セーラの研究成果
騎士団の領地捜査を受けてから、マクヘイル伯爵家と騎士団は情報交換を続けている。
あれから早一ヶ月が過ぎたが、偽馬は一向に減らない。
こちらの手の内を知っているかのような犯人の行動に憤りを感じながら、ライアンはマシューから渡された書類に目を通した。
「今、療養中の馬が増えています。収容する施設を増やさないといけませんね」
マシューの言葉に、肩を落とす。
「ここもと、詐欺の手口がだんだん杜撰になっている。初めの頃よりも、偽馬の完成度も低いし、一回の被害金額も少なくなってきたが、被害者の人数が増えてきた」
最近の資料を見ていると、犯人がだんだんと大胆になっているように感じる。
何故、被害者が急激に増えたのだろうか?
騎士団の捜索は各方面から行われている。
普通なら犯人は警戒して、慎重になるはずなのにむしろ大胆になっている。
セーラのポーションのおかげで命を落とす馬はほとんどいなくなったが、かといってあまり回復もしない。
その理由は明白だ。
馬に何を投与して偽馬に仕立て上げているのか、まだ何もわかっていない。
国の上級魔導士や、上級薬師に協力を仰いだが、未だに何もわかっていない。
最近になって、何故詐欺件数が増えているのだろうか。
色々な事を考えてみたが、嫌な仮説が一つ生まれた。
偽馬の詐欺件数が急激に増えたのは、騎士団の領内捜査が終わってからだ。
その捜査が終わってから起きた事。
それはセーラの噂話が社交界に流れた事だ。
セーラの噂話は、その捜査の時に色々な物を見聞きした貴族籍のある騎士団員から流れたのか、もしくはダナジーンが自分の目で見た事を人に話したのかもしれない。
今、社交界で流れているセーラの二つの噂話。
一つ目は、セーラは5年前、殺人未遂で起訴されかけたが不起訴になった。
当時、上級魔法学校の博士課程だったが、本当はほぼ魔力がなかった事が、先日騎士団の前で明らかになった。
魔力が無いなら、ポーションなんて作れないから、殺人未遂は起こせないが、どこかからポーションを買って魔法学校を飛び級していたのは事実だった。
やはり退学になって当然だ、という噂話。
もう一つは、セーラは5年前の殺人未遂事件の犯人だったという噂だ。
その根拠となっているのは、5年前、不起訴になった事件に使われた毒薬のポーションは、世にも珍しい透明ポーションだった。
今回、マクヘイル伯爵領では、保護された偽馬に投与している透明なポーションが見つかった。
珍しい透明なポーションは、セーラのいる場所でしか発見されない。
誰も作り方を知らない透明ポーションがセーラのいる場所にだけあるのは、精製したのはセーラだから。
つまり、5年前の殺人未遂もセーラが犯人だった。
という噂話。
犯人はセーラが殺人未遂の真犯人だという噂話を聞いて、偽馬事件の犯人をセーラになすりつけようと決めているのではないのだろうか。
だから、最近は活発に行動しているのかもしれない。
どちらの噂も両極端だが、セーラが偽馬事件の犯人に仕立て上げられないようにしないといけない。
この二つの噂話は、5年前の事件を蒸し返している。
セーラが封印した過去であろう事件であろうに。
ただ、私自身は、5年前の事件の話を聞いて、セーラが殺人未遂を犯したとは思えなかった。
セーラとソリが合わない魔導士を、皆が見ている前で、自分の作ったポーションで殺そうと思うだろうか?
