表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

ヤンデレの概説

 人は愛されたいと思う。

 家族に愛されたいと思うし、友人に愛されたいと思うし、異性に愛されたいと思う。これは時代や民族を問わぬ人類普遍の法則である。

 人は誰しも承認欲求を抱いている。

 おそらく「ヤンデレ」ほど前述の欲求をこれほど満たすことのできる属性はないと思う。一途な愛情と狂気にも似た信奉。ひたすら愛し続け、信じ続け、尽くし続ける。世界が対象と自分のみで完結している。他のものは一切不要で、大切なのは対象のみである。その狂気性と純粋さ。

 傍流として、監禁や過剰な束縛といった行動をするものもいる。本来なら犯罪行為であったり気持ち悪がられるそれらの行為も、愛情ゆえと目されれば許容され、むしろひしひしと愛の重さを感じることができて心地よい、といった心情を狙っているものも多い。

 逆説的に言えば、犯罪行為や人として終わっている行為をも辞さない覚悟こそが、奈落のような深い愛情の証左となるのかもしれない。


 ヤンデレの語源はおそらく、「病み」と「デレ」だろう。好意が強すぎるあまり病み、好意が強すぎるゆえにデレになる。その二つの概念を貫流するものは無条件の愛である。両者とも愛が強すぎるから精神的に病み、愛が深すぎるからデレデレとしてしまう。

 絶対の愛と本当の愛。

 自分に対して失望も幻滅もしない、飽きもしないし裏切りもしない。対価や代償を求めない。健気に尽くしてくれ、不完全な自分を受け入れてくれる。そして、サブカルチャーに登場するヤンデレは容姿端麗な場合が多い。そうした都合のいい異性。

 そして厳密な意味でメンヘラではないということ。筆者が思うに、ヤンデレは精神疾患や躁鬱病といった類ではないように思う。というのもヤンデレは対象のことに関しては過剰に反応するが、それ以外の事象に対しては常識的に振舞う場合が多いからだ。対象限定で頭のタガが外れる。

 もちろん例外もあるだろうが、筆者の想像するヤンデレは、一見して普通のかわいい(カッコいい)人のように見えてその実、たぎるような暗い炎を内に秘めているイメージがある。

 切り替えなのだろう。

 ヤンデレは対象や、対象と接触している人間に対してのみ過敏に反応するのだ。これは人間不信や不安、依存、恐怖の延長線上にある、人間にとって普遍的な感情であると思う。それが過度に肥大化したのがヤンデレなのである。

 もちろん過去のトラウマや悲劇に端を発するものもある。しかしながら語弊を恐れずに言えば、メンヘラはどこまでも自己中心的なもののように思う。その点、ヤンデレは突出して献身的で利他的。また割と常識的な性向を持つものも多い。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