5燃える予告龍「其ノ伍」
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万炎龍の討伐からしばらくたった。
怪我もみんな完治して、決戦場に使った野球場も元通りになった。資金は綾先輩いわく大人が払ってくれたらしいその大人は誰とは教えて貰えなかったらしい。
そしてしばらくフィルスも出ず平和に暮らしていた。
そして日常生活の次の壁コンサートがあと3日へと迫った。
「咲楽ちゃんだいぶ歌上手くなったね」
「本当?」
「うん、魂もこもってるし音程も取れてるし」
「確かに、音程で言ったら真琴より取れてるな」
「え〜」
(真琴は音程がダメでも魂がこもってるから聴いてる人は音程ズレてる事に気づかなかないよ」
やんわりフォローを入れた。
「みんな、前よりも上手くなってるし本番もこの調子でやれば大丈夫だ」
「咲楽ちゃんは初めてのコンサートだよね」
「うん、それはそう」
「緊張してる?」
「うん、実はしてる 」
「そうだよね、私も初めは緊張したから慣れれば大丈夫だよ」
私は真琴の耳元でささやいた。
「フィルス100体1人で倒す方がまだ緊張しないよ」
「それは普段からフィルス倒してるからでしょ?」
真琴も、小声で話した。
「2人とも何話してるんだ?」
聞かれたかな?
「なんでもない!女の子トークだよ」
「うん、女男子禁制の」
「何それ気になるな〜」
「じゃ練習再開するぞ」
私達は練習を再開した。
練習の途中澪先輩が練習を見てくれて、的確なアドバイスやコンサートに向けての心構えや澪先輩の初めてのコンサートの時の心境など色々話してくれた。
「よし、今日は終わりだなまた遅くなるとやつらが来るかもしれないからな帰るぞ」
「うん、おつかれ」
「おつかれ」
「おつかれ」
「カレー食べたい」
「え?」
唐突すぎて一瞬理解できなかった。
「カレー食べたくなった咲楽ちゃん帰りカレー買いに行こう?」
「いいけど、急だね」
「そう?」
「いや、今のは急だな」
流石に潤くんも急過ぎてツッコんだ。
「真琴付き合うよ行こ!私もお腹空いたし」
「うん、咲楽ちゃんの奢りね」
「分かったよ」
私達は解散して真琴とカレー買いに行ってから寮に戻った。
「ただいま」
「ああ、帰ったか」
「おかえり2人とも」
2人がロビーに居た。
「2人とも何か買ったの?」
「うん、カレー」
「カレー?」
「なんか真琴が急に食べたくなったらしい」
「あ〜」
三奈美何か察したらしい。
「咲楽ちゃん食べよ!」
「そうだね冷めちゃうと不味いしね」
私と真琴はカレーを食べながら話していた。
「そういえ咲楽ちゃんって料理できるの?」
「ほとんど出来ないかな?カレーぐらいしか作れない」
「カレー作れるならいい方だと思うよ、私は何も作れないからな」
「咲楽が料理出来ないのは意外だな、悠先輩ができるから妹の君も出来ると思ってたな」
「カレーの作り方もお兄さんに教わったんです、そしてその後兄は」
静寂が空気を食った。
カレーを食え。
「済まなかったな辛いこと思い出させてな」
「大丈夫です、絶対取り戻すんでお兄さんを」
「そして、他の料理教えて貰うんで」
「それより、綾先輩って咲楽ちゃんのお兄さんの手料理食べたことあるんですか?」
「ああ、凄く美味いぞ」
「いいな〜」
「真琴、お兄さん取り戻したらみんなでお兄さんの料理食べよ」
「そうだね、料理のためにも咲楽ちゃんのお兄さん取り戻そう」
「理由が不純じゃないか?」
「まぁ理由はともあれいいじゃないですか?」
「まぁそうだな」
そして楽しい談話をしながらカレーを食べそれぞれ部屋に帰った。
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あっという間にコンサートの日になって閉まった。
コンサートの場所は寮からバスで20分の所にある文化ホールで行うらしい。
現地集合なのでそれぞれ向かう。
そして私は準備を済ませ部屋を出た。
そしたらそこには真琴がいた、わざわざ部屋の前で待っててくれたんだありがとう。
「おはよう咲楽ちゃん」
「おはよう真琴」
「今日は全力で頑張ろうね」
「うん……」
「凄いね、顔色みただけで分かるよ緊張してるよね?」
「うん」
どうやら真琴曰く顔が真っ青だったらしい。
「大丈夫だよいつも通りやれば」
真琴は頭を撫でてくれた。
私は犬かでも、少しは楽になった。
「分かった頑張るよ初のコンサート」
「うん、その意気だ」
真琴と私は下へ行った。
「2人とも頑張リなさいよ」
「頑張ってね」
「全力でやってこい」
「応援してます」
休日なのにみんなが迎えてくれた。
「みんなありがとうね」
「本当にありがとうなんか緊張解けたかも」
「本当?」
「よし、頑張ろう」
私達はバスに乗り文化ホールへ向かった。
20分後バスから降りると他の学校の軽音部もいた。
そして、扉の近くに潤くんと和也くんがいた。
「お〜い真琴、咲楽」
和也くんが私たちに場所を知らせるため手を振っていた。
「あ、いた」
「2人とも時間通りだな」
「で澪先輩が抽選してきてくれたらしいぞ」
「もう順番決まってるかね 」
「恐らくな」
「1番最初と最後はやだな」
「それはみんなそうだろう」
「仮に、最初と最後になっても全力で頑張ろう」
「そうだな」
「よし、さっさと入ろうぜ」
私達は中に入った。
そして、ロビーには恐らく抽選が終わったであろう澪先輩がいた。
「おお、真琴、咲楽来たか」
「先輩順番の方は」
「お、早速聞くか?」
「それは聞きたいですよ、心の準備もあるし」
「そうか、じゃ発表するぞ」
凄く緊張が走った、一体何番なんだろう?
