6話目 ~お座敷宇宙船!? そして寝ます~
どうも、あくりる!です。本日分レッツゴー!今回は皆さんはじけてらっしゃいます。
5話の終わりより少し経っています
「スーガーさーんー……、気付いてんのかな?おーい!!」
TMの中、平和な一時を過ごしていたカタキは、ソファーに座って腕組みしたまま動いていないスガさんに呼びかける。
ちなみにTMの中はもちろん土足厳禁。PCは、足が短い机の上に置いてある。その前に腰かけているのはカタキで、かなり態勢は崩れている。
「ん? なんか言った? スマン、ウォー○マンで音楽聞いてた」
「……僕は○pod派ですけどね」
「ま、ここにいても意味ねーし。次の星行こうぜ」
そう言うと、腰をよっこらせと持ち上げ、TMの操縦席へと向かう。
TMは、基本的に自動制御航行である。行き先を入力すれば、そこに行きつくまでの最短ルートで目的地に向かう。基本的には腕時計型にして使うものなので、ワープ航法を使って移動する。しかし、スガさん達のような宇宙船型にわざとしている人の場合は、離陸時、着陸時のみイオンエンジンへの切り替えとなる。
大前提だが、TMは、時空間移動が可能である。某猫型ロボットのドアのように、現在地から目的地までどれだけ離れていようと行けて、時を移動し、過去へ、未来へと行ける。
つまりは、この宇宙世紀で一番の大発明だということだ。今やTMがなければどこにも行けない。いや行ける事は行ける。旧型の宇宙船で行けばどうにかなる。
「あ、スガさん待ってください!! あーれでもないこれでもない」
「あ?」
操縦席で設定をしようとしたスガさんを、カタキの声が止める。
「あ、あった!!」
「何があったんだよ」
何やら色々チラシをあさっていたカタキは、スガさんに聞かれ、あるチラシを突き出す。
「今回これでいきましょうよ!!」
「はぁ? お座敷宇宙船?」
「はい! 今ならタダ券ついてるんですー。腹減った腹減ったメシ食いたいメシ食いたい」
「……腹減ってるだけじゃねぇかよ。まぁそれのった。行くぞー」
「はーい」
お座敷宇宙船なるもので次の星に向かう事にした二人は、外出着に着替え、TMを格納し、宇宙船の発着所に向かう。
(中略)
「着いたー! ここが乗り場か」
発着場に着くとそのまんまの感想を漏らすカタキ。
「これってどんな方式だ?」
疑問に思いながらも、スガさんは受付と思われる建物に向かう。ウイインと自動ドアが開き、建物内に入る二人。受付に行くと、
「あーすいません二人なんですけど、お座敷宇宙船空いてますか?」
スガさんは聞いた。空きがなければどうにもならない、乗れない。
「はい。次の船が空いてます。お客様は基本的に相乗りのような形になるのですがよろしいでしょうか?」
スガさんの問いに、受付の人が答えた。どうやら色んな人と一緒に乗る形らしい。
「あ、はい。大丈夫です。それとこの無料券……」
「無料券ですね。使えますよ。それではチケットをお渡しします。お乗り頂く船は、『百合』です」
「はい」
チケットを受け取ったスガさんは、受付の建物を出て行き、宇宙船が停まっている場所へと向かう。
「なんですかこれ?」
「ああ、これが宇宙船なんだろ」
「マジすか」
カタキは宇宙船の姿を見て驚いた。現代でいう屋形船のような外観なのだ。もちろん頑丈である。
カタキは現代っ子なのか、屋形船というものを知らなかったらしい。
「じゃ、乗ろうぜ」
「天井低っ」
船の内部は、屋形船そのもので、入口は天井が低く、中は畳が敷いてあり、テーブルと座布団がある。
「でも意外に中は広いっすね」
「当然だろ」
「どこ座りますー?あそこ座りましょうよー」
「……子供か」
一人でややテンションが上がった様子のカタキにスガさんが突っ込む。
「はい。まだまだ子供ですよ。ぴちぴちです」
「お前は魚か」
「そーすね! って違いますよ!!」
「のんなよアホ」
「アホキター!!\(・∀・)/」
「勝手にやってれ」
アホキターとか言ってるもう残念すぎるカタキを放置して、スガさんは座布団に腰を下ろす。
ちょっとすると、船の中に色んな人が来る。サラリーマンやら家族連れやらその他色々。
「それでは出発します」
従業員さんの一言で、船が離陸する。
「お座敷宇宙船をご利用いただきありがとうございます。当船は旧式の宇宙船となっており、近くの星まで二時間の旅となります。それでは宇宙の景色を堪能しながら、参ろうと思います」
