新しいオモチャー3
宮城はあまりにも眩しく目を閉じていた。目を開けるとそこは、さっきまでいた場所とまったく違う場所に居た。一面真っ白な空間。見る限りでは壁すら見えず、ゆういつある物といったら空中にある青白く光る、直径1mぐらいのコンペイトウの形をした照明ぐらい。
いったいここは何所なんだ?さっきまでリビングに居たはずなのにいったいここは……?
宮城は突然のことに周りを見渡し、何かないか探していると後ろのほうに人影があった。見ると神秘的な服装をした、髪の長い中性的な顔立ちの子供が立っていた。子供は可愛らしい笑顔を宮城に向ける。
『よく来たね、宮城』
「君は誰だ?」
『私かい?そうだね……アンデレとでも名乗っておこうかな』
アンデレと名乗った子供は宮城に近付き顔に触れる。
『……君は今、どんな力を必要としている?』
「いきなり何の話を……?」
『君は今ノーム達に襲われている……そして、今の危機的状況を脱するための力が欲しい……違う?』
「……」
この子こっちの状況を把握してるのか?……力か。今必要としている力、また俊直や佳奈に会うために、この状況を打開出来る物……。
『……聞き届けたよ』
「え!?まだ何も言って……」
『いや、君は願ったよ。この状況を打開できる物店……それを君に捧げよう』
宮城の視界がまた青白い光に包まれていき、宮城の視界が真っ白になっていった。
宮城は気が付くと元の部屋に戻っていた。
さっきのはなんだったんだ?これが突然光って……
宮城はスパナを見ると、宝石がまだ青白く光っていた。指で宝石を軽く撫でると光は強くなった。そして、宝石から立体映像が浮かび上がり、そこに映っていたのは、1m以上はありそうなランス型のレールガン。見た目はガラクタをランス型に固めたようにも見えるそれは、ラースガンと書かれており、その下にはその設計図らしき物があった。
「これはなんだ?」
『 どんな力が必要だ?』宮城はあの時言われた言葉を思い出した。これがこの状況を打開できる物なのか?でもこれをどうすれば……。
宮城は立体映像を徐に触ると次のページに変わり、そこには必要な材料が浮かび上がった。
「……あれ?これほとんどあの武器庫にあったものだ。……もしかしたらこれ作れるかもしれない」
部屋がまた大きく揺れる。今度はバランスを崩しつつもなんとか立っていられた。
「やばい、作るなら早く作らないと」
宮城は急いで部屋に出て武器庫に向かった。
● ● ●
アミーラは重機関銃を撃ち続けるがノームまったく効いてる様子がなく、徐々に近付いて来る。そして、ついに重機関銃の弾が切れた。
「ウソ、なくなったの!?」
アミーラが青ざめた顔をしながらノームの方を見るとノームは50cmもない位置に立ち止まり、赤黒い目の光を強くすると機械音を流す。
《キェキェキェ》
「こいつ……笑ってる」
額にしわを寄せ、苦虫を噛むような顔をしているアミーラ。すると通信機器からの受信があった。スイッチを入れるとバースの慌てている声が聞こえる。
『アミーラ、もうだめじゃ。すまんがあれをやってくれんか』
アミーラは涙目で顔を下に向ける。
「どうしてもあれをやらないとダメ?」
『気持ちは分かるが仕方ないんじゃ。今の状況じゃマリカはこっちに来れん……頼んだぞ』
バードの通信が切れる。アミーラは顔を上げ、真っ直ぐに巨大なノームの方を見る。ふると、巨大なノームは余裕そうに体を揺らし、こちらの様子を見る。
「やるしかないのね……」
アミーラは右手を前に差し出す。そして、何かを呟こうと口を動かす。すると、いきなり後ろからドアの開く音が響いた。アミーラは突然のことに驚き振り向こうとした時、アミーラの横を何かが高速に飛んで行った。巨大なノームに掠する。すると、掠った部分が爆発を起こした。
「え?何が起きたの!?」
ノームの爆発を見たアリーラは、唖然とした顔でドアの方を見るとそこには、ラースガンを構えている宮城がいた。
「あなたは……いったい何者ですか!?」
「アミーラちゃん大丈夫?」
《ギュエー!!》
巨大なノームが今まで出した事のない咆哮を出す。そして口から大砲を出す。
「ヤバイ、早く倒さないと」
宮城はラースガンを構えようとするが、あまり持ち上がらずに銃身がぶれる。するとそこにアミーラ近寄り一緒に支えた。
「しっかりしてください!!」
「あ、ありがとう」
銃身が安定し、標準を合わせる。だが、ノームの大砲は完全にこっちを向いており今すぐ発射しそうだ。
「早くしてください!!」
「わかってるよ!!」
宮城はラースガンに付いている液晶をタップして、エネルギーチャージを始める。ラースガンに光が集まり、それがドンドン強くなる。
「よし、行け!!」
宮城がトリガーを引くのと巨大なノームが砲撃がほぼ同時に行われた。するとラースガンの弾は砲弾を貫通し、そのまま巨大ノームも貫通した。そして、光る線が空の彼方まで一瞬伸びた。その一瞬の静寂のあと、砲弾の爆発と巨大ノームの爆発で静寂がかき消され、それによる爆風が襲ってきた。宮城はその爆風に耐え切れずに倒れてしまい、四つん這い状態になって倒れ込んだ。そして、爆風が止む。
「イター……離れていても爆風の熱はすごいな。アミーラちゃんは大丈夫か?」
「……あなた何をしているんですか?」
「え?」
宮城は声のする方を見ると、アミーラは宮城の四つん這いの下で倒れていた。
やばい、この状況。傍から見たら僕が押し倒したようにしか見えないよな。しかもなぜかアミーラちゃん なぜか機嫌が悪いだし、ここはなんとかしないと……。
「だ、大丈夫僕は子供に興味ないから」
「――!!」
アミーラは顔を真っ赤にして毛を逆立てた。
あ、失言した。
太陽も沈み始め、空に星が輝き始めた中。パッンっと音が響いた。
● ● ●
ディーファの運転席いるマリカは涙目になりながら、軽く溜め息を付き、ノームの群れが去るのを見ていた。
あの巨大なノームが殺られたとたん逃げるように消えてる……追撃して攻撃されても嫌だし、見守ることしかできないけど……それにしても、ディルアの方で起こった光の線はなんだったんだろう?……もしかして、あの宮城って子がやったのかしら?
「だとしたら……とんでもないのを拾ってしまったわね」