「君たちソウルブレイカーの順番は……」
緊張が高まる一体何番なんだろうか?
「一番最初だ」
え?
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「え?」
「聞こえなかったか?」
「1番だ」
場が凍った。
「またか」
「ああ」
「フラグ回収成功だね」
「そして、その次がモルファン、ブラックウィング、青椿、午前コーヒー、ミレミアム……って感じだ」
因みにブラックウィングは澪先輩のバンド、ミレミアムは3年生の別のバンド、青椿は2年生の別のバンド後は別の学校のバンドだろう。
「てか、うちの学校前に固まりすぎだろう」
「確かに」
「咲楽ちゃん最初だけど大丈夫?」
「うん、なんとか」
ここはみんなの士気のあがる言葉をかけよう。
「みんな」
私はいつもより声を張った。
「1番最初になったのは残念かもしれないけど、全力で楽しもう、そして私達の魂の声をみんなに届けよう」
少し恥ずかしいな。
「おお、そうだな咲楽!」
「意外だな君からそんなら言葉が出るなんて 」
「成長したね、咲楽ちゃん」
「そうだ、咲楽の言う通りだ!第1に魂の声を届ける、次に楽しむ事だみんな楽しんでこい」
「じゃあのポーズやるか」
「おうナイスアイディアだね潤!」
「うん士気があがるね」
「どうすればいいの」
「テキトーにポーズきめてればいいよ」
「俺たち」
「ソウルブレイカー!」 「ソウルブレイカー」
「ソウルブレイカー……」
それぞれ違うポーズを取っていた、私も適当にポーズ決めていた。
こんな場所で恥ずかしいよ。
「よし、決まったな」
「咲楽ちゃん来てから初めてこのポーズやったね」
「確かによく合わせられたね」
「何となくでやってみた」
「お、そろそろ行くか!」
私達は会場へ向かった。
私達は準備のため舞台に入った。
「音合わせのため軽く引いてみてください」
「よし」
和也と真琴はギターを弾いて潤はドラムを叩いた。
音合わせとかしたことないけど何となくで弾いた。
「OKです」
「咲楽ちゃんここから見ると客席が見えるね」
「うん」
「こんな沢山の人に聞いてもらうんだよ」
「うん、がんばろ 」
「うん」
「よし、あとは演奏を聞いて貰うだけだな」
「だな、よし時間まで控え室にいるか」
みんなは控え室に向かった。
ここでこんな沢山の人が見てると思うとやっぱり緊張は無くならないな今までは数人に聴いて貰うことはあってもこんな大勢はないからね。
「咲楽ちゃん行くよ」
「うん」
控え室には澪先輩や同じ学校の人、他のバンドもいた。
「たくさんいるね」
「ここはみんな共通の控え室だからね」
「ここでメイクする人や演奏前に何か食べる人や演奏前にみんなで士気を上げたり、作戦会議する人など様々きるな」
「私達はいつもここで自由にしてるね」
に本当は自由にしないで何か作戦会議的なことした方がいいと思うがな」
「まぁいいんじゃん今から新しいこと言っても遅いし練習通りやればそれでいいんじゃない?」
「真琴いいこと言うな」
「本当?」
「やっぱなし、なんか調子に乗ってるし」
「なんでよ〜」
雑談をしていたらアナンウンスが聞こえた。
「これより、緑コンサートを始めます」
とうとう始まるのか。
控え室に1人のスタッフが入ってきた。
「ソウルブレイカーさん準備の方お願します」
私達は1番だけあってすぐ呼ばれた。
「行くか!」
「おう」
「頑張るぞ」
みんな気合い十分だね。
「みんな頑張れよ、思いっきりやってこい!そして観客にソウルを聞かせてこい」
「はい、聞かせて来ます私のソウルを」
「その意気だ」
私達は舞台に向かった。
「それでは最初はソウルブレイカーです」
私達は舞台に上がった。
舞台から見る光景は驚愕した。
観客の熱気と沢山の観客の視線が1点に向いている。
フィルス倒すのとはまた違う怖さがあった。
思わず1歩引いてしまった。
それを察したのか真琴は一瞬こちらに笑顔を見せた。
そうだ、ここでやらなきゃ練習が無駄になる。
私は気合いを再び入れた。
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「どうもソウルブレイカーです」
潤くんが啖呵をきった。
「私達は新たにベースの子を入れて曲も作り直しました」
演奏の前に何か話さなきゃ行けないの聞いてないんだけど。
「改めて紹介します、咲楽ちゃんです」
え?何すればいいのかな?