しかも研究発表会という場で、逃げも隠れもできない。
当時のセーラは不起訴になったが、ビフラ伯爵家から勘当され、貴族社会から消えたらしい。
きっとセーラは濡れ衣を着せられたんだ。
5年前のセーラがどんな人だったのかは知らない。しかし、今のセーラを見ていればわかる。
誠実で、誰にでも優しい。
今、私にできる事は、どんな噂話でも信じない事だと決意を固めてケンネスの方を向いた。
「詐欺師の集団は、被害者達と、手紙のやり取りをしていますが、どの被害者も手紙の送り先は同じでは無い。しかも、その住所に行ってみたら、公園だったり、そもそも存在しなかったりだ」
「その存在しない住所で、犯人はどうやって手紙を受け取っているのでしょうか?」
ケンネスの疑問に私達は考えを巡らせるが、糸口すら掴めない。
そんな話をしていると、セーラが珍しく執務室にやってきた。
ポーション作成室からやってきたのだろう、アンナ達と同じお仕着せを着ている。
「実は、ポーションの研究をしているのですが、試して欲しいものがあるんです」
セーラとは必要な時以外顔を合わさないと決めてから、初めてちゃんと顔を見た気がする。
その決意の後、騎士団の来訪があり、ダナジーン達が領主館に滞在している間は一緒に食事をとっていたが、今は、厩舎と執務室の往復で、食事も簡単なものを一人で食べている。
セーラも、ポーション作成室に篭りっきりで、そちらで食事もしていると聞いていたので、寝室での寝ているセーラではなく、起きている姿を見るのは久しぶりだ。
もしかしたら一ヶ月くらいになるのかもしれない。
王都で男性と抱き合っているのを偶然見てから、セーラの顔をまともには見れないでいるが、ここはちゃんと目を見て会話をしないと。
「新しいポーション?」
「いえ、ポーションではありません」
セーラは紙の束の入ったガラスの容器を机の上に置いた。
「この紙は?」
ただ、細長く切った真っ白い紙だ。
栞のような紙は一体なんなのだろうか?
「これは『成分分析紙』です。ポーションの材料を特別な製法を用いて紙にしました」
「つまりポーションか?」
「いえ。ちょっと違います。実は、『呪いの解明』の研究をしていたのですが、偶然に出来上がった産物がこちらです」
私の目を真っ直ぐ見て、真顔で答えた。
「成分分析?」
改めて問いかけた。
「ええ。偽馬達の詐欺事件の全貌がわからないのは、どこでどのような魔法をかけられて普通の馬が偽馬として偽装されたのか?がわかっていません」
「その通りだ。どんなに調べても何も見つかっていない」
「少しの痕跡でもいいから、それを辿ることができれば……と考えて、偽馬達に投与されたポーションがわかればと思ったのです」
「確かにどんなポーションが投与されたのかわかれば、少しは前進する可能性がある」
「馬達の毛から微量でも薬草や鉱物などが検出されれば、そこから何が投与されたのかがわかるのではと考えました。ただしポーションは、薬草の組み合わせが同じでも、製造工程など違えば、出来上がるポーションも違います。ですから、確実に何かがわかるわけでは無いかもしれませんが……」
その言葉を聞いて、私は真っ白い紙をじっと見た。
これでどこまでわかるのだろうか?
