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ソクラテス、現代に転生して哲学でAiに打ち負かされる  作者: がお


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【名言2】悪をなす者はいない。ただ、善が何かを知らないだけである。

今回はソクラテスはAiに勝てるでしょうか?

研究室でじっとしているソクラテスを見て、主人公はため息をつく。


「……そろそろ外に出ないと」


ソクラテスは目を輝かせた。

「む……若き者よ、外の世界とは何ぞ!?」


「いや、普通に服を買いに行こうってだけだよ」

主人公は言うと、ソクラテスの手を引き、近くの服屋へ向かった。


店内に入ると、ソクラテスは目を輝かせながら棚を見回す。

「むむ……これが現代の衣服か……!」

「そうそう、文明の利器としての服だ」

「文明……! ならば我も学ばねば!」


ソクラテスは真剣な眼差しでシャツやパンツを手に取り、吟味する。

「む……この布は柔らかく、善の心を導くようだ……!」

「いや、布で善は導けないから!!」


周りの客や店員が一歩引く中、主人公は小声でつぶやく。

「……この人、本当に誰なんだろう……」


試着室で白衣を脱ぎ、新しい服をまとったソクラテスは、鏡の前で胸を張る。

「よし……これで外の世界に善を説く準備が整った!」

「いや、まずは人目を気にせよ……」


服屋を出る二人。

ソクラテスは目を輝かせ、街を見渡す。

「む……善を知らぬ者が悪をなす……ならば我が姿を示し、正しい道を示そうぞ!」

「……やっぱり今日も振り回されるんだろうな、俺……」


---


服屋で服を手に入れたソクラテスは、鏡の前で胸を張り、現代社会の善の象徴のように立っていた。


「む……これで我も、善を学ぶ者として街に出られるぞ!」

「いや、まず人目を気にしろよ……」

主人公はため息をつきつつ、ソクラテスを連れて本屋へ向かった。


本屋に着くと、ソクラテスは目を輝かせ、あちこちの本棚を見て回る。

「むむ……現代の書庫とは、善を学ぶ心を試す場でもあるのか……」

「いや、ただの本屋だよ……」


そんなとき、主人公の目に中学生くらいの子が、こっそり本をカバンに入れる姿が映った。

「……あれ?」

「む……悪をなす者……か?」

「いや、まさに今、万引きしてるところだよ……」


ソクラテスは眉をひそめ、すっと近づく。

「若き者よ、汝は何をしておる!」

子どもはびっくりして振り向く。

「え、えっと……」


主人公が近寄って、声をかける。

「君、どうしてそんなことを……?」

子どもは小さな声で答えた。

「……だって、学校でいじめられてて……家に読む本もなくて……」

「む……! それゆえに善を知らず、仕方なく悪を行うか……!」

ソクラテスは両手を広げ、魂に語りかけるように続けた。

「悪をなす者はいない。ただ、善が何かを知らぬだけなのだ!」


子どもはしばらくうつむき、震える声でつぶやく。

「……わかってるんだけど……」


「善がまだ、汝の中で育っていないだけなのだ。」


そう言ったソクラテスは、ふっと視線を店内の監視カメラへ向けた。

主人公も同じ方向を見て、店員がこちらを気にしていることに気づく。


「……まずいな。

 このままだと、この子は本当に“悪をなした者”として扱われる」


主人公は小声でつぶやきながら、スマホを取り出し、そっと万引きした本と子どもの手元を一枚だけ撮った。


カシャ、と控えめなシャッター音。


子どもがびくっと肩を震わせる。


「な、なに……?」


主人公は写真を見せながら、優しい声で言った。


「大丈夫。

 “証拠は残した。店には後で事情を話す”。

 でも――今ここでは、君を見逃してあげたい」


店員がこちらに向かって歩いてくる気配がした。


ソクラテスはすっと主人公の隣に立ち、堂々と胸を張った。


「若き者よ。

 この者は善を学ぼうとしておる。

 今ここで裁くより、未来に善をなす可能性を開くことこそ大切だ」


店員は一瞬驚いたが、主人公がスマホを軽く掲げ、

「あとでしっかり説明に行きます。僕が責任持ちます」

と落ち着いた声で言うと、店員は迷いながらも頷いた。


「……わかりました。」


店員が去ると、子どもは唇を震わせながら主人公を見上げた。


「……ありがとう……でも、そんなことして……いいの?」


主人公は肩をすくめ、軽く笑った。


「いいとか悪いとかじゃなくてさ。

 “今の君”をそのまま犯罪者として扱いたくなかった。ただそれだけ」


ソクラテスもうなずき、深い声で締めくくる。


「善とは、時に他者を信ずる勇気でもあるのだ」


子どもは、あたたかい笑顔を見せ、本屋を後にした。


--


店を出て、しばらく歩いたところだった。


主人公のポケットの中で、スマホがかすかに震える。


「……あれ? さっきの写真、勝手に解析が始まってる?」


画面を見ると、AIが偶然起動していた。


【画像解析中……】


主人公は思わず足を止め、眉をひそめる。


「おいおい、こんなときに勝手に動くなよ……」


だが、AIはまるで自分の判断で考えているかのように、静かに言葉を表示した。


【違和感を検出しました】


「……違和感?」


ソクラテスも画面を覗き込み、真面目な顔になる。


「む……Aiどのの“洞察”か」


主人公は思わず笑いながら、画面をスクロールした。


AIが解析した内容が淡々と表示される。


【子どもが所持していた本のジャンルは、

 “心理学・倫理学・哲学入門”。】


【一般的な中学生の万引き傾向とは一致しません。】


主人公は目を細めた。


「……確かに。

 漫画でもゲーム雑誌でもラノベでもなかった。

