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新たな一歩
気がつくと、私は元の部屋にいた
広げたままの絵本の中で、いつものように女の子が笑っていた
時計の針は9時をさしていた
その時、ドアをノックして母が入ってきた
「おなか空いたでしょ 夕飯作ってあるから、一緒に食べよう」
なんだか気まずくて言葉が出てこなかった
だけど、母と2人だけで過ごすのは久しぶりで、私はなんだかうれしかった
食べ終えた母が、ケーキを出してきてくれた
「さっき、食べ損ねたでしょ お誕生日のやり直し」
そう言って、母はにっこり笑った
あれから、今日で15年になる
あの日、体験したのと同じように、母は5年前に他界した
あれは夢だったのかと思うことが今でもある
だけど、あのできごとがそれまでの私を変え、今の私へと導いてくれたんだと、私は思っている
あのできごとのおかげで、自分らしくあるために自分はどこにいるべきか、何をすべきかを意識するようになった
今日は、私の誕生日
今日から始まる新たな年の、最初の一歩を踏み出そう
自分らしくあるために
END