「わかった。馬の毛でいいのだな?」
「はい。ただ、毛の成分からは、ここに来て私が調合したポーションも検出されるでしょう。ですから、どうなるかはやってみないとわかりません」
「どうやってこれを?」
私の質問にセイラはフッと笑った。
「昔の私が何年もかけて集めた資料から、着想を得て作りました」
「昔の研究?」
「はい。私は以前、『魔力を含む植物と、そうでない植物との関係性と、魔力含有率とポーションの相関関係』を研究していました。身近にある植物を利用してポーションができるのなら、有事の時、ポーションが量産できると考えたからです」
「セーラは壮大な研究をしていたんだな」
「壮大かどうかはわかりませんが、過去の研究ノートを見返していて思いつきました。これで何かがわかるといいのですが……」
「わかった。少し待っててくれ」
そう伝え、急いで厩舎に向かう。
そして、厩務員に、馬の立髪を少しだけ切ってきてくれるように頼んだ。
もちろん、偽馬だけでなく、普通の馬のも必要だ。
その二つを別々の容器に入れて、自分の執務室へ戻る。
「今、馬の毛を少しだけ切ってきてもらった。普通の馬の毛と、偽馬の毛だ」
「ありがとうございます。では試してみますので、今準備をします」
セーラは、あのボロボロのウエストポーチであるアイテムボックスから、ポーションの釜を2つ出と、くるくると巻いてある絨毯と、小さな薬草棚を出した。
絨毯を敷き、その上に釜を置く。
次に、小さな薬草棚の中から、蜜蝋のような塊を出すと、それぞれの鍋に入れる。
それから、馬の毛を入れた。
右には、偽馬の毛を。
左には、普通の馬の毛を投入する。
そして、透明な液体を注ぐと、窯に火をつけた。
火は、青い炎を放ち、ゆらゆらと揺らめく。
クツクツと煮えたぎる音がしたと感じた時、薬品棚から砂時計を出したが、その砂時計に目を奪われる。
なんと、下から上に砂が移動していくのだ。
砂が落ちるのではなく、登っていく。
なんとも不思議な砂時計の砂が全部昇りきると、その青い火を消した。
それから、鍋の中に、先ほどの短冊のような紙を投入して、氷魔法で鍋を冷やし始めた。
鍋の表面は氷に包まれる。
鍋の中を凝視しているセーラをじっと見た。
一体、何がわかるのだろうか?
張り詰めた空気で何も聞けない。
「これで完成だと思います」
セーラは鍋から紙を出した。
投入した時は栞くらいの大きさだったのに、今は四つ折りにした新聞紙くらいの大きさになっている。
変化したのはそれだけではなく、真っ白だったのに、さまざまな色が付いている。
驚いたことに、二つの鍋から出てきた紙の色は、全く違っている。
「これは帯グラフになっています。偽馬と普通の馬の比較なので、2枚の紙の結果は違うものになりました。どうやら成功したみたいです。このたくさんの色が付いた方が偽馬のものですね」
見ると、片方の紙は真っ白に見えるが、端に少しだけ色が付いている。
その色の種類も少ない。
それに比べて、偽馬の成分を分析した紙は、白い部分が少なく、色が付いた面積と、半々くらいだ。
しかも、色の種類も多い。
「白い部分が多い紙をみてください。白い所は『馬』である事を表しています。この色が付いた箇所は、鑑定魔法を使えば成分がわかるでしょうが、多分、毛に付着していた花粉やホコリなどではないでしょうか?」
「何故、花粉やホコリだと思うんだ?」
「この紙の場合、ほぼ何の成分も検出されなかったのと同じだから、そうではないかと仮定しました」
「わかった。では鑑定してみよう」
そう伝えて、鑑定魔法を使ってみる。
結果は、セーラの言ったように、花粉と、ホコリだった。
「次は、何らかの薬を飲まされた馬の方の紙を見てください。沢山の成分が検出されています。馬の大きさや、毛の色を変えるほどの影響力です。食物のように分解されるはずありません」
「普通の馬を魔法馬に見えるようにするのだから、かなり強い何かしらを飲まされているのだろうと思っていたが、こんなにも……。これも鑑定してみよう」
鑑定魔法を使ってみると、沢山の薬草が検出された。気になったのは、毒草なども混ざっているし、鉱物なども検出された事だった。
