俺「分かった・・・・・リリーがそこまで言うならそうしよう。


二人とも、下がろう」


零「うん! 蓮華さんなら大丈夫だよ!」


静葉「え、ええ・・・・・そうさせて貰うわ・・・・・頑張りなさいよ! メイド!」


(・・・・・静葉、すっかり怖気づいているな・・・・)


俺と零、静葉そしてリリーは、二人から距離を置いた。


蓮華「さあ、かかって来て下さい、何処からでも良いですよ?」


妖怪「お前・・・・・このやろう! 舐め腐りやがって! 後悔するなよ!」


そう言うと妖怪は、蓮華に対して殴りかかった!


が、蓮華は、それを片手で、容易く防いだ。


妖怪「なッ・・・・・! クソ!」


妖怪は、蹴りを放った!


だが、蓮華はそれを、また片手で止めた。


妖怪「チッ・・・・・こうなったら・・・・・・


食らえエェッ! ラッシュだッ!」


すると妖怪は、目にも止まらぬ速さで、付きを放った。


蓮華「・・・・・遅い!」


蓮華は、ラッシュを次々と、弾いていった。


蓮華「・・・・・・・もういいです・・・・」


そう言うと蓮華は、妖怪の両手を掴んだ。


蓮華「貴方程度の速さでは、この私に傷一つ付ける事は出来ないですよ」


妖怪「な・・・・この野郎! さっきから・・・・・舐めるなッ!!」


蓮華「もっと・・・・・手応えが有ると思っていたのですがね・・・・・」


ザンッ!!


次の瞬間、蓮華は妖怪の懐に飛び込んでいた。


妖怪「な、いつの間にッ・・・・・・!!」


蓮華「・・・・・さようなら・・・・・・


食らいなさい! 新奥義! ヘル・フォール!」


そう言い蓮華は、床に手を付き、そのまま一回転し、


妖怪の後頭部に、踵を落とした!


妖怪「ガハァッ!! ま・・・・まさか・・・・・こんな女にやられるとは・・・・・」


ドサッ!


そう言うと妖怪は、その場に倒れた・・・・・


俺「し、死んだのか・・・・・?」


蓮華「いえ、まだ息は有ります、ただ気絶させただけです・・・・


・・・・・しかし、妖怪は悲しい生き物ですね・・・・・こうして、


他者を傷つけて行かなければ生きて行けない者が、


すぐ身近に居るのに、それを見て見ぬふりをしている・・・・


・・・・・いや、それは私達人間も同じ事ですよね・・・・・


結局、私達人間も妖怪達も、似ている所は有るのでしょう・・・・・」


リリー「そうね・・・・・」


俺「・・・・・・とりあえず、今は先に行こう・・・・・」


蓮華「そう・・・・ですね」


そうして、俺達は路地裏の先へと進んで行った・・・・・


続く

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