8話目 ~zzz星から脱出!! そして惑星が~
本日分にて、ようやく6話の後書き通りに出来た……。それに話が急展開を迎えます。
7話の終わりから
「情報センターってなんすか」
「しらねーのかよ」
「知ってると思いたいです」
「しらねーって事な」
カタキは何かが悔しいようで、むむむ……と唸っている。そもそもむむむとか表現が古い気がするのは気のせいだろうか。
「えーっと? 今どこにいるんだ?」
スガさんは腕時計を覗き込む。といっても、これがTMなのだが。これまた便利な物で、これまでの機能だけで無く、現在地情報や目的地情報が分かったりしてしまう。つまりは、設定さえすればその星のどこにでも一瞬でワープ出来るのだ。
「あ、近いから歩いて行けるな」
その情報センターがある方向を向くスガさん。TMにはナビゲーション・システムもあり、3D可視表示で、行くべき方向に音声と画像で案内してくれる。
「行くぞ、カタキ」
「あ、はいはい」
カタキに呼びかけ、歩いて行くスガさん。カタキもその後をついて行く。
〜情報センター到着〜
ウイインと自動ドアが開き、二人は中に入っていく。
「へーここが情報センターねー」
「言っちまえばショッピングモールのインフォメーションセンターだな」
「なるなる」
受付にいる女性の人に、スガさんは聞く。
「すいません、この星ってなんか特徴とかあるんですか?」
「はい。この星、zzz星は、まず他の星から来られた方だと、大抵到着した瞬間にまる一日就寝されます。場所関係無くです。
その後は、目覚めて活動される方もいれば、また寝てしまう方もいますね。どっちかっていうと色々忙しい方や、ワープを繰り返している方がまた寝てしまう傾向にあるようです。
問題は、この星の極めて稀な電磁波のせいです。この星には、地殻変動やその他色々な星の活動により、微量な電磁波が放出される、という特徴があるんです。今も電磁波が出ているでしょうね。
そして、電磁波が眠りの原因です。この電磁波は、6時間ぐらい活動している人、起きている人を本人の意思関係なく眠らせてしまいます。これはしょうがないことなので、この星にいる人達は、これを知ると定めだって諦めますね。
あ、それと起きたのに関わらず眠いのは、それはよっぽど眠いんでしょうか、それとも結構前から睡眠時間が短いからでしょうか、どちらかと思われますね。
お役に立てましたか?」
『十分に。ありがとうございます』
スタスタスタと情報センターを出て行く二人。
「マジかよ……。俺ってそんな睡眠取って無かったのか!?眠いのか!?」
「じゃないっすか? てゆーかこの星の名前、zzzですね。そりゃ眠くなりますよね」
スガさんは、地味に頭を抱えて唸るが、カタキはカタキで、変な事に納得してしまっている。
「は、早く脱出しちまおうぜ!!」
「いいですよー」
なんだか焦り気味のスガさんはこの星から、一分一秒早く脱出したいらしい。プライドでも傷ついたのだろうか。ならば可哀そうである。こんなzzzとかいうふざけた星だから、尚更可哀そうに思える。
「でもスガさん、ちょっと気になる事が」
「あ!? なんだよ!!」
ちょっと怒り気味に聞くスガさん。その間にTMを宇宙船型にすればいいのに、なんて誰も突っ込んでくれない。
「僕たち起きてから、6時間経ちました」
一瞬の沈黙が二人の間に流れる。
「早く脱出しねーと(永遠の)眠りについちまうだと……!?」
「現に僕今フラッフラッしてますもん」
そう言うカタキの体はあっちこっちに動いている。
「あーなんか俺も瞼が重い……」
睡眠という名の誘惑には勝てず、二人は、道のど真ん中で就寝した。今度こそ車に轢かれるのではないか、心配な所だ。
ティントゥン♪(時間が経過した合図。
二人が寝てしまってから、10時間が経とうとした時、スガさんが目を覚ました。
「はっ!! やっべえ!! おい、逃げんぞカタキ!!」
脱出しようとしていた事を思い出し、まだ夢の中にいるカタキを揺さぶる。
「もう食べれませんよぉ……。ムニャムニャムシャムシャ」
「こいつぁどんな楽しい夢を見てんだよ……。勝手にムニャってろ」
カタキを起こすという事に諦めたスガさんは、TMを早急に宇宙船型にし、カタキを引きずって連れ込む。
TMの中は土足厳禁なので、頭だけ適当に玄関より内側の、綺麗な所に置いておく。後は玄関内部に放置。
「エンジンスタート」
自動運転から手動運転に操縦方式を切り替えたスガさんは、キーを回し、TMのイオンエンジンをスタートさせる。すぐにそのエンジンが起動し、TMが波動を撒きながら宙に浮かぶ。