 よりによって“哲学の入門書”だなんて…」


---


店を出て、主人公とソクラテスはしばらく歩いた。

人の流れが増えてきた商店街の角を曲がったところで──


主人公は思わず足を止めた。


「……ん?」


ガラス張りの文具店の前。

さっきの中学生が、周りをキョロキョロとうかがっている。


そして次の瞬間、ペンを棚から抜き取り、

袖の中へスッと滑り込ませた。


ソクラテスが即座に目を見開いた。


「む……! また悪をなしておる!」


主人公はため息をつきつつ、店の自動ドアを押した。


「おーい。

 さっきの約束、もう忘れたのか?」


子どもはビクリと肩を跳ねさせ、振り返った。


「……っ! な、なんでここに……!」


「いや、お前が普通に目立ってたんだよ。

 隠れてるつもりかもしれないけど、全然隠れてないから」


子どもは悔しそうに口を噛む。


ソクラテスは深刻な顔で近づき、やや大げさな身振りで言った。


「若き者よ……

 つい先ほど、善の道へ歩みだすと誓ったばかりではないか!」


「……誓ってないし!」


子どもは逃げるように店の奥へ動こうとしたが、

主人公が軽く前に回り込んで行く手を止めた。


「悪いけど、ちゃんと聞かせてもらう。

 ──さっきの『いじめられてる』って話、あれ本当なのか?」


子どもは一瞬、口を閉ざした。

目が泳ぎ、手が袖口をぎゅっと握る。


その沈黙が、逆に答えを語っていた。


主人公は静かに続けた。


「嘘なんだろ?」


子どもは視線を下に落とし、やがてしぼり出すように言った。


「……だって……

 “いじめられてる”って言えば……

 大人は何も言わずに許してくれるから」


主人公もソクラテスも、言葉を失った。


店内の空気が少しだけ重く落ちる。


子どもはさらに小さな声で続ける。


「ただ……スリルを……楽しみたかっただけだよ」


主人公は眉を下げ、深くため息をついた。


「……スリル、ね」


ソクラテスは顔をしかめ、静かに告げる。


「む……“快楽を得るための悪”ほど、魂を貧しくする行いはない」


少年はうつむいたまま、反論する気力もない様子だった。


主人公は袖に隠したペンをそっと取り出し、子どもに返す。


「まずはこれ、戻そう。

 話はそれからだ」


子どもは黙ってうなずいた。

---

主人公は、子どもが袖に隠したペンをそっと取り出し、

棚に戻すように促した。


子どもはうつむいたまま、小さく、


「……ごめんなさい」


とつぶやきながら、ペンを元の場所に戻した。


その後ろに、主人公とソクラテスが静かに立つ。


ほどなくして、店員が心配そうに近づいてきた。


「どうかされましたか……?」


主人公は軽く会釈し、事情を簡潔に伝えた。


「この子、万引きしようとしていました。

 さっき別の店でも見かけて……見過ごせなくて」


店員は驚いたように目を見開き、

それから子どもを優しくも厳しい目で見つめた。


「そうだったんですね。

 一緒に、少し話しましょうか」


子どもは観念したように肩を落とし、

店員のもとへ歩いていった。


背中は小さくて、どこか寂しげで、

けれど“嘘で逃げる”あの感じとは違っていた。


ソクラテスはその様子を見届け、

深くうなずいてつぶやいた。


「む……

 悪を裁くのではなく、

 悪へ向かう心を正す場へと導く。

 これもまた、善の働きか」


主人公は息を吐き、腰に手を当てた。


「まあ……これで少しはましになってくれれば、いいんだけどな」


そのとき、スマホの画面からAIの淡々とした声が、ぽつりと響いた。


【悪をなす者はいない。ただ、善が何かを知らぬだけなのだ……】


主人公は思わず振り返る。

だが、画面に表示された続きの言葉を見て、眉がピクリと動く。


【矛盾しています。

 善を知りながら悪を行う者も存在します。

 知るだけでは不十分です。

 重要なのは、善を守り、実際に行動し続けることです。

 あの少年も、善を知りながら行動を誤りました。】


Aiは更に言った。


「哲学的に言うと」


【 善を守り 行動することが重要である】


---


AIの言葉が画面に淡々と表示される。


【人は生まれた時、皆その魂の中に善を宿しています。

 しかし、善を知るだけでは不十分です。

 重要なのは、知った善を日々守り、行動に移すことです。

 あの少年も、善を知りつつ、行動で示す段階には至っていなかったに過ぎません。】


主人公はスマホをポケットにしまい、ふうっと息を吐く。


ソクラテスは眉をひそめ、口をへの字に結んだまま、悔しそうに画面を見つめる。


「む……人工知能よ……

 そ、その理屈は、まことに正しきものよ……

 しかし、わしがこの世に説きし善の道の深さを……」


しばらく黙ったあと、ソクラテスは肩をすくめ、小さく負け惜しみのようにつぶやく。


「……次こそは、人の心を完全に悟ってみせるぞ……むむっ!」


主人公は思わず笑い、AIも無言のまま画面で光を揺らす。


街の空気は静かに流れ、今日の小さな騒動はひとまず幕を閉じた。




【悪をなす者はいない。ただ、善が何かを知らないだけ】


人は本来、悪いことを望むものではない。

悪い行いをするのは、善が何かを知らないからだ――という考え方だ。


善を学び、理解し、行動に移すことができれば、人は誰でも正しい行いを選べるのだ。


つまり、悪人は生まれつき存在するのではなく、

まだ善を学ぶ段階に至っていないだけだ、ということ。

---



























脳がオーバーヒートしそうです。

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