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ラスールの神遊び  作者: 宮野アキ
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半信半疑のババ抜き―2

 「念のため理由を聞こうかしら」

 「僕自身、この地域の事をよく分かんないんです。実際迷いましたし、一人で街に行ける気がしません。でも、それでも街に行って友達や帰る方法を探さないと行けないんです!勝手な願いだとは思いますがお願いできませんか」

 「……お姉ちゃん」


 少女は困った顔を女性に向ける。女性もどうすればいいの考えているのか腕を組んで考え始める。そして、なにか思いついたのか腕を解きコーヒーカップに入っている飲み物を飲み干すと宮城を真っ直ぐ見る。


 「だったら私たちに仕事の依頼をしなさい」

 「仕事の依頼?」

 「え!?お姉ちゃんそれ本気で言ってるの!!」


 少女は女性に向かって大きな声を出した。突然の事に宮城は目を丸くする、だが大声を出された女性は静かに少女を見る。


 「冗談でこんな事言うと思ってるの?」

 「でもこんあな何所の馬の骨とも分からない人をこの船に乗せ続けるきなの!!」

 「なに言ってるの、別に悪い人ではなさそうって言ったのはあなたじゃない」

 「確かにそうだけどそれとこれとは別の話よ!!」

 「別に大丈夫よ。……ねぇ、あなたは街に行きたいだけなのよね」


 なんかよく分からない展開になったけど、これ下手なこと言ったらこれ殺されそうな空気になってる……とくにあそこに立ってる女の子すごい睨んできてるんだけど!!


 「あ、はい」

 「ほら、大丈夫だからそこまで警戒しないの」

 「……わかった。今回はお姉ちゃんにまかせる」

 「ありがとう。……それで仕事の依頼なんだけど、私たちは貨物を運ぶ仕事をしてるの。たまに人を運ぶ仕事もしてるし、私たちに仕事の依頼をしてくれれば君を安全に街に届ける保障をするわ」


 たしかに安全に街には行けそうだけど……仕事の依頼をするって事は報酬が必要だよな。どうしよ今は何も持ってないしな。


 「えっと、依頼したいのは山々なんですけど、今報酬として払えるものは持ってないんですよ」

 「そうなの……だったら、街に着くまで雑用として働いてもらおうかしら。今回はそれで運搬費ってことで構わないわ」

 「いいんですか。ありがとうございます!!」


 これでなんとか街には行けようにはなった。よかった。


 「本当に大丈夫なの?お姉ちゃん」

 「大丈夫、大丈夫。それにアミーラも話していた時、嘘を付いていたような違和感はなかったでしょ」

 「まぁ、確かにそうだけど……」

 「そゆうことでこれからあなたを安全に街まで届けるわ。自己紹介が遅れたわね。私はマリカっていうわ、よろしくね」

 「わたしはアミーラっていいます」

 「僕は宮城 翔っていいます」


 なんかアミーラちゃん、不機嫌そうにこっちを見てくるけど、この際気にしないでおこう。いったい雑用ってどんなことするか分からないけど、まぁなんとかなるでしょう。


 「アミーラ、バールさんにもこの事伝えといて」

 「うん、わかった」


 アミーラは宮城の事を半信半疑の目線を向ける。それに気付いた宮城は苦笑いで答える。それを見たアミーラはそっぽを向き、ドアから出て行った。

 僕、アミーラちゃんになんかしたか……?

 宮城がそんなことを思いながらコーヒーカップの飲み物を飲む。

 あっ、これ普通にコーヒーだった。この世界にもコーヒーはあるんだ。そういえば、この異世界普通に見覚えのある物がけっこう置いてある。日本語も通じるしどうなっているんだ?

 宮城は焼き菓子にも手を出して、食べた。

 ……うん、クッキーだ。そうだ、聞き忘れたことがあった。


 「えっと、マリカさん」

 「うん?何かしら」

 「雑用って主に何をやればいいんですか?」

 「そうだな、何か得意なことがあるならそれをしてもらいけど……なにができる?」

 「突然言われてもな」

 「そうよね。あっ、そういえばこれあなたの荷物よね?」


 マリカは机の下から肩下げバックを取り出した。


 「あ、はい。僕のです」

 「これ、返すわね。……その中身なにが入ってるの?」

 「別に対したものは入ってませんよ」


 宮城はバックの中から財布やスマホ、筆箱などを出す。するとマリカはスマホを手に取ると物珍しそうにみる。


 「なんか初めて見る端末だな。なんだこれは」

 「あ、こっちにはそういうのはないんだ」

 「ああ、似たようなのはあるがこんなにコンパクトなのは初めてだ」


 この世界はこういった情報系の電子端末の発展は遅いのかな?あんなすごいロボットはあるのにちょっと意外だな。うん?なんか見覚えのない物が入ってる。よく見えないけどなんだろう。

 宮城はその物を恐る恐る取り出す。そして、取り出した物を見てみるとそれは、ペンチだった。

 え?どうしてペンチなんかが入っているんだ?


 「あれ?宮城、あなた整備士だったの?」

 「うん、間違ってはないかな」


 たしかに高校では工業科で、しかも部活はロボット研究部だったし、機械を弄るのは得意だし好きだけど。でも、さすがに林間学校に行くのにそういった機材は全部置いてきたしな……それにこのペンチ見覚えがない。

 宮城はペンチを見回して見ると真ん中にサファイアの様な宝石とその周りには【The creation of all things】と彫られた文字があった。

 なんだこの宝石?えっと……万物の創造って読めばいいのかな?いったい、いつから入ってたんだろ?


 「それじゃあなたにやってもらう仕事は決まりね。ここに居る間は整備士として色々と手伝ってもらうから」

 「あぁ、わかった」


 色々と不安は残るけど、取り敢えずは何とかなったかな。これで無事に街には行ければなんとかなるかな……他のみんなはどこにいったんだろうな。


 「そうね、さっそく何して貰おうかしら……」


 マリカが言葉を続けようとした時突然ドアが開いた。そこには慌てた表情を見せるアミーラがいた。


 「お姉ちゃん大変!!ノームが現れた!!しかも、今までの比較にならないほどデカイやつよ」

 「え!?もうすぐ日が落ちるのにどうして!?」

 「そんなの分かんないよ。とにかく準備して」

 「わかったわ」


 マリカはカーテンの奥に消えると勢いよくドアが閉じられる音が聞こえた。

 ノーム……昼に僕を襲ったあいつか。まぁ、僕はなにか手伝おうとしても邪魔になるだけだろうしここで大人しく……


 「なにやってるの、あなたも早く来て!!」

 「え!?僕も」

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