新しいオモチャ-1
宮城はアミーラの後を追いかけると操縦室にやって来た。まるで飛行機の操縦室のように部屋一面に機材などが置かれている。そして、主操縦席には深緑のローブを着ている見た目は50歳後半に見える男性が居た。そしてアミーラは男性の近くて機械をいじる。
この人がバールさんかな?この人はマリカさんやアミーラちゃんの保護者だろうか。
宮城は前を見ると約5㎞先には一匹のノームが居た。だが、大きさが尋常じゃない。昼に見かけたノームの5倍以上はある巨体がそこにはあった。
まさか、昼に襲って来た同種とまた会うとわな……それにしてもデカイ。
「おじさん、今どうなってる?」
「今は特に反応はない……嵐の前の静けさじゃな」
「……ノームが何もして来ないなんて不気味ね」
「そうじゃの」
操縦席のモニターが点く、するとそこにはマリカが薄暗い場所に座っている。
『バールさん、準備が出来たわよ』
「そのまま待機じゃ。敵の様子が何処か変じゃ……」
バールがそう言ったとたん、ノームが体を伸ばすと口を上に向けると咆哮を上げる。その行動を見たバールは何かに気付いたかのメターを見ると舌打ちをした。
「しまった!!」
バールはアクセルを全開に踏む。
宮城たちが乗っているダンゴムシの様な形をしたディルア。そのディルアが全速力で前に進む。
アミーラは咄嗟に座席に掴まるが、反応が遅れた宮城は反動でバランスを崩し倒れた。
「イッタ!!何だ、いきなり!?」
「何か来るぞ!!」
モニターにはディルアの後方カメラの映像が出る。そして見ると、先ほどまで居た場所に地面からノームが2匹現れた。現れたノームは咆哮を上げ、後に睨むようにこちらを見てくる。
「まさか、他にもいたとはのう」
「こんな事って……」
アミーラの信じられない物を見ている顔を宮城は見た。
……どうしたんだろうか。いったい、何に驚いている?確かに奇襲には驚いたけど、あの2匹のノームは昼に僕を襲った奴よりは小さい。普通に攻撃する分には強敵ではないと思うのだが……
「一体どうしたんだ?そんな驚いた顔をして……?」
「当たり前でしょ!ノームが群れを成して行動してるのよ!!これが驚かずに居られないわよ!!」
なぜか半ギレで怒られてしまった。いや、この辺のこと分かんないから怒られても困るんだが。
よく状況を飲み込めずに居ると宮城はバールと目があった。バールは静かにこちらを見ると真っ直ぐと巨大ノームの方を見直した。
「ノームというのは本来ならば、あの様に単体で行動する生き物なんじゃ。だが、今回は違う。単体でも厄介な奴が、この場所に数体集まっとる。この意味……わかるな?」
「はい、なんとなく」
本来群れを成さない動物が集まるか。本来一匹でも生きていける動物が一斉に襲ってきてるのか……ヤバイな、生き残れるかこれは。
「切り抜ける方法はあるんですか?」
「……」
アミーラが俯く。まるで、方法はあるが決してやりたくない。……そんな感じがする。
どうしたんだこの空気は……もしかしてもうお手上げなのか?あれ?でも、たしかあのウミガメみたいなやついたよな。あいつは使わないのか?
宮城がそのようなことを思っているとバールがこの重い空気の中、口を開いた。
「マリカ、後ろのノームを殺れるか?」
「おじいちゃん!?」
『わかった。後ろの二匹は私が何とかする』
「でも、お姉ちゃん前の大きなノームはどうするの!?」
『大丈夫、見た感じ小さいからすぐに倒せるわよ。戻ってあいつも倒してやるからその間牽制しといて……でも、もし間に合わなかったら、アミーラは嫌かもしないけど……あれをお願いね』
アミーラは体を強く抱き閉める。そして、深く深呼吸しる。そして、体を抱きしめていた手を解き、真っ直ぐにマリカが映っているモニターを見る。
「……わかった。お姉ちゃん早く帰って来てね」
『ありがとうアミーラ。バールさんハッチを開けて!!』
バールはハッチを開けるための操作をおこなう。
「お姉ちゃん、無茶だけはしないでね」
『分かってるわよ』
「ハッチ開くぞ!!」
『それじゃあ、行ってきます』
マリカは通信を切った。
● ● ●
ディルアの後ろ側が徐々に開いていく。そして、そこにはウミガメ型ロボットが姿を現す。
そして、甲羅の上にある5mほどの大砲が2匹のノームに向けられる。
ウミガメ型ロボットの運転席、真剣な顔で照準を合わせているマリカが居た。
「まさか、この時間にノームに会うとは思わなかったわ。しかも二匹とは……でも、倒すしたないわね」
標準が合い、ロックオンする。マリカはボタン操作をして、ハンドルを強く握る。
「行くわよ、ディーファ!!」
《リュルフゥーン!!》
ディーファと呼ばれたウミガメ型ロボットの大砲が火を噴く。砲撃はノームの一体に見事命中。
ノーム達が突然のことで怯んでいる間にディーファはディルアから降り、ノームの周りを旋回しながら次の砲撃準備を行う。
思っていたより大丈夫そうね、注意しながら攻撃を加えれば何とかなりそう。
ノームはディーファに攻撃しようと大きな口を開けて大砲を出そうとしている。だが、マリカはその隙を狙い、ノームの口に狙い砲撃する。そして、砲撃はノーム口に当たり、ノームの頭が爆発した。
「よし、一体撃破」
だが、もう一匹のノームが口から大砲を出しディーファに向かって砲撃して来た。
ディーファはノームの周りを旋回したり、走行スピードを調節して、ノームとの距離感を変えて的を絞り難くしている。そして、ディーファは弾を装填し、ノームの口に標準を合わせて砲撃。見事もう一匹のノームの口に当たり、頭が爆発した。
「……あれ?もうおわりか。おかしい、手応えがあまりない。……考えても仕方ないか。早く戻ってあの巨大なノームを何とかしないと」
マリカはディーファにディルア向かって走ろうとすると、突然ディーファが止まった。
「どうした!?ディーファ何かあったの?」
《リュルーー!!》
ディーファは威嚇の声を鳴らす。すると、ディーファの見ていた場所から先ほどのノームよりも一回り大きなノームが現れた。
「まだ潜んでいたの!?」
マリカは突如現れたノームに向け大砲を向け、弾を装填、砲撃をした。だが、狙いが甘く、容易く避けられてしまった。そして、ノームは口から大砲を出し、砲撃をしてきた。ディーファは急いでバックする。砲撃は地面に着弾。だが、爆風がディーファを襲い、運転席が揺れる。
「くっ、まさか、まだノームがいたなんて……これは気を引き締めないと死ぬわね」
ディーファは、ノームとさらに距離を取り、先ほどと同じようにノームの周りを旋回を始める。
「早めに終わらせるわよ!!ディーファ!!」
《リュフゥーン!!》