プロローグ ~タイムマシンが壊れました~
初めまして?またはどうも?あくりる!です。今回のプロローグから見始めた人には、初めましてですね。このプロローグは本編執筆中に書いたものなので、そちらの方を追いかけてくださった皆様は、どうも!だと思います。この話は、本編中でちょっとだけ触れた事を、いっその事ってプロローグにしちゃった話です。どうぞ、お気を付けてご覧ください。
これは、この旅が始まる前のお話
どこかの星の空き地にて
「あー、ひま。ひまひまひま」
TMの中、ベッドでごろごろしながら呟く青年。
「なんもやる事ないなーひまだなー」
今は真昼間だというのに暇で仕方ないので、ごろごろ度は加速していく。
「ぐああああああああああ」
MAXごろごろまで辿り着いた時、青年はごろごろを止めた。頭がぐらんぐらんするからだ。
「……便利屋とかなってみたけど、依頼とか無いしなぁ。自分から売り込むしかないしなぁ。てゆーか今まで何回仕事したっけ?」
体を起こすと、勝手に呟き、指で仕事した数を数える。
「……六回とか……。よく生きてけてるよな……。お金ぇ……。なんかお腹空いたなぁ。なんかたーべよっ」
そう言うとキッチンに向かい、錠剤を飲む青年。いや、正しくはこれが食事なのだ。固形型簡易宇宙食というもので、一粒食べるだけで満腹になる優れものだ。
お値段が弾むのかと思いきや、普通に百均で売っている。
「ゲフ。さ、どっかいこっかなー」
TMの中にある玄関から靴を履いて、TMから出る。そして、外にあるボタンを押すと、TMが腕時計型になる。
「いこいこ」
目的地を、一番近くの人がいる星に設定しワープする。
「〜♪」
少し鼻歌混じりに、目を閉じる青年。しかし、
ガギイイイイイ
「へ!?」
突然鼓膜にノイズが聞こえてきたので、思わず目を開ける。周りはワープする時に一瞬しか通らないはずの通り道。白黒の世界だ。
ふと気付くと、腕時計型のTMが危険信号を発していた。
「時空乱流発生……!? ヤバいじゃん!!」
とにかくうろたえる青年。こんな事態は無に等しいからだ。どうしようもないと思っていると、ノイズ混じりの世界は崩れていく。すると、腕時計型のTMにある文字が3D画像で浮かび上がる。
「緊急脱出しますか……? Y/N……。命を捨てるなんて出来ないよ……! 皆のためにも!!」
心が決まった青年は「Y!!」と叫ぶ。
―――――バシュウ
TMは青年の左手首から外れ、薄いシートのようなものが、防護膜のように、青年を包み込んだ。頼りないかと思いきや、それは金属のように硬く、もしくは金属よりも硬くなり、時空の中を駆け抜けて行った……。
―――――シュウウウウ……
「た、助かったぁ……」
TMの緊急脱出でどうやら無事新たな星に着いた様で、安堵の声を漏らす青年。
そこは明らかに、開拓中の星と言える場所であった。
「うーん、娯楽エリアかぁ……。大人の夜遊びエリアか……。ってか今、夜なのか!?」
青年は少し驚くが、大体生命のある星など、恒星の近くにあって当然だ。でなければなんだというのだ。惑星単体でいる件など無いだろう。
だから、先程までいた星が昼でも、今着いた星が夜、ってことはよくある。
いわゆる時差ボケという奴だ。といっても時差の度を超えているが。
そして、青年がいるのは娯楽エリア、青年曰く大人の夜遊びエリアだ。つまりは、居酒屋で酒一気飲みしてたりカラオケってたりする所だ。
労働エリア、なんてのもあるが省略。
「でもこれ、もう使いものにならないよなぁ」
そう言って青年が見つめるのは、燃えながら自然と蒸発していく元TMの残骸だった。
「まぁありがと」
青年はTMにお礼を言い、その場を立ち去る。
「あー、ベッドとかどうしよ……。パソコンとか……」
やっぱり後悔してしまうもので、今は亡き、TM内にあった物達の名前を口にする。
「くっそぉ……。あ、丁度居酒屋がある。テレビでさっきの事やってるか見てこよ」
青年が歩いていると娯楽エリアの象徴ともいえる居酒屋に辿り着き、その中に入っていく。
―――――しかし、まだ青年は知るよしも無かった。
この居酒屋に偶然いたおじさんと出会い、宇宙の運命を変えることなんて……。
そう、まったく知らずに、テレビを見ていたのだ。
その内、おじさんに話しかけるのだが、それは次話で。
次話からの表現がおかしいのは気にせずに。それでは、本編で!