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転生したポンコツ女社長が、砂漠の国を再建する話  作者: 楊楊
第三章 和解

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24 復興

 復興は思ったよりも順調だった。

 アイーシャが私たちに「ゼノビアの被害者ポジション」を用意してくれていたからだ。最初から住民たちもゼノビアは許せないけど、あの人たちは頑張っているし、ゼノビアに厄介事を押し付けられた可哀想な人たちという認識だった。


 そして、物資を運ぶ度にお土産として、道中で狩ったサンドクラブやサンドサーペントを持って行くので、更に私たちの好感度も上がる。最近では、私たちがヤルダンに到着するだけで、大歓声が上がるからね。

 また、ケトルが買ってしまったダンジョンも内装のほうは完璧に近い仕上がりだ。


 でも問題もある。

 ダンジョンへの経路に厄介な魔物が住み着いてしまっている。ハリードの命を奪ったのも、この魔物たちだ。


「グレートウルフの群か・・・」


 エレンナが言う。


「奴らは神出鬼没だ。単体ではそう強くはないが、群れとなると厄介だ。それに強力な変異種に率いられているようで、それもザルツ部族が手を出せなかった理由だろう。軍隊並みの連携を取ってくるからな」

「その変異種を討伐すれば解決するのよね?」

「うむ、だが厄介だ。何度も討伐を試みたが、形勢が悪くなるとすぐに逃げてしまう。大規模な部隊を指揮すれば可能だろうがな」


 バルバラも続く。


「だったらわらわたちだけで討伐するより、ザルツ部族部隊として討伐すればどうじゃ?そうすれば、彼らも納得するし、それにハリードの仇でもあるしな」


 バルバラの意見はもっともだ。アイーシャだって、弟の仇は取りたいだろうしね。


「ちょっと、アイーシャに相談してみるよ」



 ★★★


 私はアイーシャに作戦を説明した。


「嬉しい話ではあるが、犠牲者が大勢出ることは許可しにくい」


 一緒に来てくれたエレンナが言う。


「では私に訓練をつけさせてくれ。それを見て判断してもらおう」

「訓練までしてくれるのか?では訓練はお願いしよう。話はそれからだな」


 その日からエレンナの地獄の訓練が始まる。

 エレンナ曰く、ザルツ部族の部隊は士気が高く、戦闘力も、そこそこあるそうだ。これは長年、騎馬王国と紛争を繰り返した歴史があることも大きな要因だ。それに種族も多彩で、キツネ獣人だけでなく、虎獣人もエルフまでいる。一番多いのはキツネ獣人だけどね。


 訓練開始から1ヶ月、エレンナが相談に来た。


「訓練の成果は上がっている。このままグレートウルフの討伐に向かっても、打ち倒せるだろう。だが、絶対に犠牲者が出ないとは言い切れない。というのも前衛戦力が不足しているからな」


 エレンナが言うには、ザルツ部族の部隊は、キツネ獣人のような比較的小柄な獣人が大半を占めていて、それ以外はエルフの弓兵、前衛として活用できる虎獣人と熊獣人が数人いるのみだという。今回の作戦は、丘を包囲して、山狩りのように麓から頂上に向けて進軍するのだが、かなりの力技であり、強力な前衛戦力が必要だという。


「キツネ獣人を前衛にコンバートしてもいいのだが、慣れない前衛では力を発揮できんだろうし、危険を伴う」


 どうしたものだろうか?


「だったら前衛戦力だけ、他から連れてくればよかろう?」

「それはいい案だけど、当てはあるの?」

「魔王軍には血の気の多い奴は、わんさかおるからのう」



 ということで、またまた私は魔王国にやって来た。簡易の転移スポットがあるので、移動は楽だ。

 魔王様と謁見をする。


「なるほど・・・前衛戦力がほしいのだな?それでどういった運用をするのだ?」

「えっと・・・エレンナ、説明をお願い」


「まず作戦ですが・・・」


 エレンナが説明を始める。私が説明するよりも軍事の専門家が説明したほうが、魔王様に伝わるし、魔王様の質問にも答えられるからね。二人きりの時間が、減るのは少し寂しいけど、それを言っている場合ではないしね。


「エレンナ、この作戦で必要なのは防御力だな?機動力がなくても構わんか?」

「構いません。機動力は他の部隊員でカバーできます」

「だったら、タートル族の部隊を派遣しよう。守備力は随一だが、機動力がないので、こちらも運用が難しいのだ。彼らにも活躍の機会を与えてやってほしい」


 魔王様に紹介されたのは100名のタートル族だった。

 その名のとおり、人型の亀だ。皆、大きな甲羅を背負っている。そして部隊の標準装備として、皆頑丈な大楯を装備していた。

 部隊長のカメックが挨拶をする。


「隊長のカメックなんだな。俺たちは見てのとおり、動きが遅いんだな。防御力は誰にも負けないんだけどな」


 エレンナが言う。


「それで構わん。貴殿らに求めるのは楯としての役割だ。機動力は求めておらん。問題は他部隊との連携だ。それは大丈夫か?」

「もちろんなんだな。ゆっくりでいいなら、集団行動は得意なんだな」



 それから魔王国から帰還し、訓練を重ねる。

 他部隊との連携も取れてきたようで、エレンナも満足している。


「ここらで一度、アイーシャにお披露目と行きたいところだがな」


 ★★★


 3日後、恰好の相手が見付かった。

 部隊員のキツネ獣人が、エレンナに報告に来た。


「エレンナ隊長、グレートボアの群れを発見しました。数は約20、ヤルダンの西半日の地点です」

「よくやった。引き続き監視を続けろ」

「はい!!」


 エレンナが言う。


「グレートボアは、大型のイノシシ型の魔物だ。グレートウルフほど、素早くはないが突進力とパワーは、グレートウルフの比にならんくらいに強い。部隊の練度を見せるのには、丁度いい相手だ」

「ほ、本当に大丈夫なの?」

「心配ない。その作戦も用意している」


 私はアイーシャに状況を説明、アイーシャも同行してくれることになった。

 現場で、エレンナがアイーシャに説明する。


「ここでゆっくり見ていてくれたらいい」

「しかし、相手はグレートボアの群れだぞ。毎年死人が出ているんだぞ」

「大丈夫だ」

「ここまで世話になったが、流石に兵を無駄死にさせるわけにはいかん。撤退は早めに指示してくれ」


 アイーシャが心配するのも分かる。

 私もゲームの知識だが、グレートボアはかなり強かったと記憶している。本当に大丈夫だろうか?


 しばらくして、戦闘が始まった。

 結果から言うと、戦闘と呼べるものではなかったけどね・・・

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