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転生したポンコツ女社長が、砂漠の国を再建する話  作者: 楊楊
最終章

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62/71

62 決着

 ローダス教国の総攻撃が始まった。

 今までにない規模だが、素人の私が見ても統率が取れていないことが分かる。隊列もバラバラだ。


 魔王様が指示をする。


「バルバラ、エレンナ、とにかく指揮官を狙え。そうすれば、自然と瓦解するだろう」


 ただでさえ少ない指揮官の数を減らすようだ。


 その作戦は功を奏し、相手は大混乱に陥った。

 多くの者が武器を捨てて逃げ出し始めた。それを必死で止めようとする指揮官クラスがいたが、エレンナの弓やバルバラの魔法で討ち取られていく。

 そんな中、アイーシャがクレオラに報告に来た。


「これより、敵の大将の首を取って参ります」

「分かりました。ご武運を」


 作戦通り、アイーシャが率いる騎兵部隊が敵の本陣に突撃するようだ。

 それに合わせて、ハジャスの部隊とカメックの部隊が出撃する。こちらに敵を引きつけるためだ。この作戦も上手くいった。ハジャスの部隊とカメックの部隊に敵部隊が殺到したが、全く突破できないでいた。それから、しばらくして、狼煙が上がった。


 アイーシャが敵の最高責任者を拘束したのだ。

 拡声の魔道具で、敵部隊に降伏勧告を行う。ここで活躍したのは、マドラームたち竜人族だった。ドラゴンの姿で飛び回り、降伏を促す。巨大なドラゴンに囲まれたら降伏するしかないからね。最初からマドラームたちを出さなかったのは、自分たちの力で戦争を勝ちぬくことが大事だからだ。



 ★★★


 多くの兵士が捕虜となり、半数以上が撤退していった。

 撤退したローダス教国軍を更なる悲劇が襲う。騎馬王国の各部族だった。この国は伝統的に強い者に弱く、弱い者には滅法強い。弱り切って敗走しているローダス教国の部隊に盗賊を装って、襲撃を繰り返した。情報によると多くの貴族が人質に取られたようだ。


 バルバラが言う。


「騎馬王国は節操がないのう。ただ、弱者を見極める眼力だけは高いがのう」


 騎馬王国が度々ヴィーステ王国を襲撃していたのも、弱いと舐めていたからだ。それがローダス教国を襲うなんてね。それに騎馬王国からは、使者も来て友好条約を締結したいと言ってきている。本当に節操がない国だ。


「まあ、味方をしてくれているうちは、こちらも利用するのがよかろう。ただ、隙を見せてはならんがな」


 そんなこともあり、ローダス教国は大きく力を落し、権威もガタ落ちだ。そうなると様子見を決め込んでいた各国も動き出す。まずは小国家群連合がローダス教国に宣戦布告した。もうローダス教国が巻き返す可能性がないと見たのだろう。

 ハジャスが言う。


「小国家群連合は、わざわざローダス教国に攻め入ることはせん。ただ講和会議に戦勝国として出席し、おこぼれを貰おうとしているだけだ。事前に根回しをしておけば、自分たちの利益に反しないかぎりは、こちらの意見には賛成するだろう」


 バルバラが応じる。


「コイツらも節操がない奴らじゃな」

「そのとおりだ。だが、大国も似たようなものだろ?」


 ハジャスの言うとおり、スタリオンもユーラスタ帝国も現金な奴らだ。帝国は陰で、ヴィーステ王国に多額の融資をしている。これはゼノビアが頑張ったお陰だ。留学時代の伝手を使って、何とか引っ張り出したようだ。なので、こちらはヴィーステ王国寄りだ。ただ、賠償金の一部は返済に当てなければならないけどね。

 一方のスタリオンだが、ローダス教国に密かに接触し、「講和会議で味方になってやる」と約束している。単純に帝国がヴィーステ王国の肩を持つから、プライドから逆張りしただけだ。まあ、賠償金を減額するくらいは応じようとは思っている。

 そして協商連合だが、こちらは講和会議には不参加だ。厄介ごとに巻き込まれたくないようだ。ある意味これが正解かもしれない。


 そんな混沌とした情勢の中で、今後の対応策を協議していたところにローダス教国の使者がやって来た。使者が言うには、ローダス教国すべてが今回の軍事作戦に賛成していたわけではないという。そして、軍事作戦を強行した派閥は粛清し、講和にも応じるみたいだ。


 ケトラが怒り出す。


「そんなの嘘に決まっているニャ。こんな奴ら信用できないニャ」


 バルバラが治める。


「ケトラよ。ローダス教国にも面子がある。嘘と分かっていても、それに乗ることも必要じゃ」


 その通りだ。

 ローダス教国も打算で動く。狂信者の集団でなくて、本当によかったと思う。


「講和会議の準備をしましょう。まずは場所を決めないとね」


 まず、ヴィーステ王国とローダス教国は除外だ。

 お互いにまだ戦争状態なので、トラブルが起きる可能性も高い。となると、他国になる。小国家群連合は、厄介事を引き受けたくない態度が見え見えだし、スタリオンは場所的に遠すぎる。なので、帝国での開催を打診した。

 こちらはファラーハに依頼した。ファラーハが帝国のプライドをくすぐる交渉を行ったところ、快諾されたという。


「こちらが下手に出たら、『大陸の盟主である我が帝国が協力するしかないな』と言っていたわよ。流石にローダス教国も帝国の顔を潰す度胸はないから、安全だと思うけどね」


 まあ、色々あったが、何とか講和会議が開かれることになった。

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