5話目 ~スンドゥブとか言う食べ物を食す~
お久しぶりです。あくりる!です。
今回は時間が出来たための投稿でした。
まだ本格的に復帰した訳ではありませんので、よろしくお願いします。
それではどうぞ!
「タイトル壮大だな」
「何言ってんすかスガさん」
TM宇宙船modeの時に入れる部屋で、二人は思い思いの事をしながらくつろいでいた。スガさんはソファーに座りながら熱くくゆるお茶をすすりつつ。カタキはふかふかのリクライニングチェア(前回からあったが、最近買った)にだらーっと座りながら。のんびりと過ごしていた。
だがカタキがハッと気付いたかのようにがばっと上体を起こし、戦慄く。
「お、おいどうした」
カタキの異変にスガさんも気付き、いつにもなく緊迫した表情のカタキに問いかける。
「す、スガさん……。大変です……!!」
スガさんは思わずゴクンと唾を飲み込み、カタキの言葉を待つ。そして、真剣な表情で語り始める。
「……お腹空きました」
「なんでだよっ!!」
どうでもいい回答だったため、近くにあったクッションを投げつけるスガさん。確かに今は昼食の時間だ。
「いいじゃないすか、腹減りましたよーってはっ!!」
「こんどはなんだよ」
「そこに美味しそうなチョコバーが……!! でもやけに黒いな」
「それはリモコンだ!!」
「くふふ、世界を食いつくしてやる」
「キャラ壊れてるぞ!!」
最後の突っ込みが少し違う気がしなくもないのだが、カタキが壊れているのは確かであり、おそらく修理にでも出さなければいけないだろう、とスガさんは思う。
「よし、修理してもらおう」
「またあたしをどこかに置いてくの……?」
「誰だお前!!」
「ははは、邪神であるぞ!!」
「もうダメだコイツ!!」
少し中二的発想に傾きがちになってしまっているカタキを見て、とうとう二の句も告げなくなったスガさん。しょうがない、と頭を掻き、
「スーパーにでもなんか買いに行くか……」
「イエッサー!!」
と言った瞬間にカタキが目を輝かせ、敬礼する。余計に溜め息が漏れるスガさんを見ながら、カタキは首を傾げた。
「え、スガさん、スーパーっておいしいんですか?」
「まぁそのまんま丸ごと食ったらうまいかもな、って色々違う」
カタキのおかしい問いに一瞬気付かず、突っ込むのが遅くなったスガさんであった。
とりあえず、二人はここに来るとき使った転移陣、即ちワープ装置の上に乗ると、部屋からは姿を消していた。ここは地味に四次元空間だったのである。
二人がワープした所は、ワンボックスカーの後部座席だった。ドアを開けてスガさんは運転席に乗り込み、カタキは助手席に座ると、カチッとシートベルトを装着しキーを回す。エンジンが動き出し、ナビも起動した。
「さてと、まぁ最寄りのスーパーまで案内してくれるだろ」
「ナビすげー」
音声入力で、「最寄りのスーパー」と話せば、ルートガイドを開始する表示が現れ、車を動かすスガさん。ちゃんと免許は持っているので、安全面では平気である。ちなみに、今停車していたのはタイムパーキングだ。
だが忘れてはいけない事は、この車は遠い未来で作られたTMという事だ。性能は桁違いだし、画質もいい。というか画面というよりかホログラムである。それで怪しまれてはいけないため、車の外装、内装は日本産の車とほぼ同じであり、ナンバープレートもついている。意外とかなり気をつかって作られているのが、TMであった。
パーキングの出口で遮断機に行く手を阻まれたスガさん一行は、ちゃんとお金を払い、無事出庫した。
~到着~
「なんすかここ」
「スーパーだっての」
二人は最寄りのスーパーに到着していた。車を平面駐車場に止め、ドアをロックすると、いざ出陣である。
自動ドアが開くと、生温い外気とは裏腹に、冷たい空気が流れ込んできた。スガさんはカゴを手に取ると、店内をうろうろする。スガさんはまだいい。だがカタキは既に挙動不審であった。
「うへへへへへへーい! うまそうなものがたくさんだぜぇぃ」
「……精神科医にでも今度連れてくか」
おかしいカタキを冷ややかな目で見たスガさんは、カップラーメンでも買うか、とそのコーナーを探し始める。何を食うか、と色々見ていると、カタキが駆け寄って来た。
「スガさんこれ! これ食いましょう!」
満面の笑みでカタキが持ってきたのは、
「……スンドゥブ?」
そう、レンジでチンすれば出来ると謳っているスンドゥブが作れる箱であった。見ると、中には具の入ったピリ辛いタレが同梱しており、後は木綿豆腐を購入して箱の中にタレと一緒に投入、後はレンジでチンすれば出来上がりらしい。
ふむ、と顎の下に手を置いたスガさんは、
「ま、買ってみるか。じゃ後おにぎりでも買うぞ」
「はーい」
すぐにスンドゥブの購入を決め、後は主食である米を食べれればいいという結論に至ったのであった。ちなみに、TM内にレンジはある。
その後、木綿豆腐を一丁買い、おにぎりを一人三個ずつ買って、スーパーを後にしたのだった。
部屋に戻ってきた二人は、早速スンドゥブの作成に取り掛かる。
「まずは、箱を開けてーっと」
「箱ん中に直接入れんだな、へー」
二人は台所で箱を開封していた。中には、タレの入った袋が入っていた。次に、
「で、豆腐半丁をスプーンですくい、箱の中に入れていく」
「これっすね」
あらかじめ水を切っておいた木綿豆腐を、スプーンで半分くらいに切りわける。そして半丁分となった豆腐をスプーンですくい、箱の中に入れていく。ちなみの台所での立ち位置は、スガさんが左側、カタキが右側で、レンジはスガさん側にある。
「よし、おっけー」
「で、タレを投入っと」
豆腐を入れ終えると、袋を開け、タレを豆腐にかけていく。その匂いは、食欲をそそる辛い匂いだった。
「あーいい匂いっすね!」
「じゃ、蓋をしめてレンジに投入」
二人のスンドゥブをレンジの中へと入れ、600Wで6分加熱。その間におにぎりや飲み物を準備した。
完成しました
「さー食うぞ」
「メシイイイイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィィ」
「イ」でゲシュタルト崩壊しそうであるのだが、とりあえず蓋を開け、切り取り線で取り除く。すると、
「うん、スンドゥブだ」
「いい匂いー」
真っ白な豆腐の上に、赤く辛いタレがかかったスンドゥブが現れた。おにぎりと一緒にパクつくと、
「あーうまい」
「おいしいっすね」
とてもおいしそうな表情をする二人。もう何もしゃべらず、黙々とスンドゥブとおにぎりを食べていく。途中、スンドゥブが辛かったのか、カタキが悶えていたのは、スガさんだけが知っている事だった。
「辛かったー」
「なんでスンドゥブだけでペットボトルの2Lも消費できんだよ」
「知りません」
「ならいい、いやよくない」
その内、カタキが眠ってしまったので、それを放置し、ゴミを片付けると、テレビを見始めるスガさんであった。
次回の更新は、まだ先になると思いますので、どうか長くお待ちください……。