「おーきれーな星ー!」
「最近は宇宙なんてみねぇからな」
「どうですかい景気は」
ふいに、スガさんがサラリーマンの人に話しかけられる。同年代のようだ。
「まぁぼちぼちですね。今はこうやって暇を潰しているような感じですよ」
「やっぱりそうですか……。近頃は忙しくて」
「大変ですよね」
「おじさんたちのリアルな会話だ」
カタキが何故か話に介入してくる。
「おまカタキ何がしたい」
「暇です」
「だったらあの子供たちと遊んでこいよ」
「えー……」
スガさんが指差すのは、家族連れの人達だった。カタキがそちらの方を見ていると、その視線に気づいたのか、二人の子供たちが近寄って来る。
「ねぇねぇお兄ちゃん遊ぼうよ!!」
「運動神経とか悪いんでしょ?」
「つくづく無礼な子供たちよ……。よっしゃ、遊ぼうぜ!!」
『わーい』
男の子二人が船内を逃げまわり、それを追いかけるカタキ。
「なんだよアイツ。普通に打ち解けてやがんの」
「まぁ私達は私達で話してましょうよ」
「そうっすね」
「すいませーん! ビールありますか?」
「はいありますよー!」
サラリーマンの人が従業員の人に聞いて、従業員の人が明るく答える。
「それじゃあ中ジョッキで二つください」
スガさんもそんな感じで頼む。
「あ、すいません!! カラオケできますか!?」
カタキは何故か従業員の人にそんな事を聞く。
「ありますよ」
「分かりました! よっしゃ歌うぜ!!」
『いぇーい!! ふううう!!』
男子三人は勝手に騒ぎまくっていて、カラオケの準備ができると、すぐさま選曲を始める。
「お待たせ致しました。中ジョッキ二つです」
「それじゃあ乾杯!」
カーンとジョッキを軽くぶつけて、ビールを煽るおじさん二人。
「いや、やっぱりおいしいですね」
「ビール最高ですよ!」
『あははははは』
もうこの二人はこの二人でどうにかしている。初対面でここまでってのもどうなのだろうか。
「いっくぜえええ」
「おー!!」
「張りきっていくよ!!」
『らんらんらんららんららんらんらん!!!!』
男子陣はアニソンと思われる歌の前奏を歌い始める。
「風が吹く〜!♪」
「光届け〜!♪」
「この世界で叫んでやろう!♪へい!」
『ゴーゴー! レッツゴー! 進め未来へ! ウ〜! はいはいはい!』
「食事をお持ちしました」
「お、ありがとうございます」
スガさん達の方には、食事が届けられていた。男子陣の歌声をBGMに食事を取る。
「えーっと、刺身刺身刺し身さしみさしみサシミサシミって刺身だけじゃん!!」
運ばれてきたのは、白米と刺身(ryだけだったのでスガさんは思わず突っ込む。
「まぁ刺身もいいじゃないですか」
「おいしいですしね」
そう言って、刺身をぱくつくおじさん達。
「うんうまい」
「久しぶりに食べたなー」
「無駄な♪希望は持たずに〜!♪」
「笑顔で前を向いていよっぉおう!♪」
『風が吹き! 進む俺達は〜!♪』
「もうだっれにも! 止められやしない〜♪」
『さぁさぁ明日に進もう!♪』
「新しい世界へ踏み出そう!♪」
『俺達の夢は!♪ おーわらないっ!!』
チャンっという最後の音で男子陣が決めポーズを決め、歌が終わる。
「いやーよかったよ!」
「カタキもっと歌えよ!」
おじさん達は酔いが回っているのか、手を叩いてアンコールやらなんやらやっている。
「いや、でも疲れたんで、まずメシ食わしてください」
カタキも男子二人もそれぞれの場所へ戻っていき、刺身を食べる。
「うまいうまいうまいふまいふまいふまふまふまふまままふふふふふふふっふ」
「ちゃんと食えって」
スガさんが、冷静に突っ込む。
「ゴックン、よし歌ってくる」
「がんばー」
(中略)
「はー歌いつかれた食いつかれた」
「お疲れ」
二時間はあっという間に過ぎ、スガさん達は船を降りていた。
「そういやあの子達とメアド交換しました」
「おんま人見知りしない性格だな」
いつのまにかメアドなんかを交換してしまっているカタキ。スマホをスガさんの目の前に突き出す。
「さ、星にも着いたし探検しようぜ」
「そーすね」
そう言って、二人は適当に歩いて行く。
しかしその五秒後、
『クカー……――――zzz』
二人は謎の睡魔に襲われ眠ってしまった。しかも道の真ん中で……。
次話に続く
なんでだ!なんで寝たんだ!そんな事を次話では明らかにしていきます。その前に車に轢かれなければいいですけどね……。
お知らせ;7話目は3月8日午前9時くらいに投稿