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時は過ぎて
「ちょっと待ってよ 理由ぐらいちゃんとせつめいして」
そういった時には、電話はすでに切れていた
絵本の中から出たあの日から、今日で15年になる
弟が生まれたばかりの頃に、私、正確には入れ替わる前の私の両親は離婚していて、母がひとりで私たちを育ててくれた
その母は、5年前に他界した
電話の相手は、たった今元彼担った人だ
私は彼と祝いたいだろうと、弟は、気を利かせて出かけてしまっている
今日は誕生日だっていうのに、一緒に祝ってくれる人はいなくなった
この後どうしようかと考えていた時、玄関のチャイムが鳴った
訪ねてきたのは、お隣のミカちゃんだ
「おねえちゃん、今日お誕生日でしょ お祝いにきたの」
「ありがとう さあ上がって」
「これ、プレゼント」
ミカちゃんは、後ろに回していた手を前に出した
その手には、一輪の花が握られていた
「ありがとう」
ミカちゃんの気持ちがうれしくて、思わず笑顔になる