そうか、ここでベースを弾いて自己紹介すればいいのかな?
よし。
私達はアドリブでベースを弾いた。
「どうも、新らしく入ったベースの咲楽です精一杯頑張りますので最後まで聞いてください」
観客の反応はまぁまぁだった。
「それでは最初の曲です」
「1.2.3」
ここで1曲目を弾いた。みんな凄いやこんな大勢の前でいつも通り演奏出来てる。
そして、真琴の歌い出しがきた。
真琴もいつも通り歌い出せてて問題なくやれてる。
演奏しながら観客席を見てみると楽しんでる人も入ればそうじゃない人が半々だった。
大丈夫だろうか、逆に緊張してきた。
そして問題なく1曲目が終わった。
「みんな〜楽しんでる〜」
真琴は最後に問いかけたが答えてくれてる人は会場の半分くらいしかいないこのままだとやばい、みんなの士気も下がりかけてる。
次で取り戻さないと。
「次の曲はなんと私と」
真琴は私の手を引いた。
「この咲楽ちゃんが歌います」
「それじゃ行くよ!」
今日一の声だ真琴は叫んだ。
演奏が始まった。演奏は2曲目も問題なさそうと思ってたがそれは間違えだった。
真琴の手と唇が震えていた。
この調子じゃ歌い出しうまく歌えない。
等々歌い出しの所が来た。
ヤバいこのままだと。
そう思った私は真琴が歌う直接に真琴からマイクを奪った。
そして、私が歌った。
「咲楽ちゃん?!」
「咲楽!」
「咲楽!」
「ほぉやるな咲楽」
そして私はAメロ終わりまで歌い真琴にマイクを返した。
真琴はいつも通り歌えていた。そして私が本当に歌う所がきたここで決める。
問題なく歌えてる客席は冷めてるだろうなベースがメインの歌をボーカルから取っちゃったんだもんなそう思っていたが予想と違う反応をしてきた。
「あのベース歌上手いし歌声もかっこいいな」
「凄い!あのベースの子歌うとより声が低くなるのもかっこいい」
「ボーカルのピンチを悟って自分が歌ってる所最高だろ」
観客はみんな感動していた。
さっきまで半数しか盛り上がってなかったのがみんなが盛り上り楽しんでくれてる。
そして演奏が終わった。
「みんなありがとう〜) 」
「良かったぞ〜」
「咲楽!」
「咲楽!」
「咲楽!咲楽!咲楽!」
みんな私の名前でコールしてくれた。
感動で泣きそうになった。
「咲楽ちゃん何か言ってきた」
真琴は私をステージの真ん中に立たせた。
よしここは熱を冷まさないようなセリフを言おう!
