新しいオモチャー2
ディルアの操縦席では宮城たちは後方カメラでマリカの戦いの様子を見ていた。画面は少し小さいが三人で見る分には十分だった。そして、ディーファが二匹のノームを倒し、そのことを喜んでいた。
よかった、思ったよりも簡単に倒せたみたいでよかった。あとはあの巨大なノームを倒すだけ……。
そう思った途端に 《リュルーー!!》と咆哮が聞こえた。何の声か分からなかった宮城はモニターを見るとディーファの前にまたノームが現れていた。
「またノームが現れたの!?」
「不味いのう」
アミーラやバールは青い顔をする。
見た感じそこまで苦戦してるようには見えるけど、なんでそこまで顔色が悪いんだ?
「えっと、さっき圧勝していた気がするんですが……何が不味いんですか?」
「ディーファは元々動く固定砲台として、設計されていてのう。あんな風に動きながら攻撃するようには出来てないんじゃ……だから、無理やり移動のスペックを上げているが、その分燃費が悪いんじゃ」
とゆうことは長期戦はできないってことか、たしかにこのままノームが現れない保障はないからな。
「……あとどれぐらい戦えるんですか?」
「このペースだとあと10分ぐらいよ」
「10分!?加戦できないんですか?」
「いや、そんな余裕は与えてくれないようじゃよ」
バールが指す方向には巨大なノームが奇声を上げながら巨体をウェーブしながらこっちに向かっていた。
「こっちに来てる!?あれはどうするんですか?」
「私たちで何とかするしかないでしょう!!」
「アミーラ。お前さんはバルコニーからの重機関銃の準備をしてくれ!」
「分かったわ。あなたも付いてきて!」
「え?僕も!?」
「当たり前でしょ!!早く来て!!」
宮城はアミーラの後を追うように付いて行き操縦室から出て行った。バールは前を向き、ボタンの操作をし、カバーの付いているボタンを押した。すると、ディルアの顔の両サイドからガトリングガン砲が出てきた。
「さて、対人用の武器で何所まで行けるか分からんが、やらんよりはいいじゃろう。」
バールはハンドルの赤いボタンを押し、ガトリングガン砲を始めた。だが、ノームは構わず向かって来る。
「やはり効かんな。早くしてくれよ、アミーラ」
● ● ●
宮城とアミーラは重機関銃の弾薬箱を持ちながら階段を上っていた。だが、宮城は一箱で精一杯の様に見えるが、それに比べてアミーラは弾薬箱を二箱、しかも軽々と持って階段を上がっていた。
なんで軽々と持ってるんだ?これそんなに軽くないぞ。一体どんな鍛え方をしたらそうなるんだ?
「どうしたの!?早くして!?」
「ハァハァ……わかってる」
宮城は息を切らしながらも上がりきり、廊下の奥に向かった。するとそこには鉄のドアがあり開るとバルコニーにたどり着いた。バルコニーはディルアの頭に位置する場所にあり、そこには一門の固定重機関銃と重機関銃のサポートする機材や通信機器などの周辺機器、ロッカーらしき物が置いてあった。そして、そこからは徐々に近付いてくるノームの姿が見えていた。アミーラと宮城は弾薬箱を重機関銃の近くに置き、アミーラが弾のセッティングをする。
「邪魔です!!退いて下さい」
「ご、ごめん」
まぁ、たしかに素人は出来ることはないか……でも、手際よくセッティングするな。一体この子はなにものなんだ?
宮城はアミーラから離れ、セッティング作業を見ていると手早く終わらせた。するとアミーラは重機関銃を構え、巨大ノームの方に向ける。そして、アミーラは通信機器付いているマイクを手に取るり、機械をいじり話し出した。
「おじさん、準備できたよ」
『よし、射程内に入ったら殺るんじゃ!!』
「わかった」
一気に空気が変わる。アミーラは集中し、重機関銃の標準を合わせる。そして、重機関銃のトリガーを引き銃撃を開始した。銃撃は巨大なノームに当たり、所々に煙が上がる。
「当たった!!効いて……え?」
巨大なノームは銃撃を受け多少怯んだがまた徐々に近付いてくる。なんだあいつは、まったくきいてないのか!?
「マジかよ、効いてないのか!?」
「あいつにとっては、この弾幕の中でも砂嵐の中を歩いているのと変わらないっていうの!!」
なんだよそれ!!そんな化け物どうやって倒すんだよ!!
『アミーラ、聞こえるかのう』
「なに、おじいちゃん」
『このままじゃ拉致があかん、とりあえずマリカが戻ってくるまで何とか時間稼ぎをしてくれ』
マリカさんが戻るまでって、一体何をすればいいなだ?このままゴリ押しするしかないのか?
