狂気のトンネル一軒家
気がつくと私は知らない場所にいた
麻衣『あれ?ここはどこ?』
辺りを見渡しても薄暗い森の中
遠くから虫の鳴き声や風がそよぐ音がする
前方に、うっすらと何かが見えた
麻衣『あ…トンネル』
夜のトンネルは怖くて躊躇したが、他に行くところが無いので私はトンネルに入ることにした
トンネルの中は肌寒い
夏服では少し堪える
壁を伝って歩く
10分ほど経った頃だろうか
奥にボロボロな服装の不気味な男がいた
不気味な男『ようこそ。僕と遊びましょう』
麻衣『え…?』
私は恐怖のあまりガタガタと震えてそれしか返事できなかった
不気味な男『遊びましょう!鬼ごっこします。捕まったら切り刻みますね。30秒数えます』
あなたが決めるのかと思いつつ、冷静になった
切り刻む?この男は危ない人だ!
不気味な男『いーち…にー…さーん』
先ほど来た道とは逆方向へ走る
途中で転びながらも、どうにかトンネルを出ると大きな一軒家があった
麻衣『助けて!!誰か居ませんか?不審者に追われてるんです!!』
インターホンが見当たらないので、叫びながらドアを叩くが返事がない
すると、ドアが鍵がかかっていないことに気づく
横開きのドアだ
命には変えられない
麻衣『ごめん!!入ります!!』
私は悪い気がしながらも侵入した
外では必死に走っていて気がつかなかったが、中はかなりオンボロだった
麻衣『ゲホッゲホッ』
ホコリまみれである
荒れ果てた足の踏み場のない床を踏みしめながら、私は近くの部屋の窓から外を覗いた
トンネル側にはさっきの男が強烈な顔をして真っ直ぐこちらに向かって走ってきている
麻衣『ま…まずい!』
怖いが、他に逃げ場はない
この一軒家でやり過ごすしかないだろう
階段を見つけて2階へ急ぐ
はぁはぁと息を切らしながらも隠れる場所を探した
麻衣(押し入れに身を潜めよう)
丸まってどうにか入った刹那、玄関から音がする
恐らくあの男だ
私は息を殺して恐怖のあまり涙を流す
3分程経った頃、階段を上る音が聞こえた
不気味な男『〜♪』
なにか歌っている。怖い
捕まったら切り刻まれる
そう思ったのもつかの間、隠れていた押し入れが開いた
不気味な男『メリークリスマス』
麻衣『きゃあああああああ!!』
気がつくと夜の学校に居た
麻衣『あ…あれ?夢?』
あの夢はなんだったのだろうか
未だにわからない
一つだけハッキリしているのは、あの夜の出来事がただの夢ではないこと
なぜなら、転んだ時のキズが私の足や腕についているのだから