そんなことして周りに迷惑かといったら、それは違う。波動を撒くと言っても、少し風が強くなった程度の衝撃だ。別に衝撃と呼ぶほどのものでもない。
「離陸態勢、ワープモードセット」
ボタンを押し、両手でぐっと操縦桿を握り締めるスガさん。イオンエンジンは便利なもので、騒音を出さない。しかし、エンジン内部では、エンジンが離陸態勢に入ると同時に、フル回転しはじめる。
「3」
スガさんが、ワープ航法移行までのカウントダウンを始める。TMの操縦席は正面から周りの景色が見えるようになっている。中から見るとガラスのようだが、外からは見えない。そして、現在の進行情報だとかが、画面に表示される。そこには、ワープ移行可能まで3秒と浮かんでいる文字がある。
「2」
ワープ移行可能まで残り2秒。
「1」
ワープ移行可能まで1秒の表示が出た時に、三つのスイッチを上げた。
「ワープ移行可能っと」
凄まじい数の数字が画面にバーっと表示された後、ワープ移行可能の表示が浮かぶ。スガさんは、
「テイクオフ!!」
スガさんは、レバーをぐっと上げた。そうすると、とてつもない速さで斜めに上昇をするTM。
「移行!!」
スガさんは叫び、操縦桿の真ん中にあるボタンを押す。そうすると、TMの姿はzzz星から消えた。
少しすると、TMが宇宙空間上に現れた。ワープを止めたのだろうか。
「ふぅ、やっぱ疲れるけど楽しいな、離陸って」
どうやらスガさんは、ちょっと溜まった苛立ちをすっきりさせるために、わざわざこんな手動での離陸を試みたらしい。ちなみに、全て自動制御運転だと、先ほどまでの作業を全てTMがやってくれる。
だがしかし、TMを購入するには、ちゃんと免許が必要なのだ。不測の事態に陥り、TMの自動運転が不可能になった場合、手動運転に切り替わり、搭乗者が操縦しなければならないのだ。
ちゃんと、スガさんとカタキはその免許を取っていた。取ろうと思えば、15歳の時から取れる。
「さ、なんか疲れたしのんびりしておくか」
スガさんは自動運転に切り替え、自分はソファーに座り一息をつく。どうせならと、お茶を入れたり、茶菓子も持ってくる。
周りの景色は、宇宙だ。きれいである。普通ならワープ空間に入っているはずなのだが、一番近くの人間が住んでいる星までは普通に宇宙空間を進んでも、3時間程度で着くと、TMの画面に表示されたからの事だった。
「クカーzzz」
「……もうカタキはあのまんまでいいよな」
安らかに寝息を立てるカタキを冷ややかにみた後、自分はお茶をすする。
―――――しかし、振動がTMを襲った。
ドオオン……
「あっちぇ!!」
突如起こった振動のため、TMが揺れ、スガさんの顔面に熱々のお茶がぶっかかる。かなり熱そうだ。
「あちちちちちなんだおい!?」
熱さに悶えながらも、操縦席に向かうスガさん。途中、適当に置いてあった清潔なタオルで顔を拭きながらいく。
「まぁよかったか」
スガさんが見る限り、TMに何らかの異常は起こっていないようだった。ほっとして正面の画面を見ると、そこにはとんでもない情報が浮かんでいた。
「目的地であった星が破壊されました……だと!?」
スガさんは信じられないという顔で、浮かんでいる情報を隅から隅まで見る。そこには最新の情報があった。
「何者かが星を破壊。住民は全員死亡したと見られる……!? 一体誰が……!!」
その時、
ウイイイイイン
「うわっ!! なんだ!?」
「ふにゃっ!!」
TMの画面に、けたたましい音と共に、警報を知らせる表示が浮かぶ。その音のおかげでカタキが目覚める。
「おいカタキ起きたか!!」
「なんすかスガさーん……」
「―――――衝撃波が襲ってくるぞ」
「はぁ!?」
まったく事態が分かっちゃいないカタキはただただ驚く。
「一体何があったんすか!!」
「俺にも分かんねーよ!!でもなぁ……」
スガさんは、額に冷や汗をかいていた。そこまで緊迫しているということなのだ。
「―――――場合によっちゃTMが耐えられないってよ……」
そう、次に予測される衝撃波は、星の爆発消滅に伴う衝撃波なのだ。先ほどのものとは比べ物にならない。
そして、TMはそれによって破壊されてしまうかもしれないのだ。
その事によって起こったある戦いは、伝説となるのだが、二人はただただ目の前に立ち塞がる衝撃波の前に、何も出来ないでいた。
次話に続く
スガさんとカタキが死なないといいのですが……。次回はなんとバトルします。マジか!!です。ではでは!
お知らせ;9話目は3月14日午後8時くらいに投稿