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こんな夢を見た

作者: 青葉台旭

右上の犬歯に違和感を感じて、夜中に目が覚めた。

目が覚めると、いつのまにか昼だった。


家の中をうろついて、誰か居ないかと探す。

誰も居ない。


しかた無く、町へ出て、父の職場へ向かう。

僕の歯を見てくれと、父に言うと、

「いま忙しいから帰れ」と言われた。


しかた無く、母の職場を訪れる。

僕の歯を見てくれと、母に言うと、

「いま忙しいから帰れ」と、父と同じことを言われた。


しかた無く、あても無く、町を彷徨(さまよ)った。

通りの向こうから、同級生が歩いてきた。

確かに、同じクラスの生徒だが、今はもう、名前も思い出せない。


その名前の無い少年をつかまえて、

「俺の歯を見てくれ」と

大きく口を開ける。

口の中の犬歯がグラグラする。


「おまえ、その歯、やべぇよ、やべぇよ」

名前の無い同級生が僕に言って、いちもくさんに逃げていった。


しかたが無いので、歯医者に行くことにした。

歯医者に向かう道々、ひまつぶしにグラグラしている犬歯をいじっていると、

犬歯がポロリと抜けた。

あわてたけれど、

犬歯は、地面に落ちなかった。


歯ぐきから伸びた、細いピンク色のぬらぬらした糸で(つな)がって、

口からぶら下がっている。

ぷらんぷらん揺れている。


細いピンク色のぬらぬらした糸は、僕の歯の神経だった。

気持ち悪いので、引っこ抜こうと歯を引っ張った。


ずるずるとした感触が歯ぐきの中でして、

細いピンク色のぬらぬらした僕の神経は、

どこまでも、どこまでも伸びていった。


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