「みんな、楽しでくれた〜?」
「いぇーい) 」
客席みんながレスポンスしてくれた。
「今日はありがとう!」
よし、最後は。
「真琴、潤くん、和也くん最後はあれで決めるよ!俺たち」
あのポーズで決めるか。
「ソウルブレイカー」「ソウルブレイカー」
(ソウルブレイカー」
なんとみんなが私と同じポーズを取ってくれた。
そして私達は会場を去った。
「ソウルブレイカーの皆さんありがとうございます」
そして、舞台袖に避けた。
舞台袖には次の準備をしてる、澪先輩が居た。
「みんな凄く良かったぞ!ソウルが客席にちゃんと届いてたぞ」
「そして」
澪先輩は私の肩に手を置いた。
「咲楽本当に最高だった」
「ありがとうございます」
「じゃ私達も君達に負けないぐらいのソウルを響かせてくるよ」
澪先輩たちは演奏しに向かった。
「本当に最高だったよ、そしてありがとう」
「最高だぞ!真琴のピンチを悟って前半歌ったのナイス判断だ」
和也はグッドマークを私に突きつけた。
「それだけじゃなく、自分のパートも完璧でコールアンドレスポンスも完璧」
「みんなが色々教えてくれたおかげだよ」
「みんなありが……」
私はここで気を失ってしまった。やっぱり慣れないことはしないのが1番だな体に悪いね。
「咲楽ちゃん」
「咲楽しっかり」
「咲楽!」
消えゆく意識の中みんなの声が聞こえた。
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私は目が覚めると知らない天井知らないベッドの上にいた。
「ここは」
「咲楽ちゃん!」
横には真琴がいた。
「目が覚めたんだね」
「私はどうなったの?」
真琴(あの後舞台袖で倒れて医務室に運ばれたんだよ)
どうやらあの後真琴達は私を医務室に運んでくれたらしい。
「それより、コンサートは終わったの?」
「うんみんな終わって後は結果を待つだけ」
「うん……」
「その改めてお礼を言わせて、あの時助けてくれてありがとうあの時会場みて分かったと思うけど会場の半数が冷めててさこんな事いままで無くてそれで体が震えちゃってさ」
やっぱりそうだったんだ。
「それに気づいて私の代わりに歌ってくれたの助かった、本当にありがとう」
真琴は頭を下げた。
「うん、大丈夫だよだって友達だし助けるよ」
「咲楽ちゃん」
突然医務室のドアが空いた。
「咲楽大丈夫か?」
そこには潤くんと和也くんと澪先輩がいた。
「うん何とか大丈夫!多分緊張が解けて安心したら気を失っちゃっただけだから体には問題ないと思う」
「じゃ良かった」
「それより、君達のバンドが一番の盛り上げを見せたよ」
どうやら、私達のバンドの後、私達を超える盛り上げは起こらなかったらしい。
「これより結果発表を始めます、バンドの皆さんは舞台袖に準備をお願します」
「咲楽ちゃん立てる?」
「うん大丈夫」
「よし、向かうか」
私達は舞台袖に向かった。
「それでは結果発表を始めます、第3位午後コーヒー」
午後コーヒーのみんながステージに向かった。
「第2位ブラックウィング」
澪先輩たちはステージへ堂々と向かった。
「そして栄えある1位は……」
緊張の一瞬だ。たとえベスト3に入れなくても良い。
だって精一杯やったと思う自分とベスト3に入りたいと思う自分がいた。
でも、やっぱり1位になりたい。
「ソウルブレイカー」
私達が1位?嬉しすぎて言葉が出なかった。
「咲楽ちゃん行くよ」
「みんな堂々と行くぞ」
「いや、ここは砕けて行こうぜ」
「そうだな」
私達は砕けてステージへ向かった。
そして、私達はメダルを獲得した。
「最後にMV賞は……」
ここでもまた、緊張が走る。
「ソウルブレイカー 咲楽さん」
嘘!私がMVに。
予想もしない結果でびっくりのあまり体中が震えた。
そして他のバンドの人達は避けて私と司会者だけがステージに残った。
そして、またメダルを獲得した。
「それでは咲楽さん最後に一言」
え?一言なんて何も……
「咲楽!」
「咲楽!」
舞台袖から咲楽コールが聞こえる。
「咲楽!」
「咲楽!」
「咲楽!咲楽!咲楽!咲楽!」
観客も咲楽コールをしている。
最後くらいしっかり決めるか。
「みんな〜ありがとう!みんなのおかげでMV取れたよ!まさかベースで初心者の私がMV取れると思ってなかったから凄くびっくりしてるよ今日は楽しかったよ」
「俺達も楽しかったぞ」
「ありがとう!」
私は一礼して舞台袖には掃けた。
「咲楽ちゃんやったね」
真琴とハイタッチをした。
「本当、君をバンドに入れて良かったよ」
「でしょ?」
「本当にダイヤの原石だったな咲楽は」
「みんな褒めすぎ」
私は凄く照れた。
「あ、照れてる照れた咲楽ちゃんも可愛い」
「あんまり見ないでよ真琴」
こうしてコンサートもうまく出来て日時生活の方の壁もうまく乗り越えられた、いや壊しちゃったかも。