10話目 ~紅く燃え上がる闘志 Xは滅ぼす~
毎日更新開始!!バトルじゃあああああ
それでは本日分どうぞ!!
急展開の9話の続き
「親父こそ何やってんだよー?こんな息子に剣なんて向けちゃって」
スガさんの息子、本名は不明がスガさんに軽い調子で話しかける。吸い込まれるような宇宙で、まだお互いの剣をぶつけ合ったままだ。
「お前こそ何やってたんだよ。前に見かけた時斬ろうとしたけどお前消えたじゃん」
キィン
剣を押しあう力が強くなり、二人は後方に飛び退く。そして、そのまま近くの小さい星に着地する。大気圏とかそういうのはなく、月のようなものと考えればいい。
二人とも息が出来るのだから、宇宙よりかはこちらの地面がある方が戦闘しやすいだろう。
「だって俺さぁもう」
「―――――私達が全て奪ったからな」
「……出たな、Xとやら」
突如人格でも変わったかのように、声の調子が変わる。体は先ほどまでとまったく変わらない。ただ、目の色が真っ黒に染まっていた。そして、スガさんを睨む。
スガさんは息子に起きた事態、何故Xが息子と一緒にあるのか、それが分かった気がした。強くXを睨みかえす。
「ああ、そうだ。私達はX、私達の大部分を占めている仲間のために、全てを滅ぼす」
「その後は?」
「何も無い」
「とりあえず滅ぼすってんのかよ……」
少し呆れた様子で、スガさんはTruth・ブレードを肩に担ぎ直す。
「こっちだって勢いっぱい生きてんだ。勝手に殺されちゃ困る」
態勢はそのままに、怒気を孕んだ声で言い放つスガさん。
「ほう、やはりお前もか」
「何がだよ」
「お前の息子を殺した時も、お前の息子の目の色が変わったからな。それが真実の一族の力か。私達の中ではお前の息子だけが真実の一族だからな。それまでは知らなかった」
「……この目の色かよ……」
一度溜め息を漏らしたスガさんは顔を伏せる。いつのまにか目の色が赤くなっていて、Xはそれを不思議に聞いたのだ。もっとも、聞いていて嬉しくなる質問ではないが。そして、もう一度顔を上げながら語っていく。
「アイツは白くなるから、“真実の白眼”だったっけ。“彼”ってのもあったよな。なんか全ての始末人だったらしいし。まぁ俺は
――赤くなってるんだけどな……。“紅い真実”の名は伊達じゃねーぞ」
スガさんの二つ名、“紅い真実”は、SASで密偵をしているうちについてしまったらしく、その目の色と、真実の一族という所からきているらしい。
「まぁそこはいい。とりあえず私達は宇宙を滅ぼす、お前の息子の力や皆の力でな。お前はどうする?実の息子を殺すのか?」
その言葉にスガさんは顔を顰める。なんともうざったらしい言い方だったのだ。
「もうアイツは死んでんだろ?だったら俺は、スガ=フリークの名において」
「―――――アイト=フリークの弔い合戦をする」
スガさんの息子の本名は、アイト=フリークだった。そして、その息子、アイトを殺した奴らを殺すため、宇宙の滅亡を防ぐため、スガさんは全ての決意を決めた。
Truth・ブレードを構え、左足に力を込める。すると、自然に左足がグッと後ろに下がる。目の色は燃えたぎるように、血のように赤くなる。Truth・ブレードもそれに共鳴するかのように、赤いオーラを放っている。
「そうか、お前の決心はついたか。ならば私達は……」
アイトは、アイトの形をしたXは、スガさんを見ると、満足そうに呟いて全ての視界から消えた。
「―――――そのまま葬るのみ」
Xは一瞬でその星の上空に移動していた。剣を一振りする。そうすると一筋の斬撃が生まれ、星に向かっていく。スガさんはその様子を少し遅れて捉える。
「あ、やっべ」
少しだけ慌てた様子でその斬撃を、
ギィィィィィン
「こっえええ……」
Truth・ブレードで受け止めた。だがその衝撃がすごいのか、足がどんどん後方にずり下がっていく。
「流石は真実の一族だ。そうでなければ楽しくなどない!!」
Xはその様子を愉快に笑って見ている。それが少し嫌になったスガさんは、思いっきり斬撃を宇宙の彼方に跳ね飛ばす。
「じゃあこっちから行くぞッ!!」
スガさんは飛び上がり、Xに向かっていく。そして、剣を振りかぶる。
キィィィン
キィィン
キィィィン
宇宙を飛び回り、接触すれすれで斬撃を繰り出していく両者。さながら、紅い流星と、白い流星だった。
「そんなもんかよッッ!!」
スガさんは何も進展がない様子に少し苛立って、一度停止しようとする。宇宙にも慣性の法則が働くのか、少しだけずれた位置で完全に停止した。
「私達も退屈していた所だ、来るなら来い」
「ドMかお前ッ!!」
さっきから「~ッ!!」という言葉を連発しているスガさんだが、流行ってでもいるのだろうか。
飛んでいるままスガさんが剣を右手持ちにし、Xの方に突進すると、Truth・ブレードの刀身が今までよりもさらに血の様な赤に染まっていく。
そして、そのまま技を繰り出す。
「トゥルース・バーストォォ!!」
ザキィィィィン!!!!!!
スガさんは、剣を振り下ろす。それはあまりにも速すぎる斬撃。そのままXを斬って、背後に回っていた。
そのXは右腕がすっぱり斬れている。どくどくと血が流れて行く。
「ははは!! やはり脆い物よ!! 人間の体などな!!」
大きく口を開けて、笑うX。右腕が斬れているのに、だ。
「アイトはもっと強かったと思ったけどな。やっぱ死んでんだからか」
スガさんは剣についた血を振り払い、皮肉めいた口調で言い放った。
「ならばコイツ本来の力を使えたら?」
「おいおい……!!」
Xの問いに、スガさんは冷や汗をかいてしまう。しかもかなりヤバいという表情で。
アイト=フリークの二つ名は“彼”。宇宙の規約を犯した星を滅する、始末人だった。それゆえに、宇宙に点在する国家の上層部では、アイトを“彼”と呼び、星が滅される事を危惧していた。
そんなアイトの力を、父親であるスガさんはよく知っていた。
次話に続く
燃え尽きるまで頑張りますっ!!
お知らせ;11話は3月16日午前11時くらいに投稿