「わかったわ。あなた、聞こえたわね」
「ああ、でもどうすればいいんだ?」
「とにかく、このままじゃ弾が足りないから追加で弾薬箱を持ってきて!!」
「ああ、わかった」
ゴリ押しするしかないのか。でもしかたない、自分の出来ることはやらないと、こんなところで死んでたまるか。宮城は急いで弾薬箱を取りに行った。
「早く来て……お姉ちゃん」
● ● ●
マリカ疲弊していた。いくら倒してもなぜか次々と沸いて来るノーム達。しかも、どんどんディーファの燃料も弾も無くなりつつある。
いったいどうなっているの!?どうしてここまでノームが現れるの?こんな事今まで無かったのに……あの巨大なノームが呼んでいる?または守るために集まってる……どちらにしろ、このままこのノーム達を相手にしてても限がないし……強行突破するか。
マリカは通信機器をいじりディルアに通信を入れる。
「そっちは今どゆう状態?」
『こっちは今巨大なノームが攻めて来ておる。こっちに戻ってくることは出来んのか?』
「わかった。今なんとかしてそっちに向かうから、それまで何とか耐えて!!」
マリカはそれだけを言うと通信を切り、アクセルを踏みを深くした。ディーファはノームに砲撃をしながらディルアへと走り出した。
よし、このままなら行ける。待ってて今助けに……。
マリカがそう思っているとディルアの向かう道を防ぐようにもうノームが一体現れた。
「まだ居たの!!」
ディーファは急停止し、突然現れたノームに砲撃し、ノームの頭に着弾、爆発した。
「ディーファ、大丈夫?」
《リューン》
「それにしても……どうしようかしらね、これ」
さっきまで砲撃をしていたノームも追いついてきた。そしてさらに、ディーファを囲むようにもう二体現れ、合計三対に囲まれた。
どうしようかしらね。完全に挟まれてしまったわ。
ノーム達は大きな口を開け、口の中から大砲が出す。その口から出した大砲をディーファに向ける。だが、砲弾をディーファに向けるだけで砲撃をする気配が無い。
「脅しのつもりかしら……ノームのくせに生意気ね。そんな脅しが通じると思っているの!!行くわよディーファ!!」
《リュールンー!!》
ディーファは一気に速度を上げ、ノームの間に向かいながらノームに向かって砲撃する。一体のノームに被弾させ、瀕死状態にすることが出来たが残りのノーム達がディーファに砲撃する。一部砲撃を受けつつもディーファはノーム達から距離を取ることができた。そして、ノームに向かって砲撃準備をする。
「くらいなさい!!」
マリカは後先考えずにノーム達に向かって砲弾を連射した。砲撃はノーム達に着弾し、土煙などでノーム達の姿が完全に消えるまで砲撃し続けた。そして、土煙は消えていくとそこには木っ端微塵になったノーム達の姿があった。
「はぁ、はぁ……終わったかな?もう、燃料も弾薬もあんまり残ってないや。よくがんばったね、ディーファ」
《リューン》
「さて、早く巨大ノームの所に……」
マリカがディーファを動かそうとハンドルを持った瞬間、またディーファの目の前にノーム達が現れた。だが、今度はその数が尋常。さっきと比べ物にならないほど現れ、ディーファを囲むように四方八方出てきた。そして、ノーム達は口から大砲を出し砲撃の準備をする。
マリカは強く握っていたハンドルを放し、深く息を吐く。
「……ごめんアミーラ。お姉ちゃんここまでみたい」
● ● ●
宮城は武器庫内で弾薬箱を出し運ぼうとしていた。
よし、早く運ぶか……それにしてもすごいなこの部屋は。
宮城は周りを見渡すとそこには多種多様な武器や弾薬見たことのない機会などが置いてあった。
この武器の数はすごいな。こんな数を生で見れる日が来るなんて思ってなかった。こゆうのは詳しくないけど、難波とかは喜びそうだな。
宮城が武器をまじまじと見ていると部屋のスピーカーから機会音が流れる。するとマリカの声が聞こえてきた。
『わかった。今なんとかしてそっちに向かうから、それまで何とか耐えて!!』
その声に我に返った宮城は弾薬箱を持ち、部屋を出て行った。
そうだ、早くこれを持っていかないと!!……今は何とかして生き残るんだ。生きてまた俊直や佳奈に会うたまに。そのためなら、なんでもしてやる!!
宮城が廊下を走っていると突然縦に跳ねる様に揺れた。突然のことにバランスを崩し、前かがみに倒れた。持っていた弾薬箱を前に飛ばしてしまった。
「イタタ……何が起きた?」
天井に付いているスピーカーからバールの焦っている声が聞こえる。
『ノームの攻撃を仕掛けて来おった!!今の所損壊はたいした事は無いがこのまま攻撃され続ける訳にはいかんぞ!!』
『ちょっと早く弾薬を持って来て!!もうすぐ弾が切れる!!』
「ヤバイ、早く持っていかないと!!」
宮城は弾薬箱を急いで持って行こうと拾いに行くと、近くの部屋から青白い光が漏れていた。
なんだ?あの光は……。
宮城は今急がないといけない状況と分かりつつも、なぜかその光に吸い込まれるようにその部屋に向かい、扉を開けた。するとそこは宮城が最初に目を覚ました部屋だった。そして、青白い光の正体が机の上にあった。
「……なんでペンチが光っているんだ!?」
宮城は不思議に思いペンチを手に取った。すると、ペンチの青白い光が強くなっていき、宮城の視界が真っ白になっていった。