しかし、一箇所だけわからない成分がある。
「この黒く色の付いた部分は鑑定出来ない」
「多分、ライアン様のスキルでは鑑定出来ない部分なのでしょう。未知の成分なのか、魔法が絡んでいるのか……」
セーラは言葉を選びながら答えてくれたが、この結果に驚きを隠せない。
「これでわかるのは成分だけです。例えば、同じ植物でも、葉っぱを使ったのか、果実を使ったのかによっても、出来上がるポーションは違いますが、成分分析では、植物名しかわかりませんから、曖昧な結果です」
申し訳なさそうにセーラはそう言ったが、私はこの結果にかなり驚いた。
こんなにも色々な事がわかるなんて、セーラはかなり優秀だ。
この結果のおかげで一つ大きな事がわかった。
「一つ気になったのだが、この偽馬に使われている『ダナンダノン草』、これはポーション作成で使う植物なのだろうか?」
「いえ。ダナンダノン山の頂上付近に生息する高山植物ですね。希少な植物ですし流通していないので、一般的ではないです」
その答えを聞いて、大きな疑惑が湧いてきた。
それを解消しないといけない。
「ありがとうセーラ。この結果を元に対策を考えるよ」
「わかりました。では失礼します」
セーラをドアの所まで見送ってから、もう一度椅子に座り直した。
どうすればこの疑問を解消できるのか、じっと考える。
かなり長い時間、検討してみたが、方法は一つしか無い。
セーラと共に夜会に行く事だ。
5年前の噂話が蒸し返されている今、セーラは人前に出たくは無いだろう。
しかし、夜会に出る事で、私の疑問も、セーラの噂話にもケリをつけられるだろう。
そして、この仮説が間違っていると結論が出ることを信じよう。
私は決意を固める。
これは契約にない事だが、どうしてもお願いしないといけない。
長い間、セーラとディナーを取ってはいないが、今日はディナーの席で話したいことがあると、マシューに伝言をしてもらった。
現れたセーラは、モスグリーンのイブニングドレスを纏っている。
昼はセーラの分析薬の件で頭がいっぱいだったが、こうやって改めてセーラを見ると、初めて会った時と、全く違う雰囲気になっていることに驚く。
こんなに色気がある女性だったのだろうか?
透けるように白い肌、引き締まった高い位置のウエストに、艶のある波打つ髪が妖艶さを醸し出している。
その触れてみたくなる唇に目を奪われるが、いや、そんなふうに意識してはいけない。
セーラには、秘密裏に会う男性がいるのだから、その人のためにどんどん美しくなっているのだろう。
自分の邪念を振り払い、笑顔を作る。
どうやって切り出していいのやら、考えあぐねて、他愛のない話をする。
二人で何気ない会話をするのも久しぶりだ。
セーラはちょっとしたとこで笑ったり、楽しそうに食事をする。
以前はこれが普通だったはずなのに、セーラと男性が抱き合っているのを見たくらいで何故避けていたのだろうか。
この時間が楽しすぎて、なかなか本題へと切り出せないでいると、とうとうデザートになってしまった。
ここで何としても言わなければいけない。
「セーラ、実はお願いがあるんだ」
「何でしょう?」
楽しそうに返事をする様子をじっと見た。
「私と一緒に夜会に行ってくれないだろうか?参加したくない気持ちはわかる。残念ながら、今、セーラの嘘の噂が社交界で、まるで真実のように流布されている」
この一言で、セーラの顔が突然曇った。
「今日のセーラの分析薬を使えば、犯人に近づけるかもしれないんだ。後で分析するのではなく、夜会の途中で分析して欲しいんだ」
「それは……。あの……。できれば参加したくないのです」
「行きたくないのは当然だ。できれば私が一人で参加するのがベストだろう。でも、これで偽馬の事件について大きく進みそうなんだ。それにはセーラの力が必要だ」
沢山の噂話が飛び交うところに行くのは勇気が必要だ。
しかし、今はすべての物事を解決するには避けて通れない道ではないかと思う。
どうにかして説得しないといけない。
「……わかりました。これで何かがわかるなら」
「ありがとう」
思わずセーラの右手を両手で包み込み、笑いかけると、恥ずかしそうに微笑んだ。
