11話目 ~Xの力 そこに現れたドヤ顔青年~
バトルはまだまだ続きます!!
それではどうぞ!
10話の続き
「お前なら分かるだろう、コイツ本来の力を」
「十分にな……」
名も無い星にて。スガさんとXは真正面から対峙していた。スガさんは右手にTruth・ブレードを持っている。
Xの方は左手に剣を持っていて、右腕が無くなっている。スガさんが斬ったのだ。今も血が流れ続けている。
「ははは、やはり人が慄く様を見ているのは愉快なものだ。どれ、やるとするか」
Xが笑いながら、剣を地面に突き刺す。そして力を込めたかと思えば、斬られたはずの右手が復活していた。
「仕組みはなんとなくわかる。お前らが取りこんだ誰かの腕を、アイトの体に付加しただけか」
「物分かりが早いな。そうだ、コイツの腕が無くなったから、新たな腕を付けただけのもの」
Xは人々の怨念の集まりである。その中にはスガさんの息子、アイトのように、理不尽にXに取り込まれた人もいるのだ。その内の誰かからアイトの体に右腕というパーツをつけただけなのだ。原理は壊れたロボットを直すようなものだろうか。
「準備は整った。コイツの力を使うとするか。先ほどもこの力を使わせてもらったからな」
「やっぱそうなのかよ……!! 罪の無い人達を殺しやがって……!! ぜってー殺してやるよ!!」
スガさんは叫び、Xに斬りかかろうとするが、状況が状況である。一旦宇宙空間上に退避する事にし、舌打ちをしながら上昇していく。
少し前にあった惑星爆破の原因、それはXの仕業。しかしその力を使えるのはアイトであった。
「さぁ吹き飛ばそうかッ!!」
Xはその星が宇宙から見下ろせる位置まで上昇すると、左足を体に引き寄せ、右足から星に急降下していく。体全体は白いオーラを纏っていて、そのまま右足で地面にキックする。
そうすると、少しだけ蹴った箇所とその周りにのみ亀裂が生じ、オーラが地面に飲み込まれていった。一見何も意味のないようかに見えるこの行動。しかし、これは次の一撃へと繋がる伏線だった。恐怖へと引きずりこむための。
スガさんも、その様子を眉間にしわを寄せながら見ていた。そのままXが星を破壊するものだと思っていた。
だが、そんな予想を裏切って、Xがスガさんの目の前に突然現れた。
「なっ……!?」
あまりに突然すぎてアクションが遅れるスガさん。しまった、と思った時には、Xの蹴りが腹に当たって吹き飛ばされてしまった。
ドォンと、先ほどまでいた星に墜落する。ゲホッゲホッと少し血を吐く。
「まさか私達がお前を殺さないで、星の爆発を見学させておくなど、甘い事はしない」
「くしょう……!!」
もう間に合わない。そう直感したスガさんは、視線の先にいるXを睨みつけながらも、かなり悔しそうな表情だ。
「お前の息子の力、それでお前は死ね」
Xは持っていた剣を上空から投げつけた。白いオーラを纏った剣は、先ほど亀裂の生じた場所一直線に飛んでいく。
アイトの力、それは自らがとてつもない力を込めて攻撃する。そのままでいくと、力に押し負けて星が崩れて終わるだけだ。しかし、アイトはそれだけではなく、星そのものを消滅、一欠片も残さないようにするために、こんな手段をとるのだ。
攻撃した場所に力を圧縮しておき、剣を投げつける。そうすると、爆弾のように埋め込まれた力の塊が破壊され、星が、惑星さえも爆発させる事が出来る、という方法で。
剣が突き刺さらなければ、爆発して木端微塵にはならない。だが剣は言ってしまえば起爆スイッチのようなものだ。しかも星全体を爆発させるための。それゆえに剣にかかっている力も半端ではない。
今のスガさんでは到底止める事はできない、出来たとしても少し軌道をずらす程度しか。
「これで終わりだ、スガ=フリーク」
―――――スガさんも終わりを直感した。これで俺の人生は終わるのだと。だけどそうではなかった。
そういえば忘れていた人がいたじゃないか、と。
その人はスガさんの前に現れた。
「―――何やってんすか、カッコ悪いっすよ。スーガさん?」
「カタキ……!!」
スガさんはその名を呟いた。カタキも宇宙服はきていない。もの凄い速度で飛び上がると、力の塊に刺さってしまいそうな剣を、自らの双剣でいなした。
―――キィィィン!!
バキィン……
剣が、いとも簡単に吹き飛ばされ、そのまま刀身が折れてしまう。
「これが、天空人の力。軽減化っすよ」
カタキは着地して、最高級のドヤ顔で笑った。
※最高級のドヤ顔→ほぼ全ての人が見たら、「うぜえええええええ」と思うドヤ顔のこと
次話に続く
カタキ現る。というかこんなシリアスな話でしたっけ……。まぁいいですよね。うん。
お知らせ;12話は3月17日午後8時くらいに投稿