その笑顔を見て我にかえる。
衝動的に行動してしまったが、こうやって触れるのはあまりにも久しぶりすぎて、慌てて手を離す。
セーラには恋人がいるのであろうから、衝動的に触れるのは良くない。
「ごめん。思わず手を握ってしまって」
「いえ、気にしておりませんわ」
咳払いをしてからマシューの方を向いた。
「今、届いている夜会の招待状を全部持ってきてくれ」
契約結婚をしてから、あまり社交界に顔を出していなかったが、今回は情報収集に行かなければならない。
マシューは100通近い招待状を持ってきた。
「まだ整理前ですがこちらです」
差し出された招待状の入った書類ケースを受け取る。
もしかしたら、これで犯人を絞り込めるかもしれない。
そう思って一通ずつ確認していく。
主催者、趣旨、会場、そこから想像できる招待客の客層。
それを考えながら、どこの夜会に行くかを検討する。
「これにしよう」
沢山の招待状の中から一枚を選んだ。
主催は、王都に本店を構える世界的な高級魔法石専門店の『ホワイトスワン』で、会場は王都にあるホワイトスワン所有の魔法石博物館だ。
博物館という名前がついた建物だが、その内装は迎賓館に引けを取らないくらいに豪華で、ホワイトスワンで買い物をして、更に入場料を払わないと中に入れないのだ。
こういった夜会の場合、招待客に縛りは一切ない。
一定以上の資産家であれば貴族籍の有無は関係ない。
もちろん、貴族籍があっても、たいした資金力がなければ招待状は送られていないだろう。
だから、かなりの資産家しか参加しないパーティーとなる。
その招待状をセーラに見せる。
『貴方様は私の事をご存知でいらっしゃいますか?
ヒントを差し上げましょう。
陽の光を浴びても、闇夜に紛れても、誰にも気が付かれない自信のある者です。
さて、次の新月の夜、貴方様を私のオタノシミにご招待いたします。
闇夜に溶け込み、貴方様の本当の姿が見えないようにお越しください。
この世の物とは思えない、不思議な体験をお約束いたします。』
「夜会の招待状を初めて見る?」
私の質問にセーラは頷いた。
「この招待状の『闇夜に溶け込み、貴方様の本当の姿が見えないようにお越しください』という部分だが、『闇夜に溶け込む姿』は、ドレスコードを指しているんだ」
「もしかして……黒い服装ですか?」
「正解! じゃあ『貴方様の本当の姿が見えないようにお越しください』の部分は、何を指しているかわかる?」
「正体を隠さないといけないわけですよね?だから、仮面舞踏会ですか?」
「その通りだよ」
「では素顔は見せなくても大丈夫なんですね?」
安心した表情に変わったのを見て、少しホッとする。
夜会当日のプレッシャーは少しは減るだろう。
「ライアン様、急なお手紙です」
セーラとの話が盛り上がっている所に、ケンネスが私のところに真っ青な封筒を持ってきた。
待ち望んだ手紙だ。
開封して中を読んでから、セーラを見る。
「あと、近いうちに、重要な来客があるから、セーラも同席して欲しい。私が尊敬する人の一人だ。優しい人だから心配はない」
「……わかりました。では、おやすみなさいませ。お先に失礼しますわ」
セーラの顔は少し曇っていたが、それを隠すように優雅にお辞儀をするとダイニングを出て行った。
後ろ姿を見送り、先ほどの青い手紙を眺める。
『近いうちに』
としか書いていないのも、あの人らしい。
これで、大きく前進するだろう。
セーラには伝えていないが、偽馬の事件と並行して、セーラの5年前の事件を調べた。
何が真実かわからない噂はセーラをずっと苦しめ続けている。
だから、当時の事件が起こるまでのセーラの日常と、事件後の変化を調べた。
もちろん、事件当日の様子も併せて。
独自に調べた結果を元に、考察してみた。
まだ、確固たる証拠は見つけられてはいないが、少なくとも見落としがあった事だけは確かだ。
セーラの事件についても、夜会に行くことによって誤解を解ける可能性がある。
それに契約結婚解消後、セーラに薬師としての道をまた歩んでもらえるようにしたい。
全てを前に進ませるためにも、あの人